第12話「進撃の羽鈴家」
オレが例のクエストから帰ってきて、一週間が経った。
いつもと同じように桃香が起きるのをすごくの間だけ待ち、みんなで起きて、朝食を食べて学校へ行く。
定着はしても、慣れる気配はない。
そして、いつものように8時ちょっと過ぎくらいに学校へ到着。
クラスメートと少しばかり話をしようと思ったそのとき、オレは後ろから声をかけられた。
「ねぇ、あんた、名前は?」
振り向くと、金髪ツインテールの美少女が立っていた。
なんとなく、ツンデレ感が出てるかわいい女の子だ。
それにしても、このクラス、かわいい子多いなっ!
「神谷慧だけど・・・」
「やっぱりか・・・」
そう言ってから、彼女は覚悟を決めたようにこう言った。
「あんたさ、私と結婚してよ。」
「は?」
「だから、私と結婚してよ。」
おいおい、少し待ってくれ。
オレはこんな金髪ツインテの美少女なんて知らないし、求婚されるようなことをしたつもりもない。
「少し待ってくれ。オレは君のことをなにも知らないと思うんだが。」
「そうだね。私もあんたのことよくは知らないし。」
「じゃあ、なんで?」
「・・・・・・家の命令よ。」
「家だって?お前、なんて名前だ?」
「羽鈴姫依よ。」
「羽鈴って、あのHASUZUグループのか?」
「その通り。」
HASUZUグループといえば、世界的にも有名な魔法武器の会社だぞ?
魔法武器とは、魔法使いが使う、魔力を消費して兵器として機能する武器のことだ。
例えば、魔剣なんかも魔法武器に入る。
最近では、魔力を使うだけで兵器としての機能が発揮出来るので、魔法使いじゃなくても使えるようになった。
なので、普通の魔法道具と大差がなくなってしまった。
「で、その大企業がなぜオレとお前を結婚させようとしてるんだ?」
「神谷家と関係を持ちたいんだって。いわゆる、政略結婚ってヤツかな。」
あぁ、またそれか。
そんな話は、オレが小さい頃からたくさんあった。
だから、オレが中学の頃に、親同士が仲が良かった魅月と許嫁になった。
魅月の家もかなり大きい方なので、それからその手の話はなかったのだが。
羽鈴家は世界的にも有名な家。
そこら辺の家は口出し出来なくても、羽鈴家なら確かに出来るだろう。
「オレからお前の親に断っておくから、心配すんな。」
「うーん。無理ゲーだね。私の親がそれで諦めるるとは思えないし、あらゆる手を使って結婚させようとするだろうね。」
「なっ!?マジかよ!?」
「うん。マジだろうね。」
前にオレに求婚してきた家は、断られたらカンタンに引き下がる家も少なくなかった。
自分たちの娘を大事に思っていたから、どんな手を使ってでも求婚することなんてしなかったからだ。
なら、コイツの親は娘を道具同然のように扱ってるってのか?
そんなこと、許されるわけがない。
「じゃあ、お前はどうしたいんだ?」
「・・・別にどうでもいいかな?」
そんな風に言う姫依の表情は、どこか悲しそうで、なにもかも諦めたようだった。
オレは、叔父さんにこのことを話した。
なんとかしてくれるかと思った。
でも、無理だった。
羽鈴家は世界的にも大企業を持つ家なので、表面上は断ることは出来ても、あらゆる手まではどうにも出来ないそうだ。
クソッ
これからどうすればいいんだよっ!
「お、かわいい孫よ。どうしたんだ、そんな顔して?」
声のする方向には、神谷宗一郎が立っていた。




