4話:初めてのデート! えへへ。私、初めてのデートしちゃったよ!・2
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王都の街ロヴィーナはいつでも賑やか。しかし、今回ばかりはその賑わいは普段とはまったく異なるものだった。
街へ着くや否や、暴走馬車による事故現場に遭遇。
馬は脚を折ってしまったのか、立ち上がろうとして暴れている。そんな馬の周囲には、壊れた車や朱が飛び散り、かなりの大事故。死人が出ていても何らおかしくはない。
その現場に居合わせた人々は、不快そうな目で通り過ぎていく。そして、教会の使者らしき装いをした人間が、必死に治療を行っていた。
(これ……私の……かぐやだった頃の最期に似てる……)
レイはそんな事故現場に顔を顰め、嫌な記憶をフラッシュバックさせる。
朱い液体が溢れ続ける自身の体。そんな自身を認識しながらも、薄気味悪い笑みを張りつけた人々。なぜか誰も救急車を呼んでくれず、スマホを向けて楽しげだった。
(ほんと最悪……)
その記憶を思い出し、内心で呟いた瞬間。ぞわりとした冷たいナニカが纏わりつく感覚が。それは背筋や首筋を伝い、レイの体温をゆっくりと。けれど確実に奪っていく。
(なに、この気持ち悪い感覚……)
徐々に息が上がっていく気持ち悪さ。呼吸しているはずにもかかわらず、上手く息が吸えないような錯覚に陥る。
その錯覚を拭うため、必死に深呼吸をしようにも、警告を発するアラートのように、甲高い耳鳴がけたたましく脳裏で響き続けている。
遠く霞み始める視界。まるで泡に変えられてしまったかのような浮遊感。地面が波のように揺らぎ、石畳が本物か否かもわからなくなっていく。
(吐きそう……)
心の中で本音を吐露しながらも、こんなところで失態を見せるわけにいかない。うっと込み上げてくる気持ち悪いナニカを耐えながらも、レイは体を小刻みに震わせ自然な態度でしゃがみ込んだ。
そんなレイお嬢様の異変に気づいたアリス。彼女は、顔色の優れないレイお嬢様の顔を覗き込むようにして、問いかける。
「お嬢様、顔色が悪いようですが……如何なさいましたでしょうか?」
だが、アリスもあの痛ましい馬車の事故現場を目撃しているはず。
(なんでアリスは平気なの?)
レイは内心で嫌悪のような苛立ちを覚えながらも、小さくにこり。
「大丈夫。ちょっと、軽い……うん。目眩を、覚えただけだから……」
そう言って、毅然な態度を貫こうとした。
だが、上手くできなかったのかもしれない。
アリスの眼前。その瞳に映るのは、冷や汗を浮かべ顔を青くさせるお嬢様の姿。
その表情はとても苦しげで……。アリスは若干目を細めながらも、一拍。僅かに口角を上げると、すぐさま提案をした。
「目眩、ですか。お顔の色も優れませんし、別の場所で少し休みましょう」
とはいえ、その提案にレイお嬢様の意思など介在しない。アリスは、その提案を口にすると、レイお嬢様の答えを待たずして、石膏でできたベンチのある、静かな場所へと運ぶのだった。




