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悪嬢転生!?〜8歳の悪役令嬢?に転生した私は、10年後、内定婚約者である第三王子に首を刎ねられるみたいなので、今のうちに関係修復頑張ります!〜   作者: 月末了瑞
シリウス真相編

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4話:初めてのデート! えへへ。私、初めてのデートしちゃったよ!・1


 そんなある日のこと。


「お嬢様! 今日はミス・ゴーディスに急用が入ってしまったらしく、レッスンはお休みとのことです!」


 アリスは、その日。モブリーヌ様から役目を代わってくれと言われ、レイお嬢様の部屋へと向かった。


 恐らくモブリーヌ様は、レイお嬢様に未だ苦手意識でもあるのだろう。本来ならば、業務放棄も甚だしく、旦那様の意向次第では(いとま)を言い渡されかねない。


 けれど、レイが気にしていない。というよりも、アリスの方が良いとまで思っている。それに加え、アリスも嫌がる素振りを見せることはない。ゆえに、ハゲ男――改めバルドフやその他のメイドは、そんなモブリーヌのことを黙認していた。


 アリスのその報告に、レイはチラリと柱時計へと視線を向ける。


 今は午前7時過ぎ。


 それを理解するや否やレイは、うーんと大きく伸びをすると一拍。キラキラとした瞳で宣言する。


「そっか〜じゃあ二度寝! 私、まだ寝れるよ?」


 そしてアリスが口を開く前に、せっかく櫛を通し艶々になった髪や、着替えたばかりのドレスに皺がいくことなど気にも留めず、ベッドへとダイブしてしまう。


 その動きはどこか気持ち悪く、モゾモゾと芋虫のように動きながら布団に潜り込み――


 アリスは呆れた様子で軽く息を吐き出すと、遠慮なく掛け布団(デュヴェイ)を剥ぎ取り告げた。


「お嬢様、何をされているのでしょうか?」


 その様子は、数ヶ月前には有り得なかった光景。


 そんなアリスの行動に、レイお嬢様はムスッと可愛らしい膨れっ面を示しながらも、頓珍漢なことを口にし始めてしまった。


「うう……眠い、寝たい……あっ! 私、今寝ないと死んじゃうと思う! だから寝るね? おやすみ!」


 だが、寝ないと死ぬとはどこの世界線の話なのか。それに加え、寝る方が永眠というものを味わう可能性さえ有り得てしまう。


 アリスは、レイの予測不可能な言動に、若干眉を下げながらも、ふふっ。とっておきの切り札を切ってやる。


「お嬢様? 寝たいのはわかります。ですが、ミス・ゴーディスがこの件を知れば――」


 瞬間、レイは「あっ……」とひとこと。


 お化け大魔王女に怒られるのだけはやだ! いや、ハゲの人よりも全然マシなんだけど、こーめちゃくちゃ怖いからヤダ! と内心で絶叫しながら、すぐさまベッドから飛び起きた。


 そんなレイお嬢様の態度にアリスは、内心で苦笑しつつも、せっかく綺麗にした髪も、着せた服もボサボサのしわしわ。


 ふう……と小さく息つくと一言。


「やり直しですね」


 と言って櫛を片手に、再びレイの髪を()かしはじめた。


 そして、その後は遅めの朝食を取り、ハゲ男にくどくどと説教されたのはいつものこと。


 内容までなんのバリエーションもなく、「貴族の娘として有るまじき行動だ」「第三王子から嫌われるぞ」「お前は意識が低すぎる」そんなどうでもいい説教は、長時間にも及び――解放されたのは昼頃。


(はあ……ハゲの人ほんっとうるさい! (しゅうとめ)か、って言うくらい小言攻撃してくるのいい加減やめてくれないかな? まあ、私未婚だから姑事情とか知らないけど)


 そう内心で毒を吐いた後は、ハゲが進行する呪文をかけてやる。(とはいえ、即興創作のため、効果は無)


 そんなやり返し(?)を行えば、すぐさまケロリ。レイは、ハゲ男のことなど直ぐに頭から追い出し、ルンルン気分で自室へと戻ろうとした。


 しかしその道中。


「お嬢様、いい所に!」


 そう言ってアリスは、にこにこ笑顔を添え、レイへと声をかける。


 しかし、いい所に! と言われても、何が何だかさっぱりわからない。


(いい所? 私、今から部屋に帰るんだけど? そんで、アリスたちにバレないように二度寝しようとしてたんだ……ハッ! もしかして、アリスに私の行動バレた!? えっ、なんで! 無意識に2度寝の歌でも歌っちゃってた!?)


 レイは、アリスが自身になんの用なのか。それが一切わからず顔を強ばらせてしまう。


 だがここは、冷静に。平静、沈着、無表情。ポーカーフェイスを装い、言葉を返した。


「ん〜? ドーシタノ……? ナニカオイシイモノミツケタ?」


 若干、カタコトになってしまったものの、これくらいならば自身の目論見がバレることはないだろう。


 レイは、チラリとアリスから視線を逸らし、僅かに冷や汗を浮かべながらも、吹けない口笛まで吹こうとした。


 だが、どうやらアリスは、レイの2度寝計画のことなど知らなかったらしい。むしろ、レイの行動に怪しさを覚えるようにしてコテンッ。軽く小首を傾げながらも、うーん……。


 僅かに考えるような間を設けたかと思えば、パチンッと両手を打ち合わせ、にこやかな笑みで言葉を続けた。


「今日は貴重なお休みなのですし、街へ行きませんか?」


 だが、あまりにも唐突なそれ。レイは思わず、なんで? と首を傾げてしまった。


 しかし、よくよく考えてみれば――そう言えば、誰かと一緒に出かけたことがないような。


(かぐやの時は、なんでか名前忘れちゃったけど、友達とよく新作が出る度ス○バとか行ってたんだよねぇ〜。でも、こっちじゃそう言えば、仕立て屋巡りしたり、レイムンドのとこ行ったり。それから……なんでかわかんないけどシリウスの家にも行ってたけど、全部一人だった気がする……)


 そこまで内心でまとめると、“2度寝計画”は延期で良し! すぐに思考を切り替え、満面な笑みで応じた。


「え、どこ行くの? 行く行く!」


「そうですね……まだどこに行くかは決めかねていますが、行きたい場所などありますか?」


 しかし、どこか行きたいところはないか? と問われても――


(強いて言えばレイムンドのとこだけど……。でも、レイムンドのお店、なんでか見つかんないし、前回不審者に遭遇したから……)


 レイはうーん、唸りながらも一言。

 

「特にない!」


 そう言って、お出かけプランをアリスに全任した。


 アリスは、そんなレイのブレない態度に、若干苦笑とも微笑ましさとも取れそうな笑みを浮かべ、言った。


「では、現地で気になるお店でも見て回りましょう」


 その後レイは、アリスから外行きのドレス補助を受け――2人は、準備を整えいざロヴィーナへ!


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