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悪嬢転生!?〜8歳の悪役令嬢?に転生した私は、10年後、内定婚約者である第三王子に首を刎ねられるみたいなので、今のうちに関係修復頑張ります!〜   作者: 月末了瑞
デビュタント編

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6話: えっ、旦那様? 私もう未婚卒業したの!? って、ハゲメタボの馬油とーふじゃん!・後編

(……旦那様? 私、まだ未婚だよ? えっ、ここって8歳の時点でお嫁さんになるの!? え、でもさ? シリウスが婚約者なんでしょ? シリウスが旦那様になるからそう呼んでる感じ!?

 つまり、手紙読んでくれて、仲直りしに来てくれたってこと!?)


 そう内心で結論を出すと、はーい! 軽い言葉で応じると、すぐさまメイドに“旦那様”の元へと案内してもらった。


 しかし、通されたのは応接室ではなく、ハゲ男の執務室。


 そして、彼女の眼前にいるのは――


(はあ……ハゲメタボの馬油とーふじゃん。

 私、この人のお嫁さんになった覚えないんだけど!?)

 

 レイは内心でブツブツと不満を零しながらも、ちょこん。ソファへと腰を下ろし――カンマ数秒。


「聞いたぞ。第三王子殿に手紙だと? 一体なにを企んでいる」


 険しい表情のハゲ男が、指先で机をトントンっと叩きながらも彼女へと問いかけた。


 その眼差しは鋭く、言葉を聞かずとも疑っているのは明らか。さすがのレイも、そんなハゲ男の態度にしゅん。


「えっと……企んでるとかそういうのじゃなくて……」


 口をもごもごとさせながらも、必死に説明しようとした。


 だが、既に疑ってかかっている相手に何を言っても言い訳にしか聞こえないのだろう。ピシャリと遮られてしまう。


「余計なことはしないでくれ」


 その反応からして、話すだけ無駄。しかし、レイは諦めることなく、必死に言葉を絞り出した。


「いや、そうじゃなくて……えと……社交界レビューちゃんと成功させたくて……」


「何をバカなことを言っている? デビュタントの成功はこのヴァーティン家の娘ならば当然のことだ」


「……でも、シリウス……様との関係はずっとギクシャクしてるから、少しでも何とかしようと思っただけというか……その……」


「お前の考えはよくわからない。そもそも、リゲル国王陛下には、お前のデビュタントについて報告済みだ。先日もその確認を取り、食い違いがないかも擦り合わせに伺ったのだ。

 まあ、当の本人は途中でどこかに行ってしまったんだがな」


 そう言って、フンッと鼻を鳴らすハゲ男。その態度はわかりやすいほどに、非難的。だが、彼の発言はそこで終わることはなかった。


「お前がシリウス第三王子に直接手を回さずとも、彼が来るのは、王家として、お前の婚約者として当然だろう?」


 まるで、追い討ちするように告げられた言葉。


 それはこの世界ではごく普通の認識なのかもしれない。けれど、レイはそのような常識もルールも何も知らない。ゆえに、彼女は食い下がる。


「……それ、なんかおかしい気がする!

 今はたよーせいの時代だよ!? 昭和とかと違って、皆の考えとかそんちょーする時代だよ!? なのに、家柄で縛って来させるのってなんか違うと思う! そもそも婚約者だからって、嫌いな相手からの招待で嫌々行くのと、少しでも関係性を良くしてから行くのとじゃ、同じ“行く”でも全然違うんじゃないかな!? 私はこれからも“シリウス”に手紙送るし、仲良くしたいって意思表明する!」


 勢い任せに発されたその言葉に、ハゲ男は一瞬だけ絶句する。


 だが、彼の内心では、“どうせ何かを企んでいるに違いない”という固定概念が染み込んでいるせいか、ハゲ男は口の前で手を組むと1拍。考えることなく言い放つ。


「……そうか、好きにしろ。しかし、あまり下手なことはするな。これ以上、お前のせいで汚名を被るのはごめんだ」


 それは、彼なりの妥協とも言えるのかもしれない。いや、もしかすると、これ以上の話は無用だと考えたのか。ハゲ男はそう言うと、もう出ていけと言わんばかりの態度で立ち上がると、すぐさま執務用の机へと戻ろうとした。


 だが、そうはさせない。ハゲ男の態度を認めたレイは、今しかないと言わんばかりに、自身の要望を口にする。


「後、ドレス新調したい!」


「は? ドレスなら沢山あるだろ? そもそも今から作って貰うなど無理だ」


 彼はそう切り捨てると、強制的にレイを部屋から追い出してしまう。


 話が終わる前に突然、執務室を追い出されてしまった彼女。


(いや、こっちはまだ話あるんだけど!?)


 内心でムカムカを吐き出しながらも、ここで抵抗しても意味はない。そのためレイは、気持ちを切替えるようにして、期待八割でいつものメイドへと問いかけた。


「そういえば、“礼儀作法やダンスの先生”って手配できそう?」


 だが、現実はそんな簡単に物ごとが進むわけもなく……。


「申し訳ありません、お嬢様。以前指導してくださった先生方はみな様、お嬢様からひどい罵りを受け、今後はお断り、と……」


 淡々と理不尽な現実を突きつけるメイド。その返答にレイは、思わず目を丸くし、頭を抱え込む。


「え、嘘……。一人ぐらい残ってないの!?」


 代わりの人材がいるんじゃないのかと僅かな希望を見出そうとするが、彼女の期待とは裏腹に、メイドは静かに首を横に振るばかり。


(……ほんと、自分で蒔いた種なんだろうけど、ここまでとは聞いてないよ!?)


 数日前にバルドフから突然身に覚えのない怒りをぶつけられた理由。それがまさかそういうことだったとは……。今更ながらも、絶望が荒波のように押し寄せる。


 とはいえ今から独学で学ぼうとしても、彼女は華道や茶道はもちろん、カーテシーの“カ”の字すらわからない。


 加えて、ドレスの件も自力で何とかしろというお達しだ。流石に全部を一人で抱え込むには許容範囲を超えているというもの。


「ねえ、そこをどうにかお願い!」


 レイは無理を承知で何度もメイドに頼み込む。


 しかし、現実はどんなフィクションよりも残酷なもの。そもそもメイド如きに、決定権など欠片もない。


 メイドは若干、煩わしさを覚えながらも、取り敢えずハゲ男に相談しようと一時的な結論を出すと、そのままレイを部屋へと送り届けるのだった

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