第222話「貸出禁止」
「見事な食いつきっぷりですね。どうぞどうぞ、と言いたいところなんですが、これ貸出禁止なんですよね~」
「貸出禁止って……、ひょっとして読むのも?」
「ううん、読むのはいいですよ。ただ、図書館から持ち出すことはできないってやつです。できても紙に書き写すとかですね」
「紙、持ってない……」
「こんなこともあろうかと、じゃじゃーん!」
ウェーニャの手には、どこからか取り出した紙とペンが握られてた。
「え、すごい!」
「図書委員ならば当たり前というものです!いります?」
「は、はい!」
「はい、どうぞ。余った紙とペンは、終わったら受付で返してくださいね」
「ありがとうございます」
ユナは本を小脇に抱えながら、ウェーニャからメモ用紙とペンを受け取った。
「いやーそれにしても、珍しいこともあるんですね。その本、授業で取り扱ったりしたんですか?」
「この本を?」
「ええ、その本です」
ユナは本の表紙を見る。そこには”スキル全書”と書かれていた。まさにスキルの全てが載っていそうな名前だ。
「ううん、見たことない」
「そうですか。てっきり中等部のカリキュラムが変わったのかと」
「かりきゅ?」
「カリキュラム、授業内容ですよ。何を学んでもらうかの学校の方針ってやつですね」
「これを、他の中等部の人が借りようとしてたんです、してたの?」
「むふふ~、そうですねえ、ここ数日で中等部っぽい方に人気があるように見えますね。といっても、利用者が少ないので記憶に残ってるだけとも言えますけど」
「この本を……。それって誰?」
この魔法学園で、スキルを知ろうとしている人がいる。それだけで、ユナは強く興味を引かれた。
「図書館を運営している身として、他人の貸し出しを教えるわけにはいかないのですよね」
「そっか……」
「でも」




