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第221話「本棚」

「スキル関係の本はこっちの角を曲がって、こっちの方ですね~」


 ユナは、やっぱり自分のことと言えばスキルのことが真っ先に来た。だからこそ、少しでもスキルのことを知ることができる本があるならと、ウェーニャに案内してもらっていた。ウェーニャは当然のようにユナを連れて歩き出し、図書館の中でも少し入り組んだ奥の棚で立ち止まった。先ほどまでいた場所より、少し薄暗くて埃っぽい気がした。


「この棚全部と、この隣の上の一段ですよ」


 ウェーニャはユナより大きいとはいえ、本棚よりは背が低かった。それなのに、まるで上の本まで見えているかのように教えてきた。


「すごい……。全部覚えてるんですか?」


「驚いてくれましたか?」


「はいっ!」


 最初に胡散臭いなと思っていたことなんてどこへやら。ユナはすっかり尊敬の眼差しをウェーニャに向けていた。


「ユナちゃんは素直でいい子ですね~」


 ユナの顔を見ずに言うウェーニャには、どこか含みがあるようだった。


「それで、スキルの中でもどんな本をお探しなんでしょう?」


 ウェーニャは本棚からパッと本を手に取り、パラパラとめくる。


「えっと、それは……」


 スキルのことを素直に言うわけにはいかない。それっぽいタイトルの本が無いか、ユナは本棚を見る。


「ユナちゃんはもう文字が読めるんですか?」


「うん、あ、じゃなくて、はい」


「気にしなくていいですよ」


 ユナが敬語に言い直したのを、誰にでもそうしているような優しさでウェーニャは気遣った。


「じゃ、じゃあ、うん」


「まあわたしは敬語なんですけど、むふふ~」


「は、はぁ」


 ユナはウェーニャの独特なテンポに追いつけずにいた。


「本は一度に5冊まで借りることができます。まあそんなに借りる人はいないんですけどね」


「どうして?」


「みんな本を読むのが苦手だから、ですね。学園に来て初めて本を読んだという人もいるくらい、本というのは貴重ですから、長文を読むということに慣れていないんですよ。特に専門書みたいな難しい言葉ばかりが並んでる本は」


「ああ~~」


 ユナは授業を思い出す。クラ先生が特別優しいのかと思ったが、教科書に書いてあることをきちんと単語も含めて丁寧に説明していくのは、きっと普通のことなのだ。こうして図書館に人が少ないのも頷けた。


「ユナちゃんは本を持ってたんですか?」


「持ってたというか、家にたくさんあって」


「本をたくさん!!それはすごいですね~。じゃあこの本とかどうです?」


 ウェーニャにポンと持たされてめくられたそこには、ユナも聞いたことないような単語が並んでいる。


「これ、数少ないスキルを網羅している本なんですよ。数少ないっていうか、唯一かも」


「これ!」


 どうりで知らない単語が並んでいるわけだ。


「これ借ります!」


「見事な食いつきっぷりですね。どうぞどうぞ、と言いたいところなんですが、これ貸出禁止なんですよね~」


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