第223話「禁書庫」
「でも」
「でも?」
「お二人ともまた見に来ると言ってましたので、通えば出会えるかもしれませんね」
「二人……」
ユナは入学式の光景を思い浮かべる。中等部だけではなかったかもしれないが、信じられないくらいの人たちがいた。自分が十三組だということを考えても、この本を読んだ人が知っている人のはずがない。そのはずなのだが、ユナはなぜかそうは思えなかった。
「三人で今月の人気本に挙がるんですから、この図書館も寂れたものですね」
「ウェーニャさんはずっと図書館に?」
「まあそんなところですね」
「図書委員、好きなんだね」
「そう、わたしは図書館のことならなんでもわかる、まさに図書委員になるために生まれてきたような美少女ですから!」
バチーンとウィンクと横ピースで決めポーズをとる。ちなみにちゃんと小声だった。
「とっても可愛いと思います!」
「むふふ~、やっぱりユナちゃんは面白いですね」
ウェーニャは目線を逸らしながら、ユナを褒めた。
「そんなユナちゃんに、ちょっとばかりサービスしちゃいましょうか」
「はい?」
「もし、禁書庫に行きたい用事ができたら、こっそりわたしに声をかけてください」
「きんしょこ?」
「今はそれが何か知らなくても大丈夫です。その名前だけ知っていれば。あ、あとそのお二人はすぐ会えると思うので、ぜひぜひ図書館に通い詰めてくださいね」
「は、はい」
ユナは戸惑いながら、ウェーニャのもつ不思議な雰囲気にのまれるがまま、図書館通いが決まったのだった。




