第四話
「やあ!初めまして!新居来夢くん。
僕はここ、アニマ団の団長の獅子門 レオン!!
気軽に”レオン団長”って呼んでね!よろしく!!」
太陽のような笑顔で、ぱっと僕に右手を差し出し、握手をした。
「は、初めまして…。新居来夢です。よろしくお願いします。」
「ははは、そんなに固くなんないでよ!
あ、そうだ。ゲームするー?ゲームしてさ、仲良くなろうよ~!」
レオンさんは握手した右手をぐいっと引き寄せ、
そのまま左手で僕の肩をポンと叩いた。
陽キャだ。
間違いなく陽キャだ。
こんなメガネの陰キャの僕とは住む世界が違う人だ…。
あと、ちょっと苦手なタイプ...。
いや、かなり苦手かも・・・(笑)
「何分待たせてると思ってんのよ!!バカ団長!」
バシィンッッ!!
チンチラの妖精のチーノが、
団長の頭を大きめのハリセンでたたいた。
「いてっ!!チーノ、、、そんな怒んなくてもいいじゃん…。」
「いつもならね!
でも、今日は違うでしょ?
事前にラビが来夢をここ連れてくるっていってて、
今日も来る時間連絡してくれてたんだから!
今日くらいは団長らしくしてください!、、、もうっ…ほんとに!」
「団長、チーノの言う通りだよ!
早く説明してあげて?
まだ僕らの仲間になったわけではないんだし。」
ラビはいつものように天真爛漫な口調だったが、
表情は少し真面目だった。
「ああ、そうだね。
チーノ、ラビ。君たちの言うとおりだ。
びっくりさせてすまなかったね、来夢くん。
ここからは少し僕から真面目なお話をしようかな。」
レオン団長はゆっくりと息を吐いた。
「君の”能力”について__。」
太陽みたいに明るく笑っていたレオン団長の表情が、ふっと消えた。
次の瞬間、真剣な眼差しで僕を見つめていた。
「え、能力?」
僕は思わず聞き返した。
「ああ、単刀直入に言う。君のお母さんは事故でも、病死でもない。」
レオン団長の声は静かだった。
でも、その言葉ははっきりと聞こえた。
「原因は_君の能力だ。」
頭の中が真っ白になった__。
「え…?」
僕の頭の中で、言葉がゆっくりと反響した。
僕の、能力。
…そんなわけない。
僕に能力なんてあるはずない。
そんな漫画みたいな話が実際に起きるなんて信じられない。
だけど。
ずっと胸の奥で、引っかかっていた考えが静かに浮かび上がってくる。
「っ…僕のせい…ですか…?」
「ううん。君のせいじゃないよ。君の能力のせいだよ。」
レオン団長は僕に優しく言葉をかけてくれる。
「でも、それって、僕のせいってことじゃないですか!
僕が…母さんを…。」
「君、勘がいいね。」
「勘のいいガキは嫌いですか?」
「んーん。大好きだよ?話が早くて助かる!」
ピースをしながら、ニコッと笑うレオン団長。
「あれ?面白くない?面白くないか…。
笑えないよね、こんな空気で」
レオン団長は苦笑いをする。
ああ、この人はきっと重い空気が好きじゃないんだ。
この場の空気感を大事にする人なんだろう。
「あの、、、。レオン団長。」
「ん?なんだい?」
「僕、最近身の回りで気になることがあって、僕をいじめてたクラスメイトが事故に遭ったり、
怪我したりしてて...。」
「うん、そうだねぇ。他にもあったよね?」
「あ、、、。帰り道でおじさんがぶつかってきて、その人に車が突っ込んでいきました。
もしかしてこれが、僕の能力?」
「んー、少し違うねぇ。君の能力は”人を睨むと、その人の身の回りに不幸を引き寄せる”
名付けて、”悪夢の瞳!!!」
レオン団長はなんかカッコいいポーズを取りながら言う。
「え?今名付けた?」
「うん。ダメ?」
「なんかダサい」
「あ、ごめん。」
チーノにツッコまれ、しゅんとしたレオン団長。
「団長!僕はカッコいいと思ったぞ!な!ゼル!」
「お、おう!そんなへこむことないぜ!団長!!」
ラビとゼルが団長を励ます。
「うぅ(泣)ラビ、ゼル。やざじい...」
「団長?説明を…。来夢さん、ポカンとされてます…。」
「あ。ごめん、メイリー。
来夢くん!君はどう思った?」
「…かっこいいです、」
「え?!ほんと男子ってバカばっか…。」
チーノがあきれて言う。
でも、オタクの僕にはぶっ刺さってしまった。
悪夢の瞳<ナイトメア・アイ>...。
それが僕の能力……。
「もう少し教えてくれませんか?僕の能力について。
僕はどうやって母さんを能力で殺してしまったんですか?」
「君の能力のトリガーは、"怒り”と”睨むこと”にある。
君、目つきが悪いと言われたことはないかい?」
僕の肩が少しだけ揺れた。
「よく言われます。」
「睨んでないのに、ね。」
「でも!クラスメイトと母さんは…睨みました。うざかったんで。」
「君は素直だね。だからこそ、能力と調和してしまったんだね。
でも、大丈夫。君は元の普通の高校生に戻れる。いや、戻してみせる!
条件はあるけどね……。」
レオン団長は僕の頭にポンと手を置いて、優しい表情と口調で
僕に言った。
「条件……?」
「ああ。君も気になっただろう?
どうしてこんな僕に能力なんて…って。
実はね、君の能力は元々ここで保管されていたものだったんだ。
でもある日、何者かによって君の能力の元となるジュエルと、
それを解除することのできる薬品を奪われたんだ。
ヤツは能力を一般市民である君たちに投与し、能力者にした。
そう僕は思っている。
だから、奪われた薬品を取り返し、君を普通の高校生に戻すために
僕たちの仲間となって協力してほしい。
能力の使い方はすべて教える。
だから、頼む。
新居来夢くん、君の力が必要なんだ。」
レオン団長は深々と頭を下げた。
「来夢!そういうことなんだ!いきなり着いてきてとか言っちゃってごめんね?
でも、僕たちを信じてほしいんだ!お願い!仲間になって!」
ラビも他の妖精たちも頭を下げる。
「僕に、できますか?僕、役に立てますか?」
不安だった。
勉強も運動も人並みにできるけど、
あまり褒められることのない人生だったから、
あまり必要とされたことがなかったから。
こんな僕でいいのか。
不安だった。
「来夢じゃないとダメなんだ。普通の高校生に戻ろうよ?
いっぱい笑いたいでしょ?泣きたいでしょ?怒りたいでしょ?
妹ちゃんと友達と普通に過ごしたいでしょ?
僕は過ごしてほしいな!一度しかない青春時代。思いっきり楽しんでほしいもん!
大丈夫。ひとりじゃないよ。
僕がいるから、信じて。ね?」
ラビの言葉に自然と涙が流れた。
小さいはずのラビが何だか大きく優しいそんな包み込んでくれる存在に感じた。
ラビがいるなら、みんながいるなら、
頑張ってみるしかない。
「わかりました、よろしくお願いします。」
僕は勇気を振り絞って言った。
これが僕の今までの話__。




