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第三話 


ある日__。


目が覚める。


枕元には黒いウサギがいた。


「おっはよー!起きたぁ?」



「うわあぁっっ!え?な、なに?」



「ちょっとちょっとぉ~!大きい声出さないでよぉ~、妹ちゃんに見つかっちゃうよっ!」



ウサギはしーっと口元に右手の人差し指を当てた。


「びっくりさせてごめんね?僕はラビ!君は、新居来夢くん、、、だよね?」



「ウ、ウサギが、しゃ、喋ってる、、、。しかも、なんで、僕の名前を?」



「それはねぇ…。ずーっと、君のこと()()()()()()()()()


ラビはにっこりと笑う。


「お母さんのこと、、、。大変だったね。」



さっきまで無邪気だった青い目が、

静かに揺れた。



「そのことについて、君に話さなきゃいけないんだ。」



僕は何が起きているのか分からなかった。

でも、もしかしたら母さんのことや今までのことも

何か分かるかもしれない。



「よくわかんないけど。いいよ、話聞くだけなら…。」




僕が首を縦に振ると、

ラビの耳がぴくんと立ち、

キラキラと目を輝かせて

僕の周りをピョンピョンと跳ね回る。



「え!いいの!やったぁ!じゃあじゃあ来夢!僕たちのアジトへ、レッツゴー!!!」




そして、

ラビに連れてこられた場所は、

商店街の裏手。

シャッターの閉まった雑居ビル。



その奥の、目立たない階段を降りる。



「ここが、、、アジト?」



「そう!ここが、僕たち()()()()のアジトだよっ!」



「アニマ団?」



「そう!みんなー!来夢が来たよ!」


ラビが大きな声で呼びかけると、

三匹の小さな妖精たちがやってきた。


「マジかよ、ラビ!よくやったじゃん!」


「もう…。あんたって、仕事だけはできるのよねー…。仕事だけは!」


「ラビくん、さすがです!はぁ...私にも出来るのかなぁ?」


僕は一度だけ、静かに周囲を見渡した。

小さな妖精たち。地下の部屋。見慣れない光景。

一つ一つの状況を把握しようとするように。


「ラビ。これは…どういう状況なの?」




「ごめんごめん!説明するね?

みんなは僕の仲間たち!右から、ゼル・チーノ・メイリー!

僕もみんなも本当の動物じゃなくて妖精なの!」


「妖精?」

(まぁ、話し出した瞬間に何かがおかしいとは思っていたけど。)


「来夢!俺はゼル!ガゼルの“ゼル”だ!!よろしくな!!」


自称イケメンの男の子のガゼルの妖精・ゼルに半ば強制的に握手される。


「ちょっと!嫌がってんじゃないの!!

ごめんね?こいつ、ヒトの気持ち考えないやつなの。

私はチーノ。チンチラの妖精よ!ふわふわでしょ!」


少し強気な女の子のチンチラの妖精・チーノは自慢げに尻尾を見せられた。



「こんにちは…来夢さん。

私は、メイリーって言います。

ヒツジの妖精です。よろしくおねがいしますね?」


シャイな女の子のヒツジの妖精・メイリーはお辞儀をした。



「新居来夢です。ラビ、ここはどういう場所なの?」


僕がそう聞くと、

ラビは少し黙ってから口を開いた。


「僕たちアニマ団は、元々能力研究機関だったんだ。

でも今は、能力の保存・封印・管理が主な仕事で、僕はここのリーダーなんだ!

団長はほかにいるけどね!」



「能力研究機関?そんなの聞いたことがないけど。」



「まあ、そうだろうね。

でもここからは団長に説明してもらう予定だったんだけど…。

団長、どこ?」


ラビは部屋の中を見渡す。


「知らなーい。

また今日もゲーム実況見てんじゃないの?」


チーノがあきれた様子で答える。


「もう話しちゃったら?

予定時刻もすぎてるし。」



「それもそっか。じゃあ、話すね?」


ラビは咳払いをする。



「約十年前、まだ日本に能力者が数多くいた頃、

能力者による”暴走事故”が起こった。

最初は国が対応してたんだけどね、次第に事故が激増。

国では対処が難しくなって、

非公式の研究機関の僕たち、アニマ団に声がかかった。

別の非公式の戦闘部隊の協力もあって、僕らはその事故を止めた。

って、団長から聞いた。」



「へえ、ラビは知らないの?」


「うん。その時は…ここには居なかったから。

で!本題の君のお母さんのことについてだけど・・・。」


ラビが話し出したその瞬間、

奥の扉から声がした。


「おいおい、そこからは僕の出番でしょ!いいとこ持ってかないでよ、ラビ!」


「この声は…」

ラビが奥の部屋の方を見る。



小さな金色の獣_

たてがみのような毛並みを持つ妖精が

ゆっくりと歩く。


そして、

その瞬間。

ふわりと光が弾けた。



次の瞬間、そこに立っていたのは


背の高い青年だった。


その瞳は、思っていたよりも、

温かかった_。








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