第二話
「母さん?母さん!!」
呼びかけても母さんの反応はない。
僕は救急車を呼んだ。
病院に着いて緊急処置が行われた。
「ねぇ、お母さん大丈夫だよね?死なないよね?」
「大丈夫、大丈夫だから…。」
僕は妹・萌咲の手を握り、母の無事を祈るしかなかった。
だが、処置室から出てきた医者から言われた。
「お亡くなりになられました。」
うそ、嘘だろ…。
ごめん、母さん。
あんな言い方して…。
あんな態度とって…。
僕の頬には一筋の涙が流れた。
__葬儀の日。
僕は泣けなかった。
隣で妹と祖母が泣いていても、なぜか泣けなかった。
もう僕は感情を出してはいけない。
大事な人がいなくなるくらいなら、僕の感情なんてなくなった方がいい。
そう思った。
葬儀が終わった後、ぼんやりと外を眺めていた。
「どうした来夢ー!ほい!」
声をかけてきたのは父だった。
父は、三年前に母と離婚してから一人暮らしをしている。
母とは違い、とても楽観的でいい意味でテキトーな人間だ。
「ジュース、投げんなよ…」
「ごめんごめん!
でも、母さんのこと背負わせてごめんな。辛いよな。俺も辛いもん。好きだっだから。」
「彼女いるくせに…。」
「それは…。」
「なあ、父さん。母さん死んだのって僕のせいかなぁ?」
「え?」
僕は今までのことを父さんに話してみた。
「偶然だろ?そんなんアニメじゃあるまいしw 考えすぎだよ、来夢。
そういうとこ、母さんに似てるw」
「でもなぁ、来夢。あんまり自分を責めるんじゃねえぞ。お前には俺がいる。何かあったら相談してこい」
そう言って父さんは僕の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
なんだか安心して涙があふれた。
そのとき、
「やっと泣けたね」
耳元で、誰かが笑った気がした。
はっとして顔を上げる。
父さんは不思議そうにこちらを見ている。
「……どうした?」
「……いや、なんでもない」
周囲には誰もいない。
けれど、
足元に落ちた自分の影が、ふわりと揺れた気がした。
風なんて吹いてないのに。
まばたきをすると、
影はただの影に戻っていた。
──それが、ラビとの出会いの始まりだった。




