第3章-1
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-ドネス・アプリコット執務室-
3日前にカーメリーのマイルズ子爵より8か国緊急会議の招集の要求を受けたアプリコットは、すぐに各国に招集のための文書をマイルズに委ね、自身は設定した3日後である今日に向けて準備を行ってきた。その3日前に転移でドネスに転移し、アポイントもなくアプリコットの執務室にやってきたマイルズは、満足げな笑みで魔王の因子を見つけた報告をアプリコットにしたのだ。アプリコットとしては会議開催から数か月経過しており、漸く見つかった安堵感と、できれば寝癖を整えたかったのでまずは知らせを送ってから会いに来てほしかった思いとがあり、ぎこちなく承諾しつつ文書をマイルズに渡すことしかできなかった。
マイルズはドネス以外の7か国の書状を受け取り、各国に回った後に自国で準備するとのこと。また今回は魔王の因子の者及びカーメリーは3名参加とのことで、メンバーは前回と違うことの連絡を聞いている。
今日は13時からの会議ということで、早めに昼食を取ろうと思い、オーランゲとキルウィーに呼びかけるべく執務室から廊下に出る。ドネスは年中雪に覆われており、時々差す日の光で日光浴をする慣習を設けている。窓から外を覗くと今日は朝から青い空が広がっており、会議より日向ぼっこでもできたらなあとアプリコットは思っていた。
「愛しの君に会えるからって随分早くから黄昏てるねえ」
振り返るとキルウィーが何やら紙袋を片手にこちらをにやにやと見ている。
「3日前にマイルズ子爵に会ったばっかりなのに、今か今かと待ち望んでる乙女の図」
「もう、違うって。そんなことよりあと数時間で会議が始まるんだから、昼食を取って準備しないと。オーランゲはどこにいるの?」
「さっき会議室でメイドたちと準備してたよ。あ、これお昼のサンドウィッチ」
「あら、ありがとう。キルウィーも一緒に食べる?」
「うん。オーランゲはもう少しかかるみたい。適当な時間で食べる様に言ってから同じのおいてきたよ」
「ん。ありがとう」
キルウィーとアプリコットはそのまま食堂に赴き軽く食事を取る。席に付きながら卵サンドを頬張りつつ今日の打ち合わせを行う。
「各国にはマイルズ子爵が声を掛けているから、転移魔方陣を使ってくることになるわね。そちらの配置は問題ないかしら」
「転移魔法陣、城門には追加で10名ずつ配置している。前回もそれで問題なかったから大丈夫と思うよ」
もぐもぐと口を動かしながらキルウィーからの情報も咀嚼する。
「それでいいと思うわ。今回魔王の因子が結局どの種族だったか、どんな人物かについて分かってないからきがかりではあるのよね」
「マイルズ子爵が確認したからねえ。まあ会議になれば分かることだし」
「そうね。今回の議題としては各国での魔王の因子たる人物の確認。及び魔王襲名と対勇者戦を総員が承諾する形で問題ないわね。とはいえ確認作業に近いものでしょうけど」
アプリコットはどれにしようか悩み、3個目はフルーツサンドを選んで手に取る。
「前例ではこの後どんな流れになるの?」
「さっき言った通りだけど、先ずは魔王の因子の特徴を確認。次に人物確認。この二つは形だけね。そして魔王を襲名することを8か国会議で宣言し、魔王の因子たるものはここで晴れて魔王を名乗ることができるの。その後の勇者との闘いはいつ、どこでといったところを決めるくらいね。最期に魔王の証として指輪を渡して会議が終了する」
「指輪?」
そう質問したキルウィーは、最期の1個がカツサンドになってしまい順番を間違ったと悔しがる。
「そう。歴代の魔王が名を冠するときに受け継がれるものなの。2代目以降今日まで、管理は8か国中最高齢のバルトネル最長老が率いるアーシール国内で管理されているわ」
紙袋の中身が空になったことを確かめ、アプリコットは立ち上がる。
「さて会議前の最終確認ね。一旦オーランゲと交代して、彼に休んでもらいましょう」
「了解―」
間延びした返答のキルウィーも立ち上がり、両名は会議室に向かう。
初投稿となります。
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