第2章-12
どれくらいの時間語っただろうか。ひとしきり言い終えたマシロはふうと一息つく。緑の髪の子供―そのままミドリと名乗る子供―を見ると、じっとこちらを見てからうんうんと頷く。
「そっかあ。若いのに国を背負って大変だね」
あっけらかんと言い放つ自分よりも幼い見た目の子供は同情したように答える。
「そういえば君の髪って真っ白だねえ。北部が故郷って言ってたけど、環境的な要因なのかな?」
「髪の毛?ああ、どっちかというと遺伝なのかな。父さんも白髪だったし、目の色も同じ灰色だ。村の人たちは灰色がかった髪の人もいたけど、茶系や金髪の人がほとんどだったな」
急に話を振られてやや驚きつつマシロは答える。
「ふうん。成る程ねー」
マシロはよく分からないが、ミドリは何か分かった風に呟く。
「よし。じゃあ君もいろいろと話してくれたし、さっきの君の質問のヒントをあげるよ」
唐突に話を切り出される。
「君の身体の治療とフロックサイスを倒した力だけど。あれはねーさっき君が語った中に近い力があるよ。あとは自分で考えてみるといいよー。それとぼくはこの辺でお邪魔するけど、これは餞別」
そう言い終えたミドリはマシロに近づき、頭に手をのせる。されるがままのマシロはやや警戒しながらもそのままの姿勢でミドリの顔を見つめる。するとぼやーとした感覚を頭部に感じ、真上を見ると頭の周りに薄緑色の靄がかかったみたいになっている。30秒くらい手をのせたミドリはゆっくりと手を下ろす。
「この森を抜けられるおまじない。ただし怪我したり、毒のあるものは食べちゃだめだよー」
その言葉を最後に、マシロの瞬きと同時にミドリは姿を消した。辺りを見回しても人の気配はない。何をされたのかは分からないが、焚火は残っている。彼は一体何なのだろう…、何が何やらと思いつつ夢見心地のような気分でマシロは夜が明けるのを待つのだった。
翌朝になり、前夜に見た星の位置から方角を割り出したマシロは東へと歩みを進める。不思議なことに周囲に魔物の気配を感じない。おそらくミドリがしたおまじないなのだろうが、本当に何者なんだろう…。そう思いながらも念のため警戒しながら、ミサカニの森の植物や手持ちの食料を頼りに進んでいく。そんなマシロがミサカニの森を超えるのにはそこから更に1か月を要したのだった。
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