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ハオトの魔王  作者: 月
20/38

第2章-5

 唐突に現れた人はデーモンのようで、バカラはマイルズ子爵と呼んでいたが、何やらバカラ自身は警戒しているようである。


「こちらの女性はリト様です。3か月ほど前にカーメリー外殻部より出現されたデーモンです」

事務的にバカラは返すが、何だろう…普段より警戒している。


「そうですか。初めましてリト殿私はマイルズ・カーメリー・アセテートと申すものです。爵位は子爵。バカラ侯爵より日頃より庇護を頂いている身ですが何卒よろしくお願い致します」

とても丁寧な物言いはバカラのようだが、イメージで言うとバカラの後輩?みたいな立ち位置と話し方だなあと感じていた。


「バカラ侯爵が生まれたてのデーモンを保護するとは大変珍しいものですね。大抵は私かセブンス子爵でしょうから」


「おやおや。随分と私は軽く見られたものですね。必要なことを必要な時にと私は申しておりますが、今回は必要なことであったというだけです。無論それ以外のことは不必要としたまででもありますがね」


 伺うような、或いは問うようなマイルズの物言いに、適当にあしらう様にバカラは返す。


「成程。リト殿はどうやら目を患っていらっしゃるようですが、バカラ殿はどういった案件で必要とされたのでしょう?」


 とマイルズが話した途端、空気が変わった。重く、そして敵愾心と殺気に満ちた空気が執務室を満たす。


「マイルズ子爵。あなたには大変お世話になっています。ですが私のお客人に対しての礼儀がなっていないのは頂けませんね」


 この場にいたわたしとバカラ以外のデーモン二人は、その殺気に気圧される。顔に玉汗を浮かべるピアニッシモ、額に冷や汗を浮かべる。


「……非礼をお詫び致します侯爵。私が出過ぎた真似を致しました」


 辛うじて、振り絞るようにマイルズ子爵は返答する。


「バカラやめて欲しい」

 

見るに見かねてリトは告げる。その瞬間すっとその場の空気が軽くなる。ほっとしたようなピアニッシモと、意外そうな顔を浮かべたマイルズ子爵。


「大変失礼致しました。ご容赦ください」


「リト様。子爵の不調法を申し訳ございません」


 マイルズ子爵とともにバカラはリトにお詫びする。


「別に構いません。ところで子爵の仰っていた案件についてお伺いした方がよろしいのでは」


「畏まりました。聞き取りましょう。子爵、詳細をお願いします」


「は。勇者はユーラス出立後南下し、ルピアース山脈に到達した後、現在ミサカニの森付近を移動しております。おそらく2か月程度でカドミーニに着くかと。一方、2か月程前の各国招集による会談の後、魔王の因子の捜索を行っておりますが、現時点でどの国においても確認されていないということです。この件についてバカラ侯爵に置かれましては何かご存じないかと参じた次第です」


 恭しくマイルズ子爵は返答する。勇者、魔王の因子についてリトは知らない。だがマイルズ子爵の発現に偽りはないことを感じ取り、同時に何か引っかかる気もしていた。


「勇者については私の知ったところではございません。あと魔王の因子についての情報も同様ですね」

そっけない返事を聞いたマイルズ子爵は小さく溜息をつき、


「分かりました。また困った際には相談に乗っていただきたく存じます」


「次はきちんと門扉から入ることを勧めますよ。2度目は私も侵入者かと間違って手を出す可能性がありますので」


「御意に…」


 その発言を最後にマイルズ子爵の周囲がぼやけ一瞬した後マイルズ子爵は姿を消したのだった。


初投稿となります。

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