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俺は女神の中の人  作者: 千佳のふりかけ
第三章『異端審問官になるぞ編』
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63話『蝸角之争』

 敵対する意志はないと伝え一応の和解を行った俺とシスター・メリー(旧レウコ悪魔)は、ジュエルから言いつけられた買い付けを終え宿に帰る最中見つけた洋菓子店に入り休息のひと時を過ごしていた。



「なあレウ子。俺思うんだけどさ」


「そノ呼び方やめロ」


「なあシスター・メリー。俺思うんだけどさ」


「ナに」


「やっぱ俺の服ってどう考えてもおかしいよな」


「なにガ」


「見てわかるだろ。肩口バッツンのジャケットにアホみたいな短さのスカートぞ。ジャケットの下は先端隠せればいいみたいな下着の意味を成してるかも分からない布切れ一枚ぞ。痴女やん俺」


「お前ノ戦い方に合わセて作られタんでショウ? ナにが不満なの」


「不満でしかねえよ。限度あるでしょ。確かにこの服なら動きの制限ないし、見せた覚えないのにホネホネ攻撃を出しやすいという偶然合致の利点には作り手の手腕に賞賛を送りたいところではあるんだけどさ。そういうのは置いといて、デザインがエロコスプレすぎるだろ」


「ワタシとそう変わラナいでしょ」


「普通に長袖パーカーじゃんお前。舐めんなよどつくぞ」


「デも下は履いてナい」


「それはオシャレじゃん。オーバーサイズパーカーで下は履いてないように見えるはオシャレじゃん別に。いいだろそれは」


「履いテないように見えルじゃなくて、履いテナい」


「いいだろパンツくらい見えても」


「じゃあそっちもソレでいいデしょ」


「こっちはオシャレでこんな格好しないだろって。明らかコスプレ衣装すぎるだろこっち」



 メリーはグルグル模様の目で俺の服装を凝視しながらそうかなぁと呟く。



「人間がドんな服装を正常トシ、異常とするのかヲワタシは知らないからナんとも言えない。別に隠すべき所は隠せているんだからソレでいいのデは?」


「芋虫にこの辺の感覚の理解は難しいか」


「芋虫って言うナ」


「ラトナに居た頃の感覚でこの服装になるならまだ良かったんだよ。あそこにいる連中ほぼ冒険者だったからモンハンとドラクエの中間みたいな格好した人らばっかだったし。ワンチャンビキニアーマー着てても許されそうな温度感だったしこの服装も受け入れられてたと思う」


「へえ」


「でもさ、寒い地域に来ておかしさに気付いたよね。ここの人ら普通に洒落た刺繍入ったコート着てるじゃん。コルセットで腰周りを強調したガチドレス着てるじゃん。紳士淑女が闊歩してるじゃんこの街。おかしいやん俺だけ、肌色見せすぎじゃん」


「確かに人間ノ肌は気味悪いネ。毛が少なすギる、異様なまデニつるつるだ。ミミズみたい」


「違うのよそうじゃなくて。……人間の皮膚を指してミミズみたいは新視点すぎるだろ。じゃなくて、どう考えても浮いてるだろって俺」


「ワタシモ同じくらい見られてルしそんなモんでは?」



 そりゃさ、メリーだって周囲と比較したら変わった服装であるのは間違いないから注目を集めてはいるさ。いるけど、メリーを見る目と俺を見る目では明らかに方向性が違うんだよな。

 変わった格好の人がいるなーとやばい格好の人がいるなーの違いなんだよ。この感覚伝わらんかね。



「なんだかなぁ。服のデザイン練り直してくださいって上に発注かけることって可能なのだろうか。このコスプレ衣装で方々駆けずり回るのはちょっと厳しいものがあるぞ……」


「どうセ同じようナ服を出されるだけでしょ。似合う似合わないで作ってるンじゃないんダし」


「機能面で言えば妥当な作りなんだもんな。戦い方に合わせて合理的な戦闘服を仕立てた結果、かなりコンパクトな布切れ数枚が出来上がっちまったと。はあ……」


「ワタシがセーレの身体ヲ使うのなら服ナんて着ないけど。敵に突っ込む戦い方シか出来ナいセーレにとって服なンテ邪魔なだケでしょ」


「野蛮人じゃねぇっつってんだろ。なんだ敵に突っ込むだけって、俺は俺なりに考えて戦ってるつもりだよ。痛いの嫌だし。とにかくこんな痴女ルックで街を出歩きたくねえんだよ」


「ワタシの前の宿主に対しては紛うことなき痴女に成り下がっテたじゃん。似合ってルよ」


「ぶっ殺すぞ。もう一度金玉捻り潰される痛み味わうか? 古傷呼び起こす魔法今ここで使ってやろうか?」


「ヒィィッ!」



 脅しに対しメリーが股間を手で押えつつ怯えきった顔で弱々しい悲鳴をあげる。女の体でその動きされると滑稽極まりないな。



「てか異端審問官の戦闘服ってどれもこれも肌の露出多すぎないか? お前もなんだその太もも大公開。ワルワラさんも谷間パッカーンしてたし。修道女としてあってはならん事態だろ」


「みんな受け入レてるしそういうもんナんでしょ」



 あっけらかんと言うなあコイツ。まあ本体が芋虫だから、人としての羞恥心とか持ち合わせてないんだろうし無自覚なんだろうな。無自覚。ふむ、無自覚。



「メリー」


「なに」


「胸揉んでいいか?」


「……ナんで?」


「こうして見るとメリーも意外と胸あるんだなってことに気付いて。お前は人間じゃないんだからそこら辺の感覚も鈍いだろ、人としての尊厳とか持ち得ないよな。揉ませろよ」


「嫌ダ」


「なんで。減るもんじゃないんだしいいだろ」


「言いなガら手を伸ばすな!! ひっ!? コッち来ないで! やめてええぇぇっ!!?」


「ぐへへへへっ! 肉体が幼女になったとしても俺の心は男のまんまだからなァ〜、合法的に手出ししていい異世界美少女がポップしたのなら好き勝手するのが常道よなぁ〜!」


「手ヲ出していいとは一言も言ってナいだろ!? やめろケダモノ! こっち来ルなぁ〜!?」



 丸い机の周りをぐるぐる回りながらの追いかけっこが始まる。


 おーおー余計に注目を集めてるわ。

 大きく足を開けばすぐにパンツが見える女と全体的に肌色が見えまくってる幼女の人目を憚らない追いかけっこだもん、そりゃ目も留まるわ。


 くぅ〜、とっ捕まえるより先に羞恥心が勝ってしまった。追いかけるのをやめて椅子に座り直す。



「ふぅ。疲れた」


「ぜェ……ぜぇ……」


「おー。息切らすと指先がまだら色になるのか。なんだそれ、血中酸素足りなくなって中身の蛆虫が酸欠起こしてんのか? 冬虫夏草もどきの癖に引きこもりスタイルと相性の悪い生態してんな」


「蛆虫だノ冬虫夏草だの好き勝手言ってくれル……」


「ぎゃははっ。睨むなよ〜グロ虫、お前のまだら目ん玉、常に動いてっからきしょいんだよな〜」


「ワタシやっぱりお前嫌いダ!!!」


「なんじゃそりゃ。お前あんだけ俺のこと怖がってたくせに、敵意がないって分かったくらいで俺に抱いてた嫌悪感全部まっさら無くなってたわけ? 普通、和解したとしてもそういう悪感情は若干残るもんだぜ?」


「人間ト一緒にするな。悪魔はそんな事一々気にしナい」


「ビッグマウスだなそれは。単にお前が心広いだけだぞ絶対」


「そんな事はナい。悪魔は特定の対象に対シて恨みなんか募らせナい。習性として、悪魔は人間が取っ付きやスイ人格形成をするよう出来ていルから」


「はーん。嘘を吐かないだの言ってたのもそれの一環?」


「そう」


「それが本当ならネーミングと実態が伴ってないから改名した方がいいぜ。悪魔じゃなく素直馬鹿って種族名に変えた方がいい。……あ、そう思わせといて警戒心を解くのが目的なのか」


「結果的にハそうなるネ。別に意図して警戒心を解こうトしてるわケデもないけど」


「建前でも意図してるって言ってやれ。じゃないと素直馬鹿のしっくり感が増すし、そんな間抜けな生き物を純粋無垢な良い奴らだと思って利用するつもりが逆に捕食されちゃう人間サイドがダサすぎるだろ。尊重しろよ、知り合い曰く人間はこの星のテッペン取った生き物なんだぞ」


「そノ知り合いは随分人間の事を高く評価してるンだね。テッペン取るもナニも、単に個体数が多いかラ種族的優位に立ててるだけでショ」


「こりゃまた辛口評価だ」



 異論はないけど意外だな。爆乳鬼畜ノッポのテルシフォンとはまた違った目線で人間を評価してるんだ。ひとえに悪魔っつっても思想はそれぞれ異なるんだな〜。



「話は変わるけど、今回の任務ってなんなん? お使いの方じゃなくて俺らがこの街に集められた本元の依頼内容を知らないんだけど」


「ジュエルから聞いテないの?」


「多分聞いたけど忘れた」


「えぇ……。ワタシ達の任務ハこの街に隠れてる吸血鬼を見つケて始末する事だよ」


「吸血鬼?」



 吸血鬼も居るのかこの世界。そんな悪魔やら吸血鬼やら魔物やらがポンポンいるのによく滅びずにやってけてるなぁこの世界の人類。



「てか始末て。俺もメリーも立場上はズブの素人扱いだよな。そんなお荷物二人抱えて出来る任務内容なのかそれ」


「ワタシは、といウかメリーはお前より先に班に配属されテる。括るナ」


「てめぇさっき前回の任務トチったって言ってなかったっけ。期待してないとも言われてたよな」


「うっ……ダって久しぶリに完全寄生した直後の出来事だっタシ……この身体、攻撃魔法何も使えナいし……」


「体術の成績がピカイチなんだったよな。上手く操縦してやれよ芋虫、宝の持ち腐れだぞ」


「体術ハ魔法と違ってコッチ側に再現する手段ナいだろ!? 無茶言うナ!」


「じゃあマジでお荷物じゃんお前」


「ううっ!?」



 そんな落ち込んでますけども、めちゃくちゃ体術が強いって理由で配属されたのに肝心の体術が使えないってなるとマジでいる意味ないだろ。攻撃力にステ振ってるのにこうげき技一つも覚えてない格闘家とかリストラ候補筆頭じゃん。


 メリー・ローレルに成り代わるとか言ってるけど、この様子じゃ生前のメリーが積み上げた物とか何一つ活かせずに終わりそうだよなコイツ。



「……別に我流でいいナら、やりようハあるシ」


「アホな方向に関節曲げたり身体部位を虫変化させたりする方法か? 少なくともシスター・メリーとしての生き方はできなくなるなそれは。またしても悪魔としてお前の討伐依頼が下る事だろうよ」


「うううぅぅ……やりづラい。なんでよりにヨッて異端審問官なンかに……」


「さっさと次の宿主見つけて鞍替えしたら?」

「それはシない」



 うおっ。食い気味で否定された。まーたまだら目ん玉がこっち向いてる、回ってんな〜蠢いてんな〜。



「なんで。そういう契約だから?」


「契約内容は優しク殺してダッた。だからそレは違う」


「安楽死させてって望まれるとか悪魔として箔がつくな。それはそれとして、じゃあお前を縛るもんは何もないんじゃねーの?」


「……メリーは生きテる事は幸せじゃなイと語った。ワタシは真っ当に生きル事すら許さレず、一人で生きラれる肉体すら与えられずズッと消滅を願われテきた。ワタシは、死を救済のように捉えていたメリーの最期を否定シたい。だからこの肉体ハ棄てない」


「自分より恵まれてる奴が不幸ぶってるのを見てムカついたって話か。すっごい、悪魔の癖にみみっちい〜」


「うるサい」


「でも本体はちっこい虫なんだもんな。等身大の度量ではあるか」


「本当にうるサいなお前!? 一々癪に障る事を言う、見下しやがっテ……!!」


「見下してはないよ。悪魔の習性とやらで? やたらと素直に感情をむき出しにして応対してくれるからつい楽しくなっちゃった。腹の探り合いとか大っ嫌いな短慮馬鹿だからさ、俺。同じ目線で話せる相手が居るとお口が弾んじゃうんすわ」


「同じ目線の相手には罵倒暴言ヲ吐きまくルのか。サては友達いないナお前」


「殴んぞ」


「やってミろ」


「てかお前も俺の言動にムカついたら殴っていいぞ。そんくらいの勢いできた方がこっちも心置きっ」



 ボゴッ。正面に座るメリーが俺の頬に拳をぶつけてきた。痛い。



「……喋ってる最中に殴るのはどうなんだるっ」



 ボゴッ。もう一発殴ってきた。今度は唇を、真顔で。



「こいつ殺す」


「やってミろ」



 机越しに手を伸ばしメリーの髪を掴もうとする。メリーはそれを躱す為に勢いよく椅子に座ったまま後ろに下がり、椅子の足が床の木目に引っかかって盛大に背中からコケていた。






「こんな時間までどこで油を売っていたんだ二人とも。というかなんだその顔、蜂の大群に襲われでもしたのか?」


「「……」」



 宿に着き買った食材を見せようとしたらジュエルに正座させられた。

 俺もメリーも殴り合った影響で顔面が有り得んくらいに腫れ上がっており、それを見て何があったのかを悟った様子のフレイとワルワラさんはジュエルの後ろで声を押し殺しながら笑っている。



「くくっ……一緒にお使いに言ったおかげか随分仲良くなったみたいだね二人とも」


「どこがでふか」「仲良くナひ」


「あら息もぴったり。同期だけあって相性が良いのかもね!」


「どこがでふか」「相性良くナひ。最悪」



 睨み合う俺とメリーを見て大きなため息を零したジュエルが咳払いをする。何か言いたげな空気を感じたのでジュエルの方に視線を配りつつ、肘で攻撃したら攻撃し返された。



「仲良いのは結構だが「「どこが!?」」黙れ。仲良いのは結構だが街の人との交流はどうなった? 会話から不審な情報を得たりこの街の地理を把握するためにお前らを外に送ったんだが、そちらの任務はこなせたのか?」


「なんじゃそりゃ。最初からそう言えよ回りくどい」


「それに関シては同意見。何かシてほしイなら省略せず全て伝えルべき」


「だよなメリー。私ら腹の探り合いとか大っ嫌いだもんな」


「うン。1つの言葉かラ複数の意図ヲ汲み取れとかどう考えても伝える側の怠慢を誤魔化すためノ言い訳」


「つまり任務はこなせなかったと」


「いいや違うね。こなせなかったんじゃない、伝える側の情報に不備があった」


「つまりワタチ達は悪くナい」


「よし分かった」



 ガシッとジュエルに頭を掴まれる。横にいるメリーも同様に頭を掴まれていた。メリーと目を合わせる。



「シスター・ワルワラは引き続き情報の収集に当たってくれ。フレイは反応術式の設置の続きを。私はこの新人どもの教育に当たる」


「了解」


「はーい了解!」



 キョウイク? 俺と目を合わせているメリーの顔が少しずつ青くなり頬を汗が伝う。そうしている間にどんどん頭を掴む指の力が強くなっていく。



「セ、セーレがワタシの事ヲずっと馬鹿にシてきたんです!!! お前はお荷物ノ役たたずダって、そんな事ばっかリ!! だからつい頭に来ちゃっテ!!」


「おーい待て待て待て。おかしいな先に殴ってきたのはそっちだぞメリー! その言い方だとまるで俺が一方的に悪口言ったみたいになるだろ!? 嘘吐かないんじゃねえのかよ人の事売るんじゃねえ!!!」


「嘘は吐いてナいもん本当の事だもン!! ずっとワタシを馬鹿にしてきた煽ってキた、だから悪いノはセーレ1人ダけ!!!」


「ざけんな売られた喧嘩を買った時点で同罪だから!? てかお前の最初の態度がその顛末の直接的要因と言っても過言じゃないからつまりお前にも責はあるから!」


「イーーーヤない!!! あれだって真実だもんお前はワタシを殺ソうとした!」


「またその話ぶり返す!? 細かい事は一々気にしないんじゃないのかよ!!」


「ジュエルは怒ったら一切聞く耳を持たなくナるしねちっこイし加減を知らナいし面倒くさいから丸く収めようとしてルの! セーレだって普段のジュエルを見てレば分かるでしょこの人のめんどクささ!! だから話を合わセて! ワタシが失礼ナ態度を取ってたノは事実だシ、だから気に食わなクてみたいに言えばもしかしたら今回だけ特例で許すって方面にオチがつくかもシれないし!!」



 まくし立てた後に真っ青な顔をしたメリーの口から「あっ」という声が漏れた。全てまろび出た後に気付いたようだ、火に油を注いでいたということに。


 鷲掴みにされているメリーの髪がくしゃっと形を変える。

 瞳のまだら色が滲み、ボロボロと涙を零しながら震える唇でメリーが何か言おうと頑張る。が、それは言葉にならずただ怯えた幼子のように意味のない「あっ……うぁ……っ」という音にしかならなかった。



「わ、私は、シスター・ジュエルのこと尊敬してますよ? 頼りがいのある先輩だなぁって思ってますし、シスター・ジュエルこそが私の目指すべき目標だと思ってます。めんどくさいだなんて思ったことは一度たりともありませんし、それに」



 くしゃっと、俺の髪が握り込まれるのが感覚で分かった。



「今回の件に加えて、お前には色々言っておきたい事があるのだシスター・セーレ。異端審問官としての自覚、己の立場というものの理解、諸々が欠けているお前にはしっかりと指導をしなくてはな。頼りがいのある先輩とまで言ってくれたんだ、今日はみっちり付き合ってもらうぞ」


「……う、うえぇ」

「嘘泣きは大衆の面前でなら通用したがな。ここには私達しか居ない。例えそれが嘘泣きであろうとなかろうと、意味があると思うか?」



 なるほど、詰んでんだ。悪魔であるメリーが怯えて泣き崩れるくらい絶望的な状況なんだもんな、俺にはどうする事も出来ないと。嘘泣きを乱用したツケが回ってきたなぁ……。


 てかおもっくそ両手使ってますけど、何とかの代償で失った設定の片腕蘇ってんのかよ。蘇るもんなんかい。じゃあなんだったんだ今までのシリアスな感じ。茶番じゃん。

 こっちもこっちで文句言いたいんですけど、でもそれ言ったら余計強火になっちゃうよな。黙っておこう。



 その後、怒り冷めやらぬジュエルの指導によって長時間の拘束・折檻を受けた俺達が解放される頃にはすっかり日が落ちていた。


 延々と泣きべそをかくメリーに寄り添いながら思った。やっぱ大声を浴びせる系より淡々と言い聞かせてくる系の説教をする人の方が怖いんだな。


 素の女口調で静かに語りかけてくるジュエル、死ぬほど怖かった。ちゃんと涙出た、真っ当に怒られて唇が震えたのなんていつぶりだろうか。


 これまでの経緯による好き嫌いや軽口を叩ける相手という先入観は捨てて、ちゃんとジュエルの言う事は聞こう。


 もう二度とジュエルに叱られたくない。次同じような叱りを受けたら俺、異端審問官続けられない。そう心に刻みながらメリーの頭をよりいっそう強く抱いた。

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