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完璧な幼馴染と凡人な僕  作者: Kouga
一学期
19/20

休み時間3

 園内にあるレストランで昼食をとり、午後も動物園を満喫した。


「一九十先輩、お土産を買いに行きましょう!」


「いいけど、ここ来たことある人多いからお土産になるか分からないよ?」


「いいんです!何を渡すかではなくて、渡すことに意味がありますから」


「そういうもんか、なら別行動しよう。その方が効率がいい」


「わかりました。では集合場所とかどうします?」


「三十分後にこの場所でいいんじゃないか?」


「了解です!では後ほど!」


 加奈は少し駆け足で売り場へ向かった。僕も後に続く。



(三十分後)



 買い物を済ませて待ち合わせ場所に向かうと、すでに加奈が待っていた。


「先輩遅いです。普通一時間前行動ですよ!」


「三十分しかないのに無茶を言うな!時間の概念無視してんじゃん」


「冗談です。で一九十先輩は誰に買ったんですか?」


「僕はあいつにパンダのキーホルダーを買ったよ。あとこれ」


 僕は加奈に二つ持っていた袋のうち一つを渡した。


「え?私にですか?」


「うん、この前の放課後にカフェを奢ってくれただろ。それのお礼だ」


「先輩は律儀ですね。明けてもいいですか?」


「どうぞ、大したものじゃないけど」


「買ったお店の近くで大したものじゃないって言っちゃだめですよ」


「そうだな」


 袋を開けて、加奈はとても嬉しそうにしている。驚いていない所を見ると何を貰うかは、未来を見て知っていたのだろう。


「ありがとうございます。これ大事にしますね!」


「ああ、そうしてくれ」


 僕が加奈にプレゼントしたものは、レッサーパンダのぬいぐるみだった。


「それでは一九十先輩、私からもどうぞ」


 加奈は一つしかもっていない袋を僕に渡してきた。


「え?それ、誰かへのお土産じゃないの?」


「ええ、一九十先輩へのお土産です」


「いや、僕一緒に来てるじゃん!」


「いいんですよ。受け取ってください!」


 袋を開けて僕は驚いた。中に入っていたのはレッサーパンダのぬいぐるみだった。


「え?これ同じものだよね?」


「いいえ。これは私が買ったレッサーパンダです。売り場にあった時点では同じものかもしれませんが、私が一九十先輩に渡したいと思って買った時点で、それは違うものになったんです」


 なんかまた難しいことを言っている。


「一九十先輩が買ったレッサーパンダも、先輩が私のために買った時点でそれは違うものになったんです。他のものには代えられません」


「気持ちが入ってるってことか?」


「そういうことです!それに……」


 加奈は少し恥ずかしそうに笑顔で続けた。


「お揃いにしたかったんです」


「わかった!有難く貰っておくよ」


「はい、大事にしてください」


 結局あげてもらってなので、また今度別のお礼を考えた方が良さそうだ。


「そういえば、加奈の他の人へのお土産は?」


「渡す相手いないので買ってないですよ」


「……」


 可哀想すぎて、また涙が出そうだ……。


「やめてください!可哀想な目で私を見ないでください!一九十先輩も未来先輩を抜いたら似たようなものじゃないですか!」


 おっと、考えが顔に出てしまったみたいだ。


「よし!この話は終わりだ!お互い悲しくなるだけだし」


「あ!逃げた!」


「大丈夫、加奈には僕がずっと友達でいてあげるよ」


「はぁ……。それは遠慮します」


「なんでだよ!」


 加奈は悲しそうな顔をして、うなだれている。そんなに嫌なの!傷つくんだけど……。


「では、そろそろ帰りますか。一九十先輩手を出してください」


「手?こうでいいのか」


 右手の手のひらを上に向けて加奈の方へ向ける。


 ギュ!


 手を握られた。驚いて言葉を失う僕に加奈は照れながら言った。


「一応デートですからね!手を繋ぐくらい普通です。別に私が繋ぎたいからとかじゃなくて、未来を変えるためにですからね!」


 握られた手は、とても小さく温かかった。人と手をしっかり繋ぐのはいつぶりだろうか。とても新鮮で懐かしい気持ちになった。



~地元の駅前~



 電車から降りて繋いでいた手をほどく。


「今日一日楽しかったです。また行けるといいですね」


「結局、未来は変わったのか?」


「残念ながら、変わらずです」


「そう簡単には変わらないよな」


 予想通りだったが、可能性がゼロではなかっただけに、ほんの少しガッカリな気持ちになったが。


「お別れのキスをしたら変わるかも……」


 また変なことを言っている。僕のためにそこまでしなくても。


「いや、それは好きな人のために取っておけ」


「……」


 恥ずかしいのか、落ち込んでいるのか、加奈はうつむいて、顔を隠した。


「未来を変えるのはまた今度一緒に考えよう。今日はいろいろありがとう」


 素直に感謝を伝えて、加奈の頭をなでた。加奈は切り替えたように顔を上げた。


「そうですね、また今度考えましょう!それでは一九十先輩また明日学校で」


 そう言って加奈は家に帰っていた。



~家~



 帰宅すると何故かあいつがくつろいでいた。もう驚きはしないが。


「ただいま、これあげる」


「おーありがとパンダ!」


「せめて中身見てから言ってくれ」


 本当にプレゼントし甲斐が無い。演技でもいいから驚いてくれよ。


「えー、めんどくさい。で、動物園デートどうだった?」


「楽しかったよ。普通に」


「ふーん。今度私とも行こうね」


「動物園に?」


「いや、アニメイト」


 いつも通りじゃねーか!


「いいんだよ、動物見ても面白くないし」


「今日動物園行ってきた人の前で言うなよ!」


「癒しは二次元にある!」


 こいつのオタクは止まらないらしい。前より重症化してそうだ。


「アニメは病気じゃなくて薬なんだよ!」


「意味わかんないこと言うな!」

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