表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完璧な幼馴染と凡人な僕  作者: Kouga
一学期
18/20

休み時間2

~電車の中~



 移動時間は一時間と少し、乗り換え一回で行ける動物園を目指している道中


「なんで、こんなに人が多いんですか?はぁ……」


 井上が不満そうに言う。


「日曜日だしな、仕方ないだろ」


 と言っても、通勤ラッシュのようなギュウギュウというわけではなく、席が埋まり数人立っているような状況だ。普段電車を使わない井上からしたら席に座れない時点で混んでいる扱いになるのだろう。まぁ、僕も電車を日頃から使うわけではないのだが、これが貧富の差ってやつかな。


「これなら車にすればよかったです」


「そう言うなよ、こういう移動時間も出かけた時の醍醐味だぞ」


「そういうもんですか。では何か先輩が面白いことをしてください」


「唐突な無茶ぶりだな!しりとりなんてどうだ?」


「おーしりとり!やってみたいです!!」


 すごい食いつきだ!やったことが無いのだろうか?


「私、強いですよ!暇なときに一人でやってましたから!」


「……」


 やばい、涙出そう。可哀想すぎないか?前のトランプゲームも友達とやったことなかったみたいだし、こいつも僕と一緒で友達がいないんだな。


「ん?どうしたんですか?早くやりましょう!」


「その前に一つ確認なんだが、お前の未来予知って会話とか聞こえないから、しりとりで発揮されないんだよな?」


「そうですけど、なにか?」


「いや、この前神経衰弱やった時に騙されたからな。」


「ふっふっふっ、そんな小細工必要ありません」


「やけに自信あるな」


「今回も前みたいに賭けをしましょう!その方が楽しいですし」


「かけるものも前と同じでいいのか?」


「はい、それでいいですよ」


 こうして移動時間の約一時間はしりとりで潰れたのであった。



~動物園の最寄り駅ホーム~



「なんでだ。どうしてそんなに強いんだ!」


 一時間の激闘の末、シンプルに負けた。勉強ができないはずのこいつがどうして……。


「ふっふっふっ、しりとりは語彙力だけではないんですよ」


「どんだけ研究してんだよ!」


「それでは、先輩には負けの代償を払っていただきます!」


 神経衰弱の時の代償もまだ払っていない気がするが、今回はすんなり要求が出てきそうだな。


「で、何をすればいいんだ?金銭的には無理だぞ」


「えーと、そうですね。名前を呼んでほしいです」


「ん?『井上』。これでいいのか?」


「えーと、そうではなくて……」


 目を逸らし、言葉に詰まっている。そんなに言いにくいことなのだろうか?


「その……。下の名前で呼んでほしくて……」


 下を向き、手をもじもじさせている。まぁ、そのくらいならかまわないが。


「いいけどお前、名前なんだっけ?」


「ガーン!!」


 露骨にがっかりしている。なんなら少し涙目でもある。


「冗談だ冗談!その代わり加奈も僕のこと下の名前で呼べよ!一方的なのは、なんか嫌だ」


 加奈は顔を上げて笑顔になる。すごくわかりやすい。感情の起伏がジェットコースターみたいだな。僕らがこれから行くの動物園なんだけど。


「では私は今後一九十先輩って呼びますね!」


 あいつ以外から名前で呼ばれるのは少し照れるな。


「とりあえず、動物園に行こう」


「あれ?一九十先輩顔赤いですよ?どうしたんです?」


 にやにやしながら楽しそうに聞いて来る。


「いいから、行くぞ加奈!」



~動物園~



「それで一九十先輩、何から回ります?」


「そうだな、パンダが人気らしいけど」


「ではパンダにしましょう!かわいいのは大好きです!」


「そういえば赤ちゃんパンダが最近生まれたらしい、ニュースになってた」


 そこそこ大きい動物園なので、敷地も広く種類も豊富。一日で足りないぐらいだ。


「赤ちゃん!すごく見たいです!」


「どうだろう、生まれてすぐは公開してないんじゃないかな?」


「大丈夫みたいですよ。未来見たら赤ちゃん映ってました!」


「おい、そんな使い方するな!」


「最近、見たい未来をピンポイントで見れるようになって来たんですよね」


「僕からしたら嫌な成長だな」


 というか能力って成長するのか?あいつのテレパシーの受信距離が成長したら僕のプライバシーはどうなるんだ……。やめてもらいたい!


「一九十先輩のことならなんでも見えますよ!」


「どんどん発言がストーカーになっていくんだよなー」


「早く赤ちゃんパンダ見に行きましょう!」


 加奈の予知通り赤ちゃんパンダを拝むことができた。


「可愛かったですねー。抱っこしてみたいです!いくら出せば抱っこできますかね?」


「次はどこに行く?見たい動物とかない?」


「そうですねー。隣のレッサーの方を見に行きますか」


「二足で立ってるところ観たいな」


「先輩知ってますか?レッサーパンダってもともとただのパンダだったんですよ。それがジャイアントパンダがパンダと呼ばれ始めて、名前にレッサーが着いたんです!」


 すごいドヤ顔だな。なんでこういう知識だけ持っているんだ?しりとりの時と言い知識偏りすぎだろ。


「へーそうなんだ。そう聞くとレッサーパンダはなんか可哀想だな」


「それよりレッサーパンダの第一発見者が可哀想です。レッサーってより小さいって意味ですからね。比較のジャイアントパンダが現れなければ、今のパンダはレッサーの方でしょう。ちなみに英語では別名レッドパンダって呼ばれていて茶色い毛が赤く見えるからだとか。レッドパンダの方がヒーローぽくてかっこいいですよね」


 めっちゃしゃべるな!加奈が満足そうにこっちを見ている。よかったな、知識を披露出来て。


「よく知ってるな、どこで知るんだその知識」


「一般教養ですよ。最近の女子高生はこんなもんです!」


「そんなわけないだろ!」


 久しぶりにそのフレーズ聞いた。加奈は普通の女子高生ではないことを自覚した方が良い。ジェット機チャーターできる女子高生が普通であってたまるか。


 そんな会話をしながら動物園をまわり、加奈のおかげでより楽しむことができた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ