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完璧な幼馴染と凡人な僕  作者: Kouga
二学期
20/20

一限目

目が覚めると、僕は教室に一人だった。窓からは夕日が差し込み、授業が終わり放課後であることを知らせる。


「あー、寝ちゃったのか」


クラスメイトはみんな下校したらしい。確かあいつからは用事があるから先に帰るとメールが来ていたはず。二年生に上がってから、一緒に下校しないことが増えた気がする。


「そういえば、どうして寝てたんだっけ?」


 寝ぼけているのか、記憶が曖昧である。おそらく昨日のオタバナで徹夜したせいだろう。授業が終わったら、すぐ帰るのが習慣のはずが、教室で寝てしまうほど眠かったらしい。


僕も帰ろう。寝るなら家のベッドがいい。



(帰宅後)



 用事が終わったらしいあいつが、いつも通り家に来た。今日の放課後に教室で寝てしまった話を聞いてもらう。


「だからお前のせいで爆睡したもんだから、もう少し申し訳なさそうにしろよ!」


「いっ君、何言ってんの?」


 悪びれもせず本当に自分は悪くないみたいな顔をしている。文句を言ってもこいつには届かないらしい。


「昨日は私ここに来てないよ?」


「え?」


 あれ?昨日はオタバナをしてないのか?まだ寝ぼけている?じゃあどうして教室で爆睡してたんだ?


「混乱してるみたいだね。まぁ、しょうがないよ」


「おい!何か知ってるのか?」


 自分の記憶を信じられない。軽く恐怖するレベルだ。


「簡単に説明すると、今いっ君の記憶は空白がいっぱいある状態なの」


「どうしてそんなことが?」


「これ以上はフェアじゃないから言わない」


 フェアってなんだ?自分の記憶が曖昧な状態は気持ち悪い!早く何とかしたい!


「大丈夫だよ。どうせ大した記憶じゃないんだし。いつか回復するよ」


「失礼だな!お前また何か裏で動いてるだろ!」


「ないしょ」


 これ以上問い詰めても何も出てこないだろう。仕方ないあまり深く考えないようにしよう。


「そういえば転校生ってどんな子?」


「どんなって普通の子だったよ。まだ話してないから、あんまりわかんないけど」


「ふーん、そうなんだ」


 どうして突然転校生が気になったのだろう?まぁ、「アニメの設定みたい!」的な理由で興味を持っているだけの気がする。


「半分正解かな」


 意味ありげにそんなことを言われた。だから何を知ってるんだ!



(次の日)



「いっ君は昨日学校でいっぱい寝たから徹夜しても眠くないよね!」


「そんなわけないだろ!バリ眠いわ!」


 学校で寝たといっても二時間か三時間程度の睡眠だ。逆にどうしてお前が眠くないのか毎回不思議でしょうがないわ。


「私は徹夜に慣れているからね。あと二日ぐらいは起きられるよ!」


「いや、それはもうバケモンだろ!人間をやめている」


「まぁ、実は人間じゃなくて宇宙人でした。的な展開がアニメだと面白いんだけどねー」


「またオタクが出てるからな。気をつけろ」


「はーい」


 本当に隠す気があるのか疑わしいな。ばれても問題ないような気がするが……。



~学校~



 教室に入ると光記の姿が見当たらなかった。なんか定期的にいないんだよなあいつ。さぼりってわけではないと思うのだけど。先生がなんも言ってないし。


 自分の席に腰を下ろし、朝のホームルームを待つ時間を使って、少しでも徹夜の睡魔を取ろうと腕に顔を埋めたタイミングで、誰かから話しかけられた。


「おはよう、早川君。それともおやすみかな?」


「あれ、君は確かこの前転校してきた……」


「宇兎麻衣だよ。君じゃなくて麻衣って呼んでよ。私もいくと君って呼ぶから」


 ほぼ初対面で下の名前で呼び合うのはなんか照れるが、断るのも失礼だしな。


「じゃ麻衣って呼ぶよ。その麻衣が僕に何の用?」


「用がなきゃ話しかけちゃダメなの?クラスメイトじゃん」


「いや、ダメってことはないけど、麻衣は金髪だから一緒に居ると注目を浴びる。僕はあまり注目を浴びたくないんだ」


 そんなことを話していると、まだ転校生の熱が冷めていないであろう他のクラスメイトが会話に入りたそうに話しかけてきた。


「宇兎さん。一九十と何話してるの?俺も混ぜてよ!」


「特に用がないなら話しかけないで下さい。」


 あれぇー?数秒前に言ったこと忘れちゃったのかな?「クラスメイトじゃん」って発言した人とは思えない速度の拒絶だった。拒絶された僕のクラスメイトでもある男の子がとても悲しい背中を見せて自分の席に帰っていく。


「確かに私の見た目は注目を集めますね。ホームルームまで時間がありますし、少し場所を移しますか」


 そういって半強制的に中庭に移動。昼休みはにぎわっている中庭も朝は人気がなく、ガラッとしていた。


「用が無いみたいなこと言ってたけど、本当は用があったってこと?」


「まぁ、あるといえばあるって感じだね」


 そう言って麻衣は両腕を広げる。


「いくと君も真似して」


 意味が分からなかったが言われたとおりに広げる。ラジオ体操みたいだ。朝だしな。くらいの感想しか出てこない。


「えい!」


 声と同時に視界から麻衣の姿が消え、体が締め付けられる。どうやら飛びつかれたらしい。突然のことだからなのか頭の中が真っ白になる。なんで今抱き着かれている?


 抱き疲れたまま何もせずに十分が経過した。その間、麻衣は一言も話さなかった。


「なにやってるんですか!」


 抱き着かれたまま声のする方を向くと加奈がすごい表情でこちらに寄って来ていた。


「先輩!その人例の転校生ですよね?なんで抱き着かれているんですか?」


「いや、なんでって言われても……」


 説明が難しい。なんでかは僕も知りたい。


「私忠告しましたよね?その人には気を付けろって!」


「忠告されていたっけ?」


「というかいつまで抱き着いているんですか!離れてください!」


 そう言って加奈は麻衣を無理やり僕から引き剝がした。


「もー邪魔しないでください!あと少しで台無しでしたよ」


「今先輩に何をしたんですか?」


「何も?ただ抱きしめていただけです。私たち仲良しなので!」


 加奈が問い詰めるが麻衣は何も答えない。ただ抱きしめられただけな気がするが、何かされていたのだろうか?


「いくと君そろそろ教室に戻ろ。ホームルームが始まっちゃう」


「もうそんな時間か!」


「先輩!大丈夫ですか?」


 心配そうな目で加奈が確認してくる。


「何が?特に何もないけど?」


「そうですか。では今日のお昼またここで話しましょう」


「あーそのことだけど、今日からお昼は麻衣と食べることにしたから」


「え?」

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