表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完璧な幼馴染と凡人な僕  作者: Kouga
一学期
15/20

十五限目

 今日の昼に井上を誘った女の子たちは、一昨日僕が話しかけた女の子たち。噂を理由にあの空間を放任していた、そんな彼女たちが日をまたいで友達を名乗り出る。自分を笑っていた奴と一緒にいて心地いいはずがない。


「でも先輩、いいじゃないですか。周りからは仲良しに見えるんですから」


「その周りに僕が含まれていない」


「……先輩は特別なんで」


「お前はもう少し自分を大切にした方がいいと思う」


 自己中心的と馬鹿にする人はいるが、井上は他者中心的すぎる。その分自分が苦しんでいる。


「お待たせしました」


 店員さんが料理を運んできた。


「話はあとにしましょう。まずはご飯です!」


「オレンジジュースが二つ、オムライスが一つ、パンケーキが一つ、ご注文の品はお揃いでしょうか?」


「はい、ありがとうございます」


「僕は飲むだけだけど。お前はすごい食べるな」


「何言ってるんですか?こんな量一人じゃ無理ですよ」


「じゃーなんで頼んだんだよ!」


「いいじゃないですか。食べたかったんです!半分こしましょう」


「はぁー、しょうがないな」


 井上が楽しそうなので良しとしよう。


「どうぞ先輩!」


 オムライスを取り分けてくれた。思ったより量がある。夕飯食べれるかな……。



 食事後、中身のない雑談をしていたら、外が暗くなってしまった。


「そろそろ帰らないと親が心配するんじゃないか?」


「そうですね。では最後に忠告です」


「ん?忠告?」


「明日先輩のクラスに転校生が来ます」


「え?先生そんな話してなかったけど」


「急に決まったことみたいです」


「で?その転校生がどうしたんだ?」


「死ぬようなことはありませんが、警戒しておいてください」


「物騒だな、分かったよ」


 井上は心配性な気がする。親の影響かもしれない。


「それじゃー、帰るか」


「はい」


 お会計をするために席を立つ。前を歩く井上についていく。井上はレジの横を通り過ぎて店を出た。っておい!どこ行くの?


「井上、お会計は?」


「もう払ったんで、行きますよ」


「え?いつ払ったの?いくらだった?」


「いいですよ。今日誘ったのは私ですし、先輩金欠なんでしょ?」


「それは、そうだけど。半分は食べたんだし払うよ」


「なら、これのお礼ってことで!」


 井上は頭の髪飾りを示した。一昨日渡してからずっと着けてくれている。


「それは先週のお礼だって言ったろ」


「では、今日の分はまた今度、プレゼントしてください」


「はぁー、分かったよ。期待してろ」


「はい、待っています」


 井上と解散して、家へと向かう。言っておくが、食事前にしていた話を忘れているわけではない。井上が楽しそうに話をしているのを、暗い話で遮りたくはなかっただけだ。


 ちなみに夕飯はぎりぎり食べれた。残すのはよくないと思ったので頑張ったが、きつい……。次からは気を付けよう。



<<次の日>>



「おはよう。いっ君」


「おはよう」


「今日転校生が来るんだって?」


「みたいだなー、なんでこのタイミングなんだろう」


「楽しみだね!」


「なんでお前が、楽しげなんだよ!」


「だって、転校生だよ!学園アニメだと定番の展開じゃん!」


「おーい、オタク出てんぞー」


 昨日うちに来なかったからな。話足りないのかもしれない。


「どんな子だったか教えてね」


 そういって、自分の教室に向かっていった。


「なんでわざわざ」



「おはよう!一九十」


「あー、おはよう」


「なんだ?元気ないな?」


「逆になんで光記は朝から元気なんだよ?」


「それは、転校生が来るからに決まってんだろ!」


「なんで、お前がそれを知ってんだよ!」


「俺の情報網を甘く見るな!」


「何カッコつけてんだ」


 ちょうど教室のドアが開いた。先生とその後ろに転校生。教室がざわつく。


「おい、転校生って女の子なの?」


「そうだぜ。だからテンション上がってんだろ」


「みなさん、静かに!急ではございますが、転校生を紹介します」


 先生は黒板に、転校生の名前を書いた。


宇兎舞衣(うとまい)です。宜しくお願いします」


 その転校生は礼儀正しく挨拶をした。髪色は金髪だが、どこか大人びている雰囲気がある。高校生とは思えないぐらいの落ち着き。


 ふと目が合った。彼女はこちらを見て微笑む。なんだろう?顔に何かついていたかな?


「では、仲良くしてあげてください」


 そういって先生は教室を出た。教室は転校生を中心に円をなしている。


「光記、お前はいかなくていいのか?楽しみにしてたろ?」


「俺はあの連中とは違う!あえて興味のないふりをしてアピールする!」


「なに馬鹿な駆け引きしてるんだよ」


 すると転校生がこちらに向かってくる。本当に効果があったようだ。光記がドヤ顔でこちらを見ている。うぜぇー。


「早川君、こんにちわ」


 どうして僕の名前を知っているんだ?


「久しぶりよりはじめましてかしら?」


 ん?どういう意味だ?前にあったことがある?


「あの、どこかで会ったことが?」


「ええ、十年ほど前だけど……忘れているのもしょうがないわ」


「なんだ?知り合いだったのか?一九十」


「んー?やっぱり思い出せない」


「ふーん。で宇兎さん、一九十に何か用かい?」


「ええ、早川君。私はあなたに返しに来たの」


「返しに?何を?」


「それはあとで、まずはこれから、よろしくね」


 転校生は右手を前に出し握手を求めてきた。そういえば井上から警戒するように言われていたな。握手ぐらいなら大丈夫か。


 握手をした。だが、離しくれない?!あれ、握手ってこんなに長くするものだっけ?


「あれ?なんで?」


 転校生が戸惑っている。なんでと思っているのは僕の方なんだけど。


「どうかしたの宇兎さん?」


「いえ、なんでも……」


 と言って手を解放してくれた。


「なるほど、それが条件ね」


 光記がよく分からないことを言っている。なんだ?


「宇兎さん、一九十に今、何をしようとした?」


「え?何?僕何かされそうだったの?」


「!……いいえなにも、ただの挨拶ですよ」


「まぁいいや、授業が始まるから席に戻りな転校生」


「ええ、そうします……」


 と言って、席に戻っていった。


「光記どういうこと?全然理解が追い付かないんだけど」


「いいか、一九十。あの転校生は危険なにおいがする。気をつけろ」


 井上と似たようなことを言っている。


「分かったけど、どうして?」


「俺にもよく分からん、だが接触は控えた方がいい」


「お前がそこまで言うなら」


 でも気になるな。十年前に会っているのか……思い出せない。あいつなら知ってるかも?


 それよりも井上のことが優先だ。



<<昼休み>>



 朝以降あの転校生が話しかけてくることはなかった。光記が近くにいたからかもしれないけど。


「おい、一九十どこに行くんだよ?」


「中庭だけど?」


「井上さんと飯か?」


「そうだけど」


「なら大丈夫か、行ってらっしゃい」


 意味が分からないが、とりあえず中庭に向かう。



「先輩!あれだけ警戒しろって言ったじゃないですか!」


「いや握手は大丈夫だと思ったんだよ」


「そこまで言わないといけないんですか?鈍いですね」


「そんなに言う?でも何ともないよ」


「それは、たまたまです。いいですか!接触禁止!」


「はい」


 なんでそこまで言われているのだろう?そんな危なかったか?


 今はそんなことよりも、やらなきゃいけないことがある!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ