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完璧な幼馴染と凡人な僕  作者: Kouga
一学期
14/20

十四限目

「……どういうこと?」


「私が聞きたいです!」


 本人が分からないのに、僕が分かるわけがない。


「あーいたー!」


 遠くのほうから、女の子が数人近づいて来る。


「井上さん、こんな所でお昼食べてたんだ!」


「うん……」


 井上のテンションは低かった。相手が明るい分、余計低く見える。普段のお前はどこ行った?


「みんなで一緒に、お昼食べない?」


 あれ?僕のこと見てない?そんな影薄い?僕死んだの?


 井上と目が合った。よかった、どうやら僕はまだ生きているみたいだ。


 井上がどうしたらいいか分からないのか、助けを求めてこちらを見ている。いや、それぐらい自分で判断しろよ。


「まぁ、僕もちょうど用事ができたし、気にせず行って来いよ」


 僕は井上の返事を待たずに踵を返して校舎の方へ向かう。用事が出来たのも嘘ではない……。


 その足で僕は、自分の教室へは戻らず三年の教室に向かった。



~三年の教室~



「あの、明日雛先輩いますか?」


「あーちょっと待ってて」


 教室にいた女子が答えてくれた。少し笑っていたが、僕何か変だったかな?


 あいつが笑顔で近づいて来る。


「お待たされ~」


 いや、お待たせだろ!待ったの僕の方なんだけど……。


「違うよ、いっ君!待っていたのは私!」


「いや僕だろ!なんで間違えを認めないんだよ」


「だって、いっ君が来るの分かったから、待ってたんじゃん!」


「おい待て!頭の読むなよ!」


 いや、そもそもここに来るの決めたのさっきなんだけど。こいつと最後別れたの朝だよな……。


「へへっ」


「おい!」


「なぁ~に?」


「お前のテレパシー、どこまで届いてる?」


「えー、愛があればどこまでも~」


「茶化さない!」


 場合によっては今まで学校にいる間の思考全部読まれてる?油断していた……。


 確かに受信範囲は聞いたことなかったけど、教室間まではさすがにないだろうと思っていた。隣の家が届くのならば可能性はあるのか。


「そんなことを聞きに来たわけじゃないんでしょ?」


 そう言えばそうだった。こいつに聞きたいことがあったんだ。


「お前、井上の問題に対して何かしただろ」


 井上の問題を解決できる奴なんてこいつしかいない。有言してたし。でも……。


「そうだよ」


「なんで?僕まだ頼んでないよね?」


「えーでも、切羽詰まってたみたいだし」


「いや、そうだけど……」


「いっ君が悩んでいるとね、つまんないの。昨日だって、話聞いてる間もずっと考え事してたし」


「でも、だからって」


「だからだよ。それ以外の理由はないの!だから手っ取り早く悩みの種を消しちゃおうってね」


 種が解決したのはいいとして、問題は手段だ。僕があまり気が乗らない手段な気がするけど、何をどうしたら昨日の今日で解決できるんだ?


「手段のことは、いっ君は知らなくていいんだよ。もう問題は解決したんだし」


 これ以上聞いても教えてはくれなさそうなので、一度自分の教室へ戻ることにした。


 問題は解決した。確かにそうかもし知れない。でも……。


「よう、一九十こんなところで何してんだ?」


 教室に戻る途中、声をかけられた。まぁ、僕のことを一九十なんて呼ぶ奴は一人なんだけど。


「教室に戻る途中だよ。光記こそ、何やってんだ?」


「昨日も言っただろ、ただの散歩だ」


「でも、ここら辺は3年のエリアだぞ?」


「野暮用があったんだよ」


 こいつの社交的さなら、同級生だけではなく、先輩や後輩などの縦の繋がりがあってもおかしくないか。僕は井上だけだけど……。


「はぁー、お前は嫌味な奴だな……」


「質問に答えただけで、なんでそこまで言われなきゃいけないんだよ」


「そういえば、おまえ井上にすごく警戒されてたぞ。何かしたのか?」


「……いや、特に何もしてねー」


「まぁ、おまえが嫌われて悪い気はしないけどな」


「ひどくね」


「お前昼飯まだだろ?久しぶりに一緒に食おうぜ」


 こいつと話してると不思議と悩んでいたことを忘れてしまう。悩み事は明日にでも考えよう。とりあえず飯だ!



<<放課後>>



「じゃーな一九十、また明日」


「おう、またな」


 ホームルームを終え、あいつを待つ。いつもならもう来てもおかしくないのに、今日は遅いな。


 時間を確認するために携帯を取り出し、画面を見る。二件のメールが届いていた。


 一件目


「いっ君ごめんね。急な用事が入っちゃったから先に帰ってていいよ♡


 待っててくれようとしてありがとう♡」


 平気で頭の中読んでくるな、やっぱり学校全体が圏内なのか……。


 僕、今まで変なこと考えてないよな……。


 二件目


「先輩へ 放課後、話があります。」


 短い!内容ほとんどゼロじゃん!一方的だし、何処でとかないし。もっとメールを有効活用しようよ。


 メールの内容が不明すぎたので、とりあえず校舎を出た。


「せんぱい!なんでメール送ったのに帰ろうとしてるんですか!知ってたけど!」


 帰り道の途中、仁王立ちで井上が怒っていた。


「いや、校舎出て井上いなかったし、帰ろうと思って」


「普通待つか、探すでしょ!」


「いやぶっちゃけ、お前未来見えるから、本当に用事あるならそっちから来るかなって」


「もういいです!先輩に相談したいことがあるので、落ち着いて話せるところに行きましょう」


「おい、僕の用事とかガン無視かよ!」


「大丈夫です!用事はありません!」


「お前!未来見えても確認はとれよ!」


「いいから行きますよ」



 井上に引っ張られて、到着したのはお洒落なカフェだった。一人じゃ絶対来ないな。


「先輩何食べます?」


「何があるんだ?」


 メニュー表をのぞき込む。


 コーヒー 600円 オレンジジュース 500円 アップルパイ 1,200円 オムライス 1,500円 etc……。


 高い……。学生には手の出せない値段だ。お小遣いが秒で消し飛ぶぞ。


「僕は安いのでいいよ。お金そんなに持ってきてないし、オレンジジュースとかで」


 かっこ悪いな僕。涙でそう。


 井上が店員さんを呼んで注文している。


「で、メールの話ってなんだ?」


「あーそうでした。私の問題は解決したんで、次は先輩の番です!って話」


 井上の話し方に何か違和感があった。具体的には説明できないが、いつもの元気な井上ではない。


「お前、僕が月曜日の放課後に言ったこと覚えてる?」


「え?私の問題を解決したいって言ってくれた奴ですか?」


「そうだよ」


「私の問題は解決したじゃないですか!だから次は先輩……」


「お前があれを解決したって思うのは勝手だけど、僕はそうは思わない」


「何言ってるんですか?」


「井上は昼の連中といて、楽しかったか?」


「!……はい」


 声はとても小さく、返事に間があり、自信がないのが伝わってくる。井上も気づいているのだ。


「僕は今後もあれが続くと思うとぞっとするよ」


「……」


「僕は一昨日、こうも言った。お前が良くても、あれを見た僕が不快な気持ちになる。だからそっちが先だと」


 一緒にいて楽しいわけがない。だってあの女の子たちは、一昨日の昼に僕が話しかけた子たちなんだから……。

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