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完璧な幼馴染と凡人な僕  作者: Kouga
一学期
11/20

十一限目

<<日曜日>>



 買い物をした後、まっすぐ家に帰り、予定通り眠ることができた。目覚めると、まだ外は明るい。なんだか得をした気分だ。時間を確認すると、一緒に表示されている日付が、一日増えている。夕方ではなく朝の光だったようだ。急激に損した気分になった。


 時刻は午前7時。まだ親が寝ている時間だ。仕事のない日曜日は午前中はほとんど寝ている。朝食は自分で用意しなければならない。


 そんな中、家のインターホンが鳴る。


「いっ君、おはよー」


「朝早すぎだろ。もう少し僕に気遣いとかないわけ?」


 僕がまだ寝ていることを、想定に入れてないのかよ……。


「いや、いっ君が起きてから来てるから大丈夫だよ」


「なんか、ストーカーみたいだな」


「まぁね♪」


「なんで嬉しそうなんだよ」


 今日は特に予定もない。多分、もう頭の中を読まれてばれていると思うけど……。昨日、構ってあげられなかった分、今日は相手してやるか。


「なんで上からなの?いっ君の相手してるの私の方なんだけど」


「……」


 もういいです。


「しゃべるのも面倒くさがるな!!」



<<夕方>>



 朝から、ほぼ一方的なオタク話を、十時間聞かされた。休憩をかねて近くのコンビニに買い物に行こうと支度をする。


「何か欲しいものある?」


「お菓子!ジュース!」


「ざっくりし過ぎだろ。もっと具体的な情報くれよ」


「今いっ君が想像したものでいいよ」


「はいはい」


 支度を済ませて家を出た。駅の方に歩いていけば、5分ほどでコンビニがある。近くにコンビニがあると、名前の通り便利でいい。どんどんダメ人間になっていく気がする。


「お、未来の好きなアニメの一番くじあるじゃん。一回、引いていくか」


 超人気なアニメだ。アニメは日本の文化と証明した作品と言っても過言ではない。


 店員さんにお願いして1回引かせてもらう。箱の中に手を入れて好きなくじを引こう。と思ったが、箱の中にはくじが一つしか入っていなかった。あれ?1枚?不審に思ったが、ないものは仕方がない。その一枚を引く。


 くじを開いてみると、大きな文字でAと書かれていた。おおお!めちゃくちゃラッキー!!残り物には福があるを体現してしまった。


 A賞は大きめのフィギュアだった。店員さんに交換してもらう。そして、薄々気づいていたが、ラスト一枚だ。A賞のフィギュアの色違い、ラストワン賞も同じ袋に詰めてもらった。


 1枚買っただけでフィギュア2個ってとても運がいい。早く帰って未来に自慢しよう!


 コンビニを出て家を目指す。お菓子とジュースを買うだけのつもりが、大荷物になってしまった。


「あ、先輩!」


 横から何者かに、声を掛けられた。まー、僕のことを先輩と呼んでくれる後輩は一人しかいない。


「先輩、こんなところで何してるんですか?」


「いや、お前こそ何してるんだよ。昨日までの三日間、学校来てないだろ」


「先に質問してるのは私です!先に答えてください!」


「僕は買い物だよ」


 と言い、分かりやすいように、両手に持っている袋を少し上にあげる。


「何を買ったんですか?」


「おい、その前に僕の質問に答えろよ!学校に来なかった間何してたんだ?」


「何ですか?心配してくれてたんですか?」


 顔がとてもニヤニヤしている。心配していたのは事実だが、なんだか腹が立ってくる表情だ。


「ああ、心配した。ハワイに行った直後だったからな。原因が僕にあるんじゃないかと思って」


「私が休んでいたのは、気分なんで気にしないでください。先輩に原因はありません」


「それならいいんだけど、来週は学校来るのか?渡したいものがあるんだけど」


「何ですか?ラブレターですか?」


 また顔がニヤついている。腹立つな!


「ちげーよ!お前に火曜日のお礼を買ったんだよ」


「おー、それは楽しみです」


「学校に来ないなら今家からとってきてもいいけど、どうする?」


「来週は学校に行くので、その時でいいですよ」


「わかった、じゃー来週な」


 学校に来ることも確認できたので、帰ろう。


「待ってください!まだ私の質問が残っています!」


 くそ!逃げられると思ったのに!


「何を買ったんですか?」


 先ほど聞いた質問を繰り返してきた。面倒くさい奴だ。


「面白いものは何も無いよ」


「いいから見してください」


 特に隠すようなものは買っていないので袋の中身をそのまま広げて見せた。


「な?面白くないだろ」


「はい、半分以上つまらないものでした」


「うっせー、お菓子やジュースなんて見ても面白くないだろ」


 見て面白いものなんてフィギュアくらいなものだ。何を当たり前なことを。


「いいえ、私が言っているのはそっちの方ではないです」


「は?お前、人が買ったお菓子やジュースを見て何が面白いんだよ」


「私が言っているのは、面白さじゃなくてつまらなさです!先輩そっち系の人だったんですか?」


「そっち系って、このアニメ結構有名だと思うんだけど、知らないの?」


「そんな卑猥なアニメは知りません!」


「お前、言い方考えろよ!卑猥じゃねー、ちょっと露出が多いだけだ!」


「一緒じゃないですか!」


「……」


 もういいや、話が平行線過ぎて終わりが見えない。こういう偏った見方しか出来ない人は珍しいが、昔は多くいたもんな。もう滅んだと思ってたけど。


「お前、アニメとか見ない人?」


「親が厳しいですからね。あ、でも昔ネコ型ロボットのアニメなら見たことがあります」


「そのレベルか……」


「でも、主人公がヒロインの入浴中にピンクのドアで入っていくシーンがあって、親に規制されました」


「親、厳しすぎだろ!!」


 なんか、こいつの偏見ってより、親の偏見って感じだな。教育上仕方なくって感じか。なんかかわいそうだな。


「どうして、そんな憐れむ目で見るんですか?」


「いや、同情するよ」


「やめてください!私の方が変みたいじゃないですか」


「……」


 自覚がないのが、さらにかわいそうだな。今度いろいろ教えてやるか。


「もういいです。私帰ります!」


「おう、気を付けて帰れよ」


「はい、また明日。さようなら」


 少し拗ねていたが、明日には機嫌も直ってることだろう。俺も帰ろう。



~帰宅~



「ただいまー」


「おかえりー、漫画にする?ゲームにする?それとも、ア・二・メ?」


「やめろ、新婚生活風に次する話題の提案するな!少し休憩にしようぜ、いろいろ買ってきたから」


「わーい!」


「あとこれ、一番くじで当たった。A賞とラストワン賞のフィギュア」


「おー、おめでとう!」


「お前に一個やるよ、どっちがいい?」


「へ?いらないよ?」


「良いよ。遠慮すんな、お前のために引いたみたいなとこあるし」


 ま、一回しか引いてないんだけどね。


「いや、遠慮とかじゃなくて、もう持ってるから」


「そうなの?いつ買ったんだよ。A賞なんて当てたら、うれしくて僕に言うだろ、お前」


「あー、当てたんじゃなくて買ったんだよ」


「え?同じだろ。何が違うんだ?」


「違う違う、発売日に箱ごと発注したの」


 発注て、業者かよ!そういえば、こいつ金持ちとか言ってたっけ?あーだから言わなかったのか。金持ちなの隠してるから。


「まーそういうこと、ちなみに今までの一番くじ全部持ってるよ!」


「すげーな、お前」


 こいつと井上を会わせてアニメの話とかしたらやばそうだな。差というか文化が違いすぎる。


「いっ君、明日学校にその井上さん来るんだってね。よかったね」


「あー、もう平然と頭の中読んでくるな。元気そうで何よりだったよ」


「心配事も一つ減ったことですし、アニメの話でもしますか!」


「明日学校なんだから、あんまり遅くまでは駄目だからな」


「はーい!」


 返事は良いんだけどな……。



<<月曜日、朝>>



 またまた朝までオタク話を聞かされてしまった。なんであんなに元気なんだよ。


「お待たせ、いっ君」


「遅い!さきに行こうかと思った」


「大丈夫だよ。そんなこと思ってもないくせに」


「うるせー」


 これはまた授業で寝てしまうかもな。どーすんだよ、僕の成績が落ちたら。


「そしたら、勉強教えてあげるよ!」


「いや、いいです」


「即答過ぎでしょ!!」


「だって、お前と勉強とか、結局アニメの話になって朝までコースになる!悪循環じゃねーかよ」


「くっ!否定できない」


「お前はもう少し自分を制御できるようになれ」


「はーい」


 しょんぼりとした、やる気のない返事が返ってきた。普段はいいけど、テスト期間は本当に勘弁してほしい。


「でも、一年の学年末の時は赤点なかったじゃん!」


「めちゃくちゃ頑張ったんだよ!まだ一年の範囲で中学の復習みたいな問題もあったし」


「じゃー今期も頑張っちゃえー」


 そう簡単に言うなよ、二年の範囲めちゃくちゃ難易度上がってんだから。



~学校~



「じゃー頑張ってね。ばいばい!」


「おう」


 教室に入り席に着く。前の席の畑本はまだ来ていないみたいだった。ホームルームまで十五分。


「寝よ」


 腕を組み、そのまま机に置き頭をうづめる。一瞬にして意識が飛んだ。



 目を覚ますと、なんと四限目が終了していた。目の前の席を見ると畑本の姿はなかった。今日は休みか……。てか、畑本がいないと起こしてもらえないのかよ、僕!移動教室がなくてよかった。


 そういえば、井上に渡すものがあるんだった。重い足を運ぶとするか。


 井上の教室に到着。ドア付近にいた女の子たちに呼んでもらおう。


「あのー、井上さん呼んでもらえる?」


「あー、井上さんね、あんた呼んで来たら?」


「えー私?やだよー」


 女の子たちは、苦笑いしながら話していた。


「あのー、教室入っていいんで自分でお願いします」


「ああ」


 空気が異様だった。気持ち悪いほどに。


 自分の中で、いろいろ繋がっていくのを感じた。

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