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第12話 交渉

 目が覚めるとシークとウィズはリフォームの終えた家をチェックしていた。ドアや壁も新しい物になって二人とも嬉しそう。

 みんなでご飯を食べ終えた後に俺は今日の予定を話していく。

 

 「今日は色々回るよ、商売の為にちょっとした仕掛けをしていこう」

 

 「分かった、早く食べてアルスの仕掛けとやらを見ていこうかな?」

 クリスは3人の代弁するように返事をする。

 


 仕掛けをするためにまずやってきたのは肉を仕入れている店だった。

 店に入ると店主はすぐにシークとウィズを見て追い払おうとするが、俺が止めに入り、これからは店から盗みを働かないことを誓った。連れだということで納得いかない様子で話を聞いてくれた。

 「店主にいい話があるんだよ、実はある計画をしている。一口乗ってみませんか?」

 あからさまに怪しい話に店主は乗り気ではない。

 「俺に何しろって言うんだ? 言っておくが犯罪とか面倒はごめんだぞ」

 

 「ボルン牧場の肉と捌き終わった豚骨が欲しいんです。犯罪なんてしませんよ、なんせこの話にはあのドラン工房も乗っている話ですよ? 成功すればこの店の名前が一気に広がりますよ」

 ドラン工房の名前はこの街ではかなり有名なようで店主も少しは興味が沸いたようだ。

 「何をやるつもりなんだ? ドラン工房が本当にお前の話に乗ってるならこのミト商店も乗ってもいいかもな」

 

 「店主こそボルン牧場の肉はキチンと確保してくださいよ? じゃないとミト商店に参加資格ありませんから。肉は確保したらすぐに知らせてください。計画を疑うならドランさんに直接聞いてください」

 「ちょっと待て、本当に計画があるのか?」

 店主も半信半疑だったのだろう、具体的な話をすると少し躊躇する。

 

 「怖気づきましたか? 別に乗らなくても構いませんよ。欲しいのはボルン牧場の肉です、無理ならほかの店に掛け合います。

 大体あなたは何の損はありませんよ? 肉のお金も払いますよ。成功すればこの店は大繁盛する。失敗しても今まで通り商売すればいい。得しかない話ですよ」

 ここで立場が対等ではないと店主に思い込ませる。孤児の俺には信用がない、ほかの店に交渉なんてする前に追い出されてもおかしくない。

 「わかった、この話に乗るぜ。結局何をするつもりなんだ?」

 店主はしばらく悩んだが結局話に乗った、心の底からホッとした。

 「それは教えられないな、ドランさんすら知らされていないからな」

 



 店を出た後にラッカード商会へ向かった。

 店に入るとマーチャは微笑みながら向かってくる。クリスを見つけると少し気まずそうに質問をしてきた。

 「クリスを連れてきたのか、なんか話があるのか?」

 どうやらクリスを返品するするためにやってきたのかと勘違いしてるようだ。

 「いえ、クリスさんの話はもう大丈夫ですよ。気にするほどの話ではありません。今回来たのはある計画に乗らないかという話ですよ」

 暗にクリスのことは気にしてないと言っている。

 (実際孤児を守り為に追い出されたのと豚と結婚させられそうになったから逃げたのでは大して変わらない。おそらく孤児を守るために追い出されたと言えば俺たちが懐くと思ったのだろう)

 「そうか、どんな計画だ?」

 マーチャは単刀直入に聞いてきた。

 「実演販売をしょうと思いまして、売るのはドランさんの鍋と俺が作った料理です。これをこの街の広場で人を集めて皆に料理を食べてもらおうという計画です。一応話題を呼ぶためにボルン牧場の肉を使う予定です。

 そこでマーチャ商会の香辛料を使えば盛り上がるとは思いませんか? この街一番の牧場と工房と肩を並べられるマーチャ商会の名前は売れますよ」

 

 「確かに盛り上がるだろうな、でもラッカード商会はもうすでに名前が売れているのだ。お前は知らないかもしれないがこの国では5本指は入る大商会だぞ? そして料理がまずければ評判が下がる。正直に乗り気ではないな」

 マーチャが断ろうと揺さぶりをかける。おそらくはこの計画を自分でやりたいのだろう。

 「それは残念です。商業ギルドに話を持っていくしかありませんか。料理の味についてはクリスが保証してくれますよ」

 ターチャは揺さぶりが効かないと少しイラついたようだ、正直殺されないか心配だ。

 (この話を商業ギルドに持っていくってことは俺がギルド長に引き抜かれる可能性があるってことだ、そうなればクリスのことはギルド長に知られ、ラッカード商会の弱みを握られることになる。もはや脅しに近い)

 「チッ、分かった話に乗ろう」

 どうやら天秤は乗るほうに傾いたらしい、それならここはおねだりをするしかない。

 「それでは宣伝するための費用をお願いしますね。料理に使う食材の費用や場所代もお願いします。もちろん料理を売った利益はマーチャさんの物です、ただ人を集めるために料理は安く提供するつもりです。人をたくさん集めるのが目的ですから」

 マーチャは追加していく要求には頷く、マーチャにとっては大した費用ではないのだろう。

 「これ成功したら一番得するのってアルスだろ? 料理屋をやるつもりなのか?」

 マーチャは人で足りてないため、これ以上人が減るのを危惧してるらしい。

 「料理店をやるつもりですが、もっと人を増やすつもりです。ここの仕事は午前中に終わるほどの人数ををそろえますよ」

 マーチャは仕事を続けると言われて安心したのか嬉しそうに笑う。

 「そうか、お前のことは信用してるが雇う人には気を付けろよ」

 (お前は俺に首輪を嵌めたから安心してるだけだろ? クリスもいずれ俺の仲間になるから首輪がなくなるぞ)

 「気を付けます、この後一緒に商業ギルド行きませんか? 宣伝も兼ねてギルト長にも話を通しましょう」

 マーチャは承諾すると一緒にギルドへ向かった。

 

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