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侯爵令嬢レベッカの追想  殺人事件の被害者になりたくないので記憶を頼りに死亡フラグを折ってまわります  作者: 北村 清
第十章 或る未来へ

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時を戻す秘術(4)

再び鬱回です(−_−;)

そもそも、殺害方法が違う。一周目では私は階段を突き落とされて殺されたが、さっきのあの侍女は最初から刃物を振り回して来た。


「一度目の世界で、貴女を殺したのはエディアルドに唆された侍女です。その侍女はブラウンツヴァイクラントのララ公女に心酔していて、ルートヴィッヒと結婚したがっていた公女に忖度をしたのです。」

「犯人わかってたんですか?」

「貴女が殺されてから時を巻き戻すまで八年あったんです。私もぼーっと暮らしていたわけではありません。」

「その侍女は今どこにいるんですか?」

とジークが聞いた。


「五年前に外交省勤務の男と結婚させて、東大陸の『先』の大使館に送り込みました。今もそこで暮らしています。ララ公女がヒンガリーラントにずっといると、彼女に心酔する馬鹿が他にも現れるかもしれないので公女もさっさとヒンガリーラントから追い払いました。」


えっ・・・。

と言葉が出てきそうになった。私はずっと大陸歴318年の5月12日に怯えていた。だけど、危険因子はとっくにエリーゼ様が取っ払っていてくださっていたんだ。

私はずっと前からこの人に守られていたんだ。

そう思うとじわじわと胸が熱くなった。


「そうやって、エリーゼ様が暗殺者を駆除して回っているのに、すぐ新手を唆して送り込んで来てるってわけですか。奴がアウグスティアンなのはわかってましたけど、奴の影響力は麻疹はしかの感染力を上回りますね。」

とジークが言う。


確かにエディアルドという人は、洗脳と他人の悪意を嗅ぎ分ける事に異常に長けた人なのだろう。おそらくこれからも新たなる暗殺者を次々送り込んで来るはずだ。

そう思うとゾクッとした。


「エディアルドは恐ろしい男だけど、そもそも貴族は誰しも常に暗殺の危険にさらされているものよ。それでも私達は貴族としての信念を持って生きていかないとならないんです。」

とエリーゼは言った。


「あの・・。」

私はエリーゼに質問した。


「エディアルドという人はアウグスティアンで、私達一族が嫌いだったわけですよね。それなら、一周目の世界でお父様はどうなったんでしょう。大丈夫だったんでしょうか?」

「何をもってして『大丈夫』というのかはわからないけれど。家族を全員亡くして再婚もされず、シュテルンベルク一族が粛正された後王家に反逆しました。」


『シュテルンベルク一族が粛正』


というワードにコンラートよりもジークの方がはるかにショックを受けていた。無論私もだ。


「え?何でそんな事に?」

「自宅の庭に、第一種危険草木に指定されている『夾竹桃』を植えていたのです。」

「・・・・。」


そういえば、そーゆー物が生えていた。既に忘れかけていたが。


「伯爵様やコンラートお兄様が殺されたんですか⁉︎」

「処刑されたのは当主である伯爵と二人の姉上です。外国人と結婚していた妹二人は亡命しました。大陸歴324年の事です。コンラートは大陸歴319年に始まった『カサンドラ戦争』に従軍し、既に戦病死していました。」


私もジークもユリアもコンラートを見つめたが、コンラートの表情は変わらなかった。だが長い付き合いだ。彼がショックを受けている事ははっきり伝わって来た。


「コンラートが死んだ時点で伯爵は廃人のようになっていました。伯爵は夾竹桃について弁明も言い訳もせず、罰を受け入れたのです。」

「リナ様やノエル伯母様はどうなったんですか?」

「お二人の事は記憶にないのよ。シュテルンベルク伯爵は亡くなるまでずっと独身でした。思うに、ノエライティーナ夫人達はネーボムクに殺されたかブラウンツヴァイクラントに送り返されたかしたのではないかしら?」


まじかー。と思う。


伯爵にエリカ様にリーリエ様にリナ様。それにコンラート。私の親族達の身に起きた事を思うと胸がただただ苦しかった。


「・・えーと、じゃあジーク様はどうなったの?」

「ジークレヒトはコンラートが死んですぐ、戦争反対を訴えて公衆の面前で抗議の自決をしました。でもその抗議行動のおかげでカサンドラ戦争は終わったんです。」


『ジークレヒトは』と言ったという事は、一周目ではジーク様は女の子の姿に戻る事はなかったのだろう。


「・・ユリアは?長生きをしたのかな?」

「ユリアは父親が殺された後アカデミーを辞め、貴女の侍女をしていました。貴女が殺された時も一緒に王宮に来ていたんです。その為責任を感じたのでしょう。貴女が殺された翌日貴女に殉じて自死しました。」


重い!

聞く話、聞く話重すぎる‼︎


「みんな、不幸になったんですか?幸せに暮らした人とかいないんですか⁉︎」

そう聞かずにはいられなかった。


「いなかったわけではないけれど。ヒルデブラント侯爵は、子供二人を両方自死という形で亡くして辛かったのか、ジークレヒトが死んですぐ侯爵位を従姉妹のゲオルギーネ夫人の夫に譲り、ご自分はどこか外国の地へ行ってしまいました。ゲオルギーネ夫人の夫と娘のグレーティアは莫大な財産を好きなだけ浪費して楽しそうに暮らしてましたよ。」


聞きたかったのはそこじゃない!


コルネは?リーシアは?ミレイは?アグネスは?クラウス殿下は?

それが聞きたかったが、もう聞く勇気がなかった。


地獄だ。そして、その地獄をエリーゼそしてルートヴィッヒ王子は目撃し体験したのだ。

そしてその地獄の記憶を引き継いで、エリーゼは二度目の世界に戻って来たのだ。


最初のうちに一度目の世界からフェードアウトした私はむしろ幸福だったのかもしれない。


「というのが私の話です。今度は私が質問していい?貴女達の中に一度目の世界の記憶がある人はいる?」


というわけで、レベッカを殺した殺人犯は王宮の使用人でした


犯人はわかりましたが、ストーリーはもう少し続きます

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