↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
種付けオッサンとビッチギャル ~二日に一度ヤらないと死ぬ二人の異世界転生~【注目15位、日間217位ありがとうございます】  作者: 黒瀬 量衡
第六章 腐女子男爵とエロゲ公爵令嬢

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

92/96

第九十二話 前世では男と女だった私たちが、今の身体で互いの子を欲しいと思いました

 爆乳令嬢の屋敷から戻った夜、ユキはなかなか眠れなかった。寝台の上で何度も寝返りを打ち、隣に横たわるマコトを見る。爆乳令嬢の、夫との子を宿して丸みを帯びた腹。その腹を見せながら幸せそうに夫へ身体を預けていた姿。さらに、自分との子も欲しいと笑った顔。それが頭から離れない。


「マコト」

「はい?」

「ちょっと話していい?」

「もちろん」


 いつもの公爵令嬢らしい話し方ではなく、ユキはしばらく天井を見たまま、昔の自分に近い口調で言った。


「オレさ、前世、男だったわけじゃん」

「……うん」

「こっちで女として生きて、公爵令嬢やって、マコトと婚約して、身体も色々変わってさ。男側の身体も持つようになって、男女どっちとも遊んだし、いろんなことした」

「うん」

「でも多分、どっかで線引きしてたんだと思う。これは今のユキの身体だから。今の人生だからって。前世のオレとは、どっか別物みたいに」


 マコトは何も挟まず聞いている。


「でも、この前さ」


 ユキは自分の腹へ手を置いた。


「爆乳令嬢見たじゃん。旦那の子孕んで、お腹が少し大きくなって、あんなに幸せそうでさ」

「うん」

「あれ見たら」


 言葉が止まる。


「オレ、孕みたいって思ったんだ」


 マコトの目が少しだけ見開かれた。


「前世では男だったのに。妊娠なんて自分がするもんじゃないって、ずっと思ってたはずなのに。今の身体で、ここにマコトとの子がいるところ想像したら……欲しいって思った」


「ユキ」


「頭おかしくなったのかな」


「なってないよ」


 返事は早かった。


「でもオレ、自分でも混乱してる。男だったオレが、マコトに抱かれて、何も考えられなくなるくらい可愛がられて、オホ声しか出せなくなって、その先でマコトの子を孕みたいって思ってる」


 ユキはようやくマコトを見る。


「マコト、オレを孕ませてくれる?」


     *


 今度はマコトが黙った。


 少しだけ。


 言葉を探して。


「私もね」


「うん」


「多分、同じだった」


 マコトは自分の胸元へ手を置いた。


「前世では女だった。今は男の身体で代官をして、ユキの婚約者になって、身体まで色々変わった。でも心のどこかでは、『今の私は今の私』って分けていたと思う」

「オレと逆じゃん」

「綺麗に逆だね」


 マコトは笑って、それからユキの頬へ手を伸ばした。


「でも今、目の前にいるユキを見てると、そんな線引きどうでもよくなる」


「……」


「前世で男だったとか。今は女だとか。公爵令嬢だとか。男側の身体も持ってるとか。全部ひっくるめてユキでしょう?」


「うん」


「そのユキを、めちゃくちゃに愛したい」


「……それ、かなり来る」


「私も」


 二人で少し笑う。


 しかしマコトの目は真剣なままだった。


「普段は偉そうで、口も悪くて、何でも平気そうな顔してるユキが、私にしがみついて、顔を歪めて、オホ声しか出せなくなるくらい夢中になっているところを見たい」


「マコトまで結構言うじゃん」


「見たいんだもの」


 マコトの手が、ユキの頬から腹へ降りる。


「それから、ここに私との子がいるところを見たい」


 ユキの呼吸が止まる。


「……本気?」


「本気」


「オレを?」


「ユキを」


「孕ませたい?」


「孕ませたい」


「……やば」


「何が?」


「今ので、もうかなりダメ」


     *


 ユキはマコトへ身体を寄せた。


「今日から、本気で子供作る?」

「今日から?」

「うん」

「後で怖くなっても、ちゃんと言う?」

「言う」

「私も言う」

「うん」

「それでも?」

「マコトの子、欲しい」


 それで最後だった。


 二人とも。


 もう我慢しなかった。


「オホッ……!」


「ユキ……っ」


「マコト……オホッ……! オホォッ……!」


 抱き合う。


 身体を重ねる。


 いつもの遊びとは少し違った。


 祝福の条件を満たすためでもない。新しい身体を試すためでもない。誰かに見せるためでもない。


 今日は最初から。


 二人とも。


 同じものを欲しがっていた。


「オホッ……! マコト……!」


「ユキ……かわいい……」


「それ言うな……オホォッ……!」


 ユキは何度もマコトへしがみつく。普段なら途中で冗談を挟むのに、今日はそれもほとんどない。


「孕みたい……」


「うん」


「オレ、マコトとの子欲しい……オホッ……!」


「私も欲しい」


「本当に?」


「本当に」


「オホォッ……!」


 言葉を確認するたびに、また二人とも熱くなる。


 マコトの呼吸も次第に乱れていった。


「っ……ぉ゙……」


「マコト?」


「大丈夫……」


「その声、ヤバい」


「ユキが……そんな顔するから……っ、ぉ゙っ……ぉ゙っ……!」


「オホッ……! その声もっと……!」


 普段のマコトからは想像しにくい、喉の奥で潰れたような短いブレスが漏れる。


「ぉ゙っ……ぉ゙っ……!」


「オホォォッ……! マコト……!」


「ユキ……っ、かわいい……ぉ゙っ……!」


 互いに限界を迎えても、少し休むだけだった。


 水を飲む。


 息を整える。


 顔を見合わせる。


「まだ大丈夫?」


「マコトは?」


「大丈夫」


「じゃあ」


 ユキが笑う。


「もう一回」


     *


「オホッ……!」


「っ、ぉ゙……!」


「オホォッ……! マコト、オレ今すっげえ女になってる気する……!」


「嫌?」


「逆……オホッ……! 前世男だったオレが、男だった気持ちのまま、女の身体でマコトの子欲しがってる……!」


「それでいいよ」


「いいのかな……オホォッ……!」


「ユキが欲しいなら、それでいい」


「マコトも?」


「私は前世女だったけど」


 マコトの声も、もう普段の落ち着きを失っていた。


「今は、男の身体でユキを孕ませたいって思ってる」


「逆じゃん……!」


「うん」


「オホッ……! 何それ……すっげえ好き……!」


 また抱き合う。


「ユキ……っ」


「マコト……!」


「っ、ぉ゙っ……ぉ゙……!」


「オホォォォッ……!」


 二人とも、もう昔の自分と今の自分を分けようとはしていなかった。


 男だったユキ。


 女だったマコト。


 今は女の身体で生きるユキ。


 今は男の身体で生きるマコト。


 その全部が同時にそこにいる。


「オホッ……! オホォッ……!」


「ユキ……かわいい……っ、ぉ゙っ……!」


「もっと言って……!」


「かわいい」


「オホッ……!」


「私との子を欲しがってるユキ、すごくかわいい」


「オホォォォッ……! それダメ……! もっと欲しくなる……!」


     *


 何度目か。


 二人とも完全に息が上がった。


「はぁ……はぁ……」


「……ユキ」


「何……?」


「大丈夫?」


「大丈夫……」


「本当に?」


「うん……」


 ユキは少し笑う。


「マコトこそ、さっきずっと変な声出てた」


「……聞かないで」


「ぉ゙っ、ぉ゙っ、って」


「真似しないで」


「かわいかった」


「ユキ」


「何?」


「まだ余裕あります?」


「……ある」


「なら」


「オホッ……!」


 また。


     *


「オホッ……! オホォッ……! マコト……!」


「ユキ……っ!」


「オレ、孕むかな……!」


「孕んでほしい……!」


「マコトとの子……!」


「うん……!」


「オホォォォッ……!」


「っ、ぉ゙っ……ぉ゙っ……ぉ゙っ……!」


 マコトの濁った呼吸が連続する。


 それを聞くたび、ユキの声も高くなる。


「オホッ……! その声……! マコトがオレのこと欲しがってるって分かる……!」


「欲しい……ユキが欲しい……!」


「オホォッ……!」


「ユキを孕ませたい……!」


「言って……もっと……!」


「私との子を、ユキに抱いてほしい……!」


「オホォォォォッ……!」


 ユキはとうとう何も言えなくなり、マコトへしがみつく。


 少しして。


 ようやく呼吸が戻る。


「……マコト」


「何?」


「今の、ずるい」


「何が?」


「孕ませたいって何回も言うの」


「本当だから」


「……またしたくなる」


「私も」


     *


 夜は長かった。


 抱く。


 休む。


 水を飲む。


 話す。


 笑う。


 また抱く。


「オホッ……!」


「っ、ぉ゙っ……!」


「オホォッ……!」


「ユキ……っ」


「マコト……!」


 何度も。


 何度も。


 互いに同じ言葉を確認した。


「子供欲しい?」


「欲しい」


「オレとの?」


「ユキとの」


「マコトとの子、欲しい」


「うん」


「オホッ……!」


     *


 明け方。


 二人とも完全に疲れ切っていた。


 ユキはマコトの胸元へ顔を埋めたまま、ほとんど動かない。


「……マコト」

「うん?」

「今日、何回した?」

「数えてない」

「オレも」

「もう数えなくていいでしょう」

「うん」


 少し。


 静か。


「ねえ」

「何?」

「本当にできてたら、どうする?」


「喜ぶ」


「即答?」


「昨日の夜、あれだけ話したでしょう?」


「そうだけどさ」


 マコトはユキの髪を撫でる。


「怖くなった?」


「ちょっと」


「私も少し怖い」


「マコトも?」


「子供だからね」


「……そっか」


「でも、欲しい気持ちは変わってない」


「オレも」


 ユキは自分の腹へ手を置いた。


 まだ何も分からない。


 見た目も昨日と変わらない。


 それでも。


「……ここにいたら」


「うん」


「すごいね」


「すごいね」


「オレとマコトの子」


「うん」


     *


「マコト」

「何?」

「好き」

「私も好き」

「子供欲しい」

「私も欲しい」

「……もう一回する?」

「寝なさい」

「えー」

「今のユキ、もう声ほとんど出てないでしょう」

「出るし」


 ユキ。


「オホッ……」


「小さい」


「オホォッ……」


「寝なさい」


「じゃ起きたら」


「体力が戻ってからです」


「約束?」


「約束」


「……好き」


「私も」


     *


 そのまま。


 二人。


 眠った。


 前世では男だったユキと。


 前世では女だったマコト。


 その境界を今さら否定する必要も、無理に捨てる必要もない。


 全部持ったまま。


 今の二人で。


 子供を欲しいと思った。


 そして数日後。


 ユキは朝食の途中。


 何気なく。


 自分の腹へ手を添えることになる。


「……」


 まだ。


 何の根拠もない。


 けれど。


 以前とは。


 何かが。


 違うような気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。