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種付けオッサンとビッチギャル ~二日に一度ヤらないと死ぬ二人の異世界転生~【注目15位、日間217位ありがとうございます】  作者: 黒瀬 量衡
第一章 種付けオッサンとビッチギャル

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第八話 木杯と木剣が先に交尾して、うちらも初めてヤった

 ゴブリンたちが、一斉に駆けてきた。


「来た!」


「いやぁぁぁぁ! 受付のお姉さぁぁぁん!」


「うるさ!」


 隣でおっさんが叫んでいる。


 さっきまで枝を握って格好をつけていたくせに、敵がまとめて来た途端にこれだ。


 マジで役に立たない。


「お嬢さん、右ですぞ!」


「分かってる!」


 右から飛び込んできたゴブリンへ木剣を振る。


 ゴッ、と鈍い音。


「ギャッ!」


 一撃で横へ吹っ飛んだ。


「……え」


 自分でも止まる。


 木剣を見る。


 昨日より、また強くなっている。


「お前、絶対育ってるじゃん」


「オホォッ!」


「返事だけはいいな!」


「お嬢さん自身も強くなっておりますぞ!」


「うちも?」


「かなり!」


「マジ?」


「オホォォォッ!」


「お前に聞いてない!」


 布を巻いた木剣が、低い成人男性の声で景気よく鳴く。


 白い布には、もう白濁した染みが浮いている。


「また染みてる!」


「戦闘中でも元気ですなぁ」


「感心すんな!」


 次。


 一歩入る。


 避ける。


 打つ。


「ギャッ!」


 さらに一匹。


 腰を回して蹴り飛ばす。


「うち、マジで強くない!?」


「異常に強いですぞ!」


「でしょ!」


「おじさんの分まで!」


「戦え!」


「心では戦っておりますなぁ!」


「身体も動かせ!」


 振り返る。


 おっさんが太い枝を振った。


「えいっ!」


 ぶん。


 空振り。


「……」


「……」


「当たってないじゃん!」


「動く相手は難しいですなぁ!」


「当たり前!」


 その直後。


 ゴッ。


「ドゥフッ!」


 棍棒がおっさんの肩へ直撃した。


「いったぁぁぁぁ!」


「もう!」


 うちが割って入る。


「オホォォォォッ!」


 木剣を横へ振る。


 ゴッ。


 ゴブリンが転がった。


「だから後ろいろって!」


「若い女性の後ろへ隠れる四十代後半というのも、なかなか情けなくてですなぁ!」


「今さらそこ気にすんの!?」


 その時。


「ギィィィィ……!」


 茂みの奥から、低い声。


 普通のゴブリンより一回り大きい。


 手には錆びた剣。


「ボスっぽ」


「逃げませんかなぁ?」


「やだ」


「即答ですなぁ!」


「いけそうじゃん」


「何を根拠に!?」


「これ」


 木剣を持ち上げる。


「オホッ!」


「木剣殿までやる気ですぞ!」


「じゃ決まり!」


「木剣の意思で決めないでいただきたい!」


 大きなゴブリンが来た。


 剣。


 速い。


 でも。


「見える」


 身体を落とす。


 頭上を剣が抜ける。


 一歩。


 回る。


 重心を見る。


 もう一度振られた剣へ、木剣を合わせた。


 バキィッ!


「……」


「……」


 錆びた剣が折れた。


「は?」


「オホォォォォォォッ!」


「お前、鉄折って何でそんな嬉しそうなん!」


「今ですぞ!」


「あ、そっか!」


 踏み込む。


 腹へ一撃。


「ギャアッ!」


 大きなゴブリンが倒れた。


 残っていた小さなゴブリンたちは、倒れた仲間とこっちを交互に見た。


「……」


「……」


「ギャッ!」


 一斉に逃げていく。


「あ」


「追わなくてよろしい!」


「追わんし!」


     *


 静かになった。


「勝った?」


「勝ちましたなぁ」


「マジ?」


「マジですぞ」


「っしゃ!」


 拳を上げる。


「冒険者、楽しいじゃん!」


「おじさんには恐怖しかありませんでしたぞ!」


「ほとんど何もしてないじゃん!」


「心は勇者でしたなぁ」


「いらん!」


 そう言ってから、おっさんを見る。


 肩が赤く腫れている。


「見せて」


「いやぁ、お嬢さんからそんな積極的に――」


「殴るよ?」


「すみません」


 肩へ触れる。


「痛い?」


「それなりに」


「甘露飲めば?」


「それがよろしいですなぁ」


 おっさんが腰へ手を伸ばす。


「……おや?」


「何?」


「木杯が」


「ないじゃん」


「おじさんの相棒が!」


「木剣もない!」


 二人で周囲を見る。


「オホォォォォォッ!」


 茂み。


 続いて。


「オッホォォォォォッ!」


「……」


「……」


 二人で顔を見合わせた。


「絶対あれじゃん」


「でしょうなぁ」


 覗く。


「……は?」


 雄化した木剣。


 雌化した木杯。


 さっきまで離して置いていた二つが、いつの間にかぴったりくっつき、勝手に盛り上がっている。


「オホッ! オホォォォォッ!」


「オッホッ! オッホォォォォォッ!」


「交尾してんじゃん!」


「しておりますなぁ」


「目離した一瞬だよ!?」


「行動が早いですなぁ」


「感心すんな!」


 しかも。


「……コップ、倒れてなくない?」


「木杯ですぞ」


「どっちでもいい!」


 中には少し水まで残っている。


 木剣の方も、刀身部分だけはきれいなまま。


「性能は最高」


「私生活は最悪」


 同時だった。


「真似すんな」


「お嬢さんこそ」


「オホォォォォォッ!」


「オッホォォォォォッ!」


 また声が重なる。


「……」


「……」


 その声を聞いていたら。


 妙に。


 身体が熱くなった。


     *


 昨日。


 互いの行為を見せ合った。


 見られているだけで、いつもより激しくなった。


 回数も増えた。


 今日は一緒に戦った。


 汗もかいた。


 近い。


 相手の匂いまで分かる。


「……」


 おっさんを見る。


「何ですかな?」


「別に」


「また見ておりますぞ」


「そっちもじゃん」


「それは」


「何?」


 おっさんが少し黙る。


「匂いですかなぁ」


「は?」


「お嬢さんの汗の匂いが、妙にいやらしく感じますぞ」


「キモ!」


「おじさんも自覚しておりますぞ!」


「なら言うな!」


「ですが」


「何」


「近くにいると、もっと分かりますなぁ」


「何が」


「身体の方が、ずいぶん素直ですぞ」


「……」


 ムカつく。


 けど。


 うちも同じだった。


 おっさんは脂っこい。


 汗臭い。


 清潔感もない。


 なのに。


 その匂いが嫌じゃない。


 むしろ。


 もっと近くへ行きたくなる。


「……性神」


「でしょうなぁ」


「あいつ絶対なんかしてる」


「全面的に同意しますぞ」


「オホォッ! オホォォォッ!」


「オッホォッ! オッホォォォッ!」


「お前らまで煽んな!」


     *


「……見る?」


 うちが言った。


「何をですかな?」


「全部」


「……」


 おっさんが黙った。


「笑ったら帰るから」


「真顔でおりますぞ」


 服を脱いだ。


「……」


 おっさんが、本当に黙った。


「何」


「いやぁ……」


「言えし」


「お嬢さん」


「何」


「黒髪でもありませんなぁ」


「見れば分かる」


「清楚でもない」


「うん」


「処女でもない」


「そこ言う必要ある!?」


「おじさんの理想からは見事に全部外れておりますぞ」


「ケンカ売ってんの!?」


「しかし」


「何」


 おっさんが息を呑んだ。


「身体だけは、まずいですなぁ」


「は?」


「汗も匂いも、見た目も。全部、おじさんの身体には刺さっておりますぞ」


「……キモ」


「しかも」


「何」


「まだ触ってすらいないのに」


 おっさんの身体が震えた。


「おや」


「え」


「出ますぞ」


「今!?」


「濃いのが」


「見てるだけじゃん!」


「オッ! オッ! オッ!」


「実況すんな!」


 白いものが飛んだ。


「……」


「……」


「おっさん」


「はい」


「うち見ただけでイッた?」


「イキましたなぁ」


「堂々と言うな!」


「おじさん自身が一番驚いておりますぞ」


「キモォ!」


「しかし、お嬢さんの身体を見ただけで分かってしまいましたなぁ」


「何が」


「今までとは違う」


「……」


「こんなの初めてですぞ」


     *


「じゃ」


「はい?」


「おっさんも脱いで」


「ほう!」


「食いつくな!」


 おっさんが服を脱ぐ。


「……」


 うちは固まった。


 最悪。


 脂っこい。


 腹はたるんでる。


 体毛そのまま。


 頭は薄い。


 顔も全然タイプじゃない。


 なのに。


「……は?」


 見た瞬間。


 身体の方が勝手に答えを出した。


 絶対ヤバい。


 今までの誰とも違う。


「ちょ、待って」


「どうしましたかな?」


「これ」


「はい?」


「絶対、今までと全然違う」


「おや」


「分かるんだけど!」


 身体の奥が熱くなる。


「待って」


「おじさん、何もしておりませんぞ」


「分かってる!」


 なのに。


「来る……」


「おや?」


「来る来る来る……っ!」


「まだ見ているだけですがなぁ」


「あっ、ダメ!」


「お嬢さん?」


「お゙っ……!」


 膝が震えた。


「お゙っ、お゙っ……んお゙っ……!」


「ほほう」


「感心すんな!」


「実に見事なオホ声ですなぁ」


「言うな!」


「お゙っ゙お゙っ゙お゙っ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙っ!」


 足元に水たまり。


「……」


「……」


「見た?」


「全部見えましたなぁ」


「最悪!」


「いやぁ、おじさんも先ほど同じような」


「言うな!」


 互いに。


 ただ相手を見ただけ。


 それだけで。


 イッた。


 隠しようがない。


「……おっさん」


「はい」


「うち見ただけでイッたんだよね」


「はい」


「……」


「お嬢さんも?」


「……うん」


「ドゥフフ」


「笑うな!」


 目が合う。


「……最悪」


「奇遇ですなぁ」


「何でこんなのが脂っこい汚いオッサンなん」


「おじさんも、なぜ黒髪の清楚な処女ではなく、こんなビッチギャルなんですかなぁ」


「誰がビッチ!」


「身体だけなら」


「言うな」


「最高」


「……うちもそう思ってんのが一番ムカつく!」


     *


「一回だけね」


「承知しましたぞ」


「嫌だったら即やめる」


「もちろんですなぁ」


「あと」


「何ですかな?」


「正式なやつ」


「ほう」


「種付けプレス」


「……」


「何その顔」


「お嬢さんからその言葉を聞くとは」


「やりたいんでしょ」


「非常に」


「……うちも」


「ドゥフフ」


「笑うな!」


     *


 結果。


 一回では終わらなかった。


「来る……!」


「もうですかな?」


「黙って!」


「いやぁ、お嬢さん」


「何!」


「ずいぶん絡みついてきますなぁ」


「うっさい!」


「身体の方は、もっと続けてほしいと言っておりますぞ」


「実況すんな!」


「それに」


「何!」


「汗の匂いも、さっきよりずっといやらしいですなぁ」


「言うな!」


「水音まで響いておりますぞ」


「おっさん!」


「ビチャビチャと、随分――」


「それ以上言うな!」


「ドゥフフ」


「笑うな!」


 身体の熱が上がる。


「来る来る来る……っ!」


「お嬢さん、またですかな?」


「あっ、ダメ!」


「止めませんぞ」


「それ! 止めんな!」


「ほう」


「うちがイッてる時も、そのまま続けて!」


「承知しましたなぁ」


「もっと……もっと奥まで来て……!」


「ずいぶん欲しがりますなぁ」


「うっさい!」


「身体の方が、おじさんを離す気がありませんぞ」


「黙れ……っ!」


「もっと満たしてほしいのですかな?」


「……もっと!」


「ほう!」


「反応すんな!」


「お嬢さん」


「何!」


「孕みたい、とでも言い出しそうな勢いですなぁ」


「……孕ませて」


「おや」


「言わせんな!」


「ドゥフフ」


「もっと……奥の奥まで……!」


「はい」


「もう限界でも止めんな!」


「おじさんが先に限界になっても?」


「終わりじゃない!」


「ほう」


「そのまま続けて! うちがイッてても止まんないで!」


「承知しましたぞ」


「来る……また来る!」


「では、そのまま」


「来る来る来る……っ!」


「お嬢さん、本当に止めてほしくなさそうですなぁ」


「あっ、ダメ……でも止めんな!」


「お゙っ……お゙っ、お゙っ……!」


「いやぁ、締めつけ方まで分かりやすいですぞ」


「言うなぁ!」


「もっと欲しがっておりますなぁ」


「うっさい……っ、でももっと!」


「オホ声も絶好調ですぞ」


「お゙っ゙お゙っ゙お゙っ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙っ!」


 森へ響く。


 向こうでは。


「オホォォォォッ!」


「オッホォォォォッ!」


 木剣と木杯まで鳴いた。


「何であいつらまで!」


「応援ですかなぁ」


「いらない!」


「では」


「何」


「おじさんも」


「また実況!?」


「出ますぞ」


「止まんなよ!」


「濃いのが」


「出しても終わりじゃないから!」


「オッ! オッ! オッ!」


「そのまま……!」


「ほう」


「止めんなって言ってる!」


「承知しましたぞ」


「もっと……!」


「まだ欲しいですかな?」


「欲しい!」


「では」


「何」


「さて、抜かずの二回戦ですぞ」


「その台詞マジで毎回言うの!?」


「定番ですからなぁ」


「知らんし!」


     *


 二回。


 三回。


 四回。


「来る……!」


「またですかな?」


「また!」


「おじさんは三回目ですなぁ」


「自分のも数えんな!」


「出ますぞ!」


「だから止まんなよ!」


「濃いのが……オッ! オッ! オッ!」


「お゙っ……また……!」


「お嬢さんも来ましたかな?」


「来る来る来る……!」


「ではこのまま」


「あっ、ダメ!」


「止めませんぞ」


「それ! もっと!」


「いやぁ、すっかり素直になりましたなぁ」


「今だけだから!」


「身体は正直ですぞ」


「うっさい!」


「孕ませてほしいくらい?」


「……孕ませて!」


「ほう!」


「そこで嬉しそうにすんな!」


「ドゥフフ!」


「滅茶苦茶になるくらい続けて……!」


「承知しましたなぁ」


「お゙っ゙お゙っ゙お゙っ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙っ!」


 途中から。


 二人とも回数を数えなくなった。


 声だけが。


 ずっと森へ響いていた。


「来る来る来る……!」


「出ますぞ!」


「止めんな!」


「濃いのが!」


「もっと!」


「オッ! オッ! オッ!」


「オッホォォォォォッ!」


 そして。


「オホォォォォッ!」


「オッホォォォォッ!」


 木剣と木杯まで。


 全員うるさい。


     *


 どれくらい経ったのか。


 分からない。


 それでも。


 二人とも普通に元気だった。


「……おかしくない?」


「何がですかな?」


「何回やったと思ってんの」


「途中から実況に集中して数えておりませんなぁ」


「実況いらんかったから!」


「お嬢さんもずいぶん鳴いておりましたぞ」


「言うな!」


「『もっと』『止めないで』『孕ませて』と」


「再現すんな!」


「ドゥフフ」


「殺す!」


 おっさんの肩を見る。


「あ」


「おや」


 棍棒で腫れていた場所。


 完全に治っている。


「傷消えてる」


「お嬢さんもですぞ」


 戦闘で痛かったところ。


 何ともない。


「性交回復、ヤバ」


「性神様の加護ですなぁ」


「性能だけはマジ神」


「神ですからなぁ」


「それ毎回言う?」


「便利ですからなぁ」


 少し黙る。


「……」


「……」


 また目が合う。


「何」


「困りましたなぁ」


「何が」


「お嬢さん」


「うん」


「身体だけは、本当に最高ですぞ」


「……」


 ムカつく。


 けど。


「うちも」


「ほう」


「身体だけ」


「念押しされましたなぁ」


「脂っこい」


「はい」


「汚い」


「はい」


「腹たるんでる」


「はい」


「中年」


「はい」


「ハゲ」


「そこまで!」


「デブ」


「まだ!」


「チビ」


「最後まで言いましたなぁ!」


「そこが最悪!」


「おじさんだって」


「何」


「黒髪でない」


「うん」


「清楚でない」


「うん」


「処女でない」


「うっさい!」


「ビッチギャル」


「誰がビッチ!」


「そこが最悪ですなぁ」


「ムカつく!」


「ですが」


「何」


「身体は最高」


「……うん」


     *


「オホォォォォォッ!」


「オッホォォォォォッ!」


 木剣と木杯。


 まだやっていた。


「こいつら何回目?」


「分かりませんなぁ」


「うちらより多くない?」


「可能性はありますぞ」


「化け物じゃん」


「おじさんたちも同類ですなぁ」


「それはそう」


 木剣を引き離す。


「はい終了!」


「オホォ……」


 おっさんも木杯を拾う。


「こちらも終了ですぞ」


「オッホォ……」


「めっちゃ不満そう」


「また目を離せば始めますなぁ」


「絶対やる」


 木剣へ布を巻く。


 じわ。


「また染みた!」


「元気ですなぁ」


「さっき散々やってたじゃん!」


「オホッ!」


「まだ元気なの!?」


 おっさんが木杯へ水を注ぐ。


 甘露へ変わる。


「飲みます?」


「飲む」


 二人で回して飲んだ。


「……」


 妙に自然。


「ねえ」


「はい?」


「別に付き合うとかじゃないから」


「もちろんですぞ」


「好きでもない」


「おじさんもですなぁ」


「でも」


「はい」


「またする?」


「ドゥフフ」


「その笑い方したらやめる」


 おっさんが真顔になる。


「またお願いしますぞ」


「……うん」


     *


 町へ戻ろうとして。


 うちが先に歩く。


 十歩。


「……」


 止まる。


「どうしましたかな?」


「分かる」


「何が?」


「おっさんが後ろにいる」


「見れば分かりますぞ」


「違う」


 目を閉じる。


「動いて」


「こうですかな?」


「……右」


「おや」


 もう一度。


「左」


「……」


 振り返る。


「お嬢さん」


「何」


「おじさんにも分かりますぞ」


「マジ?」


 昨日までは。


 なんとなく気になるだけだった。


 今は。


 相手のいる方向が分かる。


 距離はまだ曖昧。


 でも確実。


「……性神」


「やりましたなぁ」


「絶対あいつじゃん」


「おそらく」


「何これ」


「つがいの印ですかなぁ」


「やめて!」


「おじさんも嫌ですぞ!」


「うちの方が嫌!」


「張り合うところですかなぁ!」


 睨み合う。


 なのに。


 相手がそこにいる。


 それが分かるだけで。


 身体は妙に安心していた。


「……最悪」


「同感ですなぁ」


「オホォォォッ!」


「オッホォォォッ!」


 木剣と木杯が同時に鳴いた。


「お前らまで合わせんな!」


 初めて一緒に戦った日。


 うちはゴブリンを倒した。


 木剣と木杯は、目を離した隙に勝手に交尾していた。


 うちとおっさんは。


 互いを見ただけでイッた。


 そのあと。


 初めて関係を持った。


 分かったことは多い。


 見ただけでも駄目。


 実際にしたらもっと駄目。


 何回続けても止まらない。


 おっさんはずっと実況する。


 うちは限界になっても、もっと続けろと言ってしまう。


 傷まで治る。


 相手の居場所まで分かるようになった。


 そして。


 もう他では足りないかもしれない。


 それくらい。


 身体だけは最高だった。


 ただし。


 相手は。


 脂っこい汚い中年オッサン。


 向こうから見れば。


 黒髪でもなく。


 清楚でもなく。


 処女でもないビッチギャル。


「……マジ最悪」


「何か言いましたかな?」


「何でもない!」


 身体は最高。


 好みは最悪。


 たぶん。


 うちらは。


 これからずっと、このことで揉める。

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