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種付けオッサンとビッチギャル ~二日に一度ヤらないと死ぬ二人の異世界転生~【注目15位、日間217位ありがとうございます】  作者: 黒瀬 量衡
第四章 腐女子男爵とエロゲ公爵令嬢

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第七十七話 淫紋のデザインを決めたら、今度は全裸の身体をキャンバスにする話になりました

 公爵令嬢の別荘。


 その一室。


「次」


「はい」


 エリーが。


 無表情で。


 スカートを持ち上げた。


「……何で私なのでしょう」


「一番分かりやすいから」


「何がですか」


「映えるかどうか」


「公爵令嬢様」


 エリーの下腹部には。


 今日だけで。


 何種類目か分からない模様が描かれていた。


     *


 正式会員へ刻む。


 一生消えない第一の淫紋。


 さらに。


 秘密の符号によって魔法的に浮かび上がる第二の淫紋。


 その基本意匠を決めるため。


 ようやく。


 専門家が呼ばれた。


     *


 一人は。


 若い男性貴族。


 絵画を趣味の域を越えて学び、王都でも何度か作品を展示したことのある男。


 もう一人は。


 若い令嬢。


 こちらも画家として活動しており、人物画や衣装意匠を得意としている。


「男女両方の感覚を入れたかったからね」


 ユキが言う。


「男性だけで作ったら、男から見たエロさに寄りすぎるかもしれないし」


「女性だけでも同じでしょうね」


 マコトが頷く。


「なので、お二人に共同で」


「光栄です」


 男の画家が答える。


 令嬢の方も。


「大変興味深い依頼ですわ」


 楽しそうだった。


     *


「ただ」


 エリー。


「何故、毎回私へ描くのです?」


「紙の上と身体の上じゃ違うから」


 ユキ。


「それは理解しております」


「腰の線とか」


「はい」


「腹の形とか」


「はい」


「脚との繋がりとか」


「はい」


「そこまで含めて淫紋でしょ?」


「それも理解しております」


 一拍。


「何故、あなたが毎回私を凝視しているのです」


「監修」


「嘘ですね」


     *


 新しい案。


 画家二人が。


 エリーの下腹部へ。


 丁寧に線を置いていく。


 左右対称。


 中心から広がる曲線。


 蔓のような線。


 花弁にも。


 炎にも。


 何かを受け入れる形にも見える。


「どう?」


 令嬢画家が聞く。


 ユキ。


 見る。


「……」


 じっと。


「……」


 さらに。


 見る。


「公爵令嬢様?」


「これ」


「はい?」


「かなり来る」


「何がです?」


「私の股間に」


「公爵令嬢様」


     *


 マコト。


「つまり?」


「今までで一番エロい」


「採用基準がそれなのですか?」


 エリー。


「大事でしょ?」


「会員証ですよ」


「淫紋だよ?」


「……」


「名前からしてエロいじゃん」


「それはあなたがそう呼んでいるだけです」


     *


 男性画家が。


 少し笑う。


「ですが」


「何?」


「私も、この案が最も良いと思います」


 女性画家も頷く。


「わたくしも」


「ほら」


 ユキ。


 勝ち誇る。


「芸術家二人も言ってる」


「理由を聞いてから喜んでください」


     *


 男性画家が。


 エリーの身体を。


 あくまで作品として見る。


「腰の形を邪魔しない」


「はい」


「身体そのものを隠すのではなく」


 一拍。


「元々ある曲線を強調しています」


 女性画家も続ける。


「それに」


「はい」


「男性の身体へ入れても」


「うん」


「女性の身体へ入れても」


「うん」


「どちらでも成立する形ですわ」


「それ!」


 ユキが。


 指を差す。


「男用女用で分けたくなかったんだよ」


「この会らしいですものね」


「そうそう」


     *


 マコトも。


 完成案を眺める。


「外側は同じで」


「うん」


「第二の魔法紋が出た時だけ」


「内側にさらに線が増える」


「いいですね」


「でしょ?」


「秘密の符号で」


「こう」


 ユキ。


 指で輪を作り。


 もう片方の指を。


 そこへ。


 入れる。


 抜く。


「……」


 画家二人。


 沈黙。


「これが符号ですか?」


「そう」


「下品ですわね」


 女性画家。


「でしょ?」


「何故嬉しそうなのです」


     *


 それでも。


 デザインは決まった。


 第一の淫紋。


 普段から身体へ残る。


 正式会員であることを、自分自身には常に意識させる印。


 第二の淫紋。


 普段は見えない。


 秘密の符号と魔力によってのみ浮かび上がる。


 会員同士。


 互いを確認するための印。


「これで意匠担当は完了ですね」


 エリーが言う。


「待って」


 ユキ。


「何です?」


「もうちょっと画家さんたちの話聞きたい」


     *


 そもそも。


 この二人。


 ただの仕事仲間ではなかった。


「婚約したんだよね?」


 ユキが聞く。


「はい」


 男性画家。


「つい先日」


 女性画家も。


 少し照れた。


「正式に話がまとまりましたの」


「出会いは?」


「……」


「……」


 二人。


 目を合わせる。


 ユキ。


「乱痴気会?」


「はい」


「やっぱり」


     *


 元々。


 二人の家には。


 政治的に縁を結ぶ意味もあった。


 だが。


 親が話を進める前。


 二人は。


 あの婚約発表の宴で。


 先に。


 知り合った。


「最初は」


 男性画家が言う。


「彼女の身体に絵を描きたいと思ったのです」


「そこから?」


「はい」


「普通、顔とか性格とかじゃない?」


「もちろん、それも後から」


「後からなんだ」


 女性画家が笑う。


「わたくしも同じようなものでしたわ」


「どういう?」


「彼の背中を見て」


 一拍。


「ここへ絵を描いたら綺麗だろうな、と」


「画家同士だ」


     *


 そこから。


 二人で話すようになった。


 絵。


 身体。


 色。


 線。


 互いの作品。


 そして。


 政治的にも。


 家同士の婚姻には意味があった。


「親に話したところ」


 男性画家。


「むしろ非常に喜ばれました」


「いいじゃん」


「はい」


「乱痴気会が縁談まで作ってる」


「言い方」


 エリー。


     *


「それで」


 女性画家が。


 少し身を乗り出した。


「実は」


「何?」


「今、二人で考えている作品がありますの」


「どんな?」


「人間の身体そのものを」


 一拍。


「キャンバスにしたいのです」


「ボディペイント?」


「そういうものですわ」


     *


 全裸の身体へ。


 模様を描く。


 淫紋のような線を。


 下腹部だけではなく。


 胸。


 腹。


 腰。


 背中。


 腕。


 脚。


 全身へ広げていく。


「いいじゃん」


 ユキ。


「すごくいい」


「でしょう?」


「身体の線と絵が一体になるんだ」


「ええ」


 男性画家も。


「立っている時」


「うん」


「座った時」


「うん」


「身体を曲げた時」


「うん」


「抱き合った時」


「……」


 ユキ。


 止まる。


「それ」


「はい?」


「二人分で一枚になる絵とかできない?」


     *


 画家二人。


 同時に。


 止まった。


「……」


「……」


「例えばさ」


 ユキ。


 楽しそう。


「男女でもいい」


「はい」


「女同士でもいい」


「はい」


「男同士でもいい」


「はい」


「一人ずつだと模様が途中で切れてるんだけど」


 一拍。


「抱き合うと、線が全部繋がって一つの絵になる」


 女性画家の目が。


 変わった。


「……それ」


「いい?」


「素晴らしいですわ」


     *


 男性画家も。


 すでに紙を取っている。


「さらに」


 ユキ。


「何人かで繋がるとか」


「できます」


「身体の位置を変えると、別の絵になるとか」


「面白い」


「動いてる最中に」


 エリー。


「公爵令嬢様」


「まだ何も言ってない」


「顔で分かります」


     *


「あとさ」


 ユキ。


「ライブペインティングは?」


「……ライブ?」


「人前で描くの」


「つまり」


 女性画家。


「制作そのものを見せる?」


「そう」


「裸の人に?」


「そう」


「その場で?」


「そう」


「面白いですわね」


     *


 ユキは。


 さらに。


 止まらない。


「乱痴気会の真ん中でやったら?」


「公爵令嬢様」


「何?」


「やはりそう来ましたね」


「だって最高じゃん」


 広い部屋。


 真ん中。


 全裸のモデル。


 その身体へ。


 画家が。


 少しずつ。


 線を描く。


 周囲では。


 参加者たちが。


 自由に遊ぶ。


「描いてる途中でさ」


「はい」


「周りから、いろんな遊びの痕跡とか水気とか飛んできても」


「公爵令嬢様」


「それも作品にしちゃえばいい」


     *


 画家二人。


 黙る。


 そして。


 考える。


「……面白い」


 男性画家。


「でしょ?」


「偶然を作品へ取り込むわけですね」


「そうそう」


 女性画家も。


「身体そのものがキャンバス」


「うん」


「画家が描いた線」


「うん」


「会場で起きたことによって付いた痕跡」


「うん」


「それらが一晩で一つの作品になる」


「そう!」


     *


 エリー。


 頭を抱える。


「公爵令嬢様」


「何?」


「また変な文化を生み出そうとしております」


「芸術だよ」


「乱痴気会の中央で全裸の身体へ絵を描くのが?」


「芸術」


「そこへ遊びの痕跡まで作品として加える?」


「現代芸術」


「何ですか、それは」


「いいじゃん」


     *


 爆乳令嬢が。


 横で話を聞いていた。


「でも」


「何?」


「悪くありませんわ」


「でしょ?」


「会の者たちなら」


 一拍。


「自分の身体を作品として晒すこと自体、喜ぶ方もいるでしょうし」


「いる絶対」


「それに」


 爆乳令嬢。


 画家二人を見る。


「お二人の活動としても、新しいものになる」


「はい」


 女性画家は。


 すでに。


 かなり乗り気だった。


     *


「じゃあ」


 ユキ。


「私、パトロンやる」


「……」


 マコト。


「即決ですね」


「だって見たいもん」


「公爵令嬢様」


「材料費」


「はい」


「部屋」


「はい」


「モデル」


「会員から希望者を募る?」


「それ!」


「公爵令嬢様」


「エリー」


「何でしょう」


「事務局で募集」


「もう業務になっておりますね……」


     *


 男性画家。


「でしたら」


「何?」


「最初の作品は」


 一拍。


「今回の淫紋を全身へ発展させたものにしたいです」


「いい」


「男女一名ずつ?」


「それもいい」


 女性画家。


「いえ」


 一拍。


「最初は二人ではなく」


「何人?」


「できるだけ多く」


「……」


「身体を繋げて」


「……」


「全員で、一枚の絵に」


 ユキ。


 笑う。


「最高」


     *


 エリー。


「公爵令嬢様」


「何?」


「目が完全に」


「うん」


「政治をしている時より輝いております」


「楽しいからね」


 爆乳令嬢。


「以前も申し上げましたけれど」


「何?」


「その頭の何割かを政治へ向けてくだされば」


「嫌」


「即答ですの?」


     *


 こうして。


 正式会員用の淫紋。


 基本意匠。


 完成。


 監修。


 公爵令嬢ユキ。


 特別代官マコト。


 制作。


 画家の若い貴族。


 画家の若い令嬢。


 採用基準。


 エリーの身体へ何案も試し描きした結果。


 ユキが。


 一番。


「これ、来る」


 と言ったもの。


「そこ正式記録に残すんですか?」


「駄目?」


「駄目です」


     *


 そして。


 淫紋の仕事を依頼しただけだったはずなのに。


 さらに。


 新しい計画。


『全身淫紋を利用した人体絵画』


『複数人を組み合わせた連結絵画』


『会場でのライブペインティング』


『乱痴気会そのものを取り込んだ一夜限りの人体作品』


 まで。


 事務局の紙へ。


 増えていた。


「……」


 エリー。


 見る。


「何です?」


 ユキ。


「淫紋のデザインだけを決める日では?」


「決まったじゃん」


「はい」


「ついでに芸術も発展した」


「何故ですか」


     *


 画家二人は。


 帰り際。


 かなり楽しそうだった。


「次回までに、全身用の案を持ってまいります」


「よろしく」


「モデルについても」


「募集しとく」


「ありがとうございます、公爵令嬢様」


「あと」


 ユキ。


「婚約おめでとう」


 二人。


 少し照れる。


「ありがとうございます」


「乱痴気会で出会ったとは親には言えないでしょうけど」


「絶対に言いません」


「そこは守ろう」


     *


 二人を見送ったあと。


 エリーが。


 完成した淫紋の図案を見る。


「これで」


「うん」


「次は術者ですね」


「魔法淫紋」


「はい」


「感度上昇も」


「希望者用です」


「興奮増加も」


「希望者用です」


「いっぱい変な機能入れよう」


「公爵令嬢様」


「楽しみだなあ」


「……」


 エリー。


 ため息。


 会員証を作ろうとしていただけなのに。


 何故か。


 秘密結社には。


 専属芸術家まで。


 生まれつつあった。

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