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種付けオッサンとビッチギャル ~二日に一度ヤらないと死ぬ二人の異世界転生~【注目15位、日間217位ありがとうございます】  作者: 黒瀬 量衡
第二章 腐女子男爵とエロゲ公爵令嬢

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第五十一話 爆乳メイド長を交えたらどうなるか考えたら、女二人で旦那様を奪い合う話になりました

 騎士を交えた場合の妄想検討会から、少し時間を置いた翌日。


 離れの居間で向かい合ったマコトとユキは、今度はもう一人の候補について話していた。


 旧男爵家の頃からマコトに仕え、公爵家へ吸収された後も特別代官となった主人についてきた、叩き上げのメイド長。


 口が堅い。


 仕事ができる。


 マコト個人への忠誠心もかなり強い。


 そして。


「マコト」


「はい」


「正直に言います」


「嫌な予感」


「メイド長のあの爆乳で、旦那様を可愛がってほしくはあります」


「……」


 マコトが自分の胸元を見る。


「まな板ですいませんね」


「どうしてマコトが謝るんですの?」


「ものすごく比較された気がしたので」


「マコトの身体も好きですわよ」


「フォローが遅い」


     *


「でも」


 ユキは腕を組んだ。


「騎士の時と同じ構図にするなら」


「はい」


「最初にメイド長が相手をするのは、私ではなくマコトでしょうね」


「何で?」


「だって」


 ユキが当然のように言う。


「メイド長は旦那様推しなのでしょう?」


「その言い方」


「長年仕えて」


「はい」


「家がなくなっても残って」


「はい」


「マコトが無茶をすれば本気で叱る」


「はい」


「もう十分、旦那様推しですわ」


「まあ……」


 否定しきれない。


     *


 ユキの中では。


 すでに。


 古いエロゲのような場面が始まっていた。


「まず」


「はい」


「離れで、私とマコトが好き放題しております」


「いつものことみたいに言わないで」


「最近はかなりいつものことですわ」


「……否定できない」


「それで」


 ユキが芝居がかった声を出す。


「散々オホ声を出して、私がもうぐったりしているところへ」


「そこまで確定なんです?」


「確定です」


「はい」


「メイド長登場」


「どうやって?」


「そこは妄想なので適当に」


「雑」


 扉を開けたメイド長が。


 普段なら絶対に見ない。


 主人と公爵令女の姿を見る。


「それで」


 ユキが言う。


「私を見て、ちょっと怒ってほしい」


「何で?」


「愛しい旦那様が、公爵令女に散々乱されていたから」


「愛しいまで確定した?」


「妄想です」


「便利ですね」


     *


「それでメイド長が」


 ユキが胸へ手を当てる。


「『旦那様。そのような女に好き勝手されたのでしたら、私がお世話いたします』」


「そのような女って、自分で言ってます?」


「私はクソ女役です」


「公爵令女なのに」


「エロゲなので」


「強い」


「まずは」


 ユキが楽しそうに続ける。


「散々私に付き合わされた旦那様を、メイド長が二人きりの時みたいに世話する」


「はい」


「爆乳も使って」


「そこだけ妙に具体的ですね」


「重要ですもの」


 マコトも。


 少しだけ。


 想像してしまう。


 普段は仕事の鬼。


 帳簿がおかしければ役人を呼びつけ。


 自分が徹夜しようとすれば普通に寝ろと叱る。


 そんなメイド長が。


 離れでだけ。


『旦那様、私をお使いください』


 なんて言う。


「……」


「マコト」


「何?」


「今、想像しました?」


「してません」


「しましたわね」


「少しだけ」


「ほら」


     *


「そこから」


 ユキが言う。


「マコトがメイド長を可愛がる」


「はい」


「最初はかなり普通に」


「普通?」


「抱き合って、キスして」


「そこまでは」


「旦那様と長年仕えてきたメイド長らしく、ちょっと恋愛ものっぽく」


「急に純愛」


「その方が後半との落差が出ます」


「後半?」


 嫌な予感。


「マコトがメイド長を抱き上げるようにしたところで」


「はい」


「私が後ろからメイド長へ抱きつく」


「ユキが?」


「私が」


「何で?」


「混ざりたいので」


「正直」


     *


「そこで」


 ユキが悪い顔になる。


「メイド長は、愛しい旦那様しか見ていなかったのに」


「はい」


「公爵令女にまで構われる」


「はい」


「しかも私は」


「はい」


「普通のお嬢様ではない」


「男性側の身体がある」


「そう」


「またそこ」


「騎士の時と同じですわ」


 ずっと高貴な令女だと思っていた相手。


 その相手が。


 主人と離れで好き放題していて。


 さらに自分にまで近づいてくる。


「メイド長は最初、絶対警戒する」


「でしょうね」


「でも」


 ユキが指を一本立てる。


「本人が自分から続きを望んだら」


「そこは絶対」


「当然です」


 臣下でも。


 使用人でも。


 断っても立場は変わらない。


 途中でやめてもいい。


 それを最初に確認する。


「現実なら、そこから」


「ですね」


「妄想なら?」


「本人も乗り気ということで」


「よろしい」


     *


「それで」


 ユキが続ける。


「愛しい旦那様の目の前で」


「はい」


「メイド長が、今度は私にまで翻弄される」


「……」


「普段のメイド長からは考えられないくらい」


「……」


「マコトはそれを見る」


「ユキ」


「何?」


「私、それかなり嫉妬すると思う」


「私もすると思います」


「ユキが?」


「だって」


 ユキが眉を寄せる。


「私のマコトが、爆乳メイド長を抱いているんですわよ?」


「自分で提案しておいて」


「妄想と嫉妬は別です」


「昨日も似たこと言いましたね」


     *


「でも」


 ユキの顔が。


 またエロゲオタクのそれへ変わる。


「嫉妬するからいいのです」


「出た」


「最初は私とメイド長で協力する」


「何を?」


「旦那様のお世話」


「はい」


「二人で可愛がって」


「はい」


「キスもして」


「はい」


「必要なら二人で口でも奉仕する」


「……」


「そこまでは協力」


「そこまでは?」


「途中から」


 ユキがにやりとした。


「旦那様の奪い合い」


     *


「メイド長が」


 ユキが低い声を作る。


「『そろそろ旦那様をこちらへ』」


「はい」


「私が」


「はい」


「『まだ私の番ですわ』」


「……」


「メイド長が」


「はい」


「『公爵令女には先ほど散々お相手していただいたでしょう』」


「強い」


「私が」


「はい」


「『マコトは私の恋人です』」


「はい」


「メイド長が」


「はい」


「『旦那様に仕えてきた年月なら私の方が上です』」


「……」


「どう?」


「完全に女の嫉妬」


「そこがいい!」


     *


 しかも。


 二人は。


 ただ口喧嘩するだけではない。


「マコトをどちらが次に独占するか」


「はい」


「お互いを先に余裕なくさせた方が勝ち」


「何その勝負」


「なので」


 ユキが指を動かす。


「キスしたり」


「はい」


「耳を責めたり」


「はい」


「乳首を弄ったり」


「ユキとメイド長が?」


「そう」


「私を取り合ってるのに?」


「相手を先に降参させるためです」


「すごいエロゲ」


「でしょう?」


「褒めてません」


「褒め言葉として受け取ります」


     *


「で」


 ユキが続ける。


「どちらかが先に限界を迎えたら」


「はい」


「勝った方がマコトを奪う」


「……」


「『次は私です』って」


「宣言するんですか」


「します」


「メイド長も?」


「もちろん」


「それ」


 マコトが少し考える。


「二人で私を取り合ってるのに、途中から二人同士でもかなり楽しんでません?」


「……」


「……」


「エロゲですので」


「逃げた」


     *


「でも」


 マコトが聞いた。


「ユキ」


「何?」


「本当にそれでいいの?」


「何が?」


「私、メイド長をかなり可愛がるんでしょう?」


「ええ」


「ユキの目の前で」


「ええ」


「キスもする」


「ええ」


「ユキより先にメイド長を選ぶ瞬間もある」


「……」


「嫉妬しません?」


 ユキは。


 しばらく考えた。


「しますわね」


「やっぱり」


「ものすごくする」


「じゃあ止めた方が」


「いえ」


「何で?」


「嫉妬したまま、後でマコトに取り返してもらえばいいでしょう?」


「……取り返す?」


「最後は私に戻ってきて」


「はい」


「散々私を求めてくれるなら」


 ユキが少し視線を逸らした。


「まあ」


「何?」


「マコトに激しく求められるの、好きですし」


「……」


「何です、その顔」


「結局そこなんだなって」


「悪い?」


「全然」


     *


「むしろ」


 ユキが乗ってきた。


「メイド長と張り合って」


「はい」


「旦那様を早くこちらへ寄越しなさい、と本気で嫉妬して」


「はい」


「相手まで散々煽って」


「はい」


「最後は」


「はい」


「私がマコトを取り戻す」


「……」


「最高では?」


「ユキ」


「何?」


「それ、完全に寝取り返しもののエロゲ」


「いいではありませんか」


「しかもメイド長側から見れば」


「はい」


「愛しい旦那様を公爵令女に取られたと思ったら」


「はい」


「自分も巻き込まれて」


「はい」


「最後はまた旦那様を奪い合う」


「はい」


「忙しいな」


「エロゲヒロインは忙しいものです」


     *


 そこで。


 二人とも。


 少し黙った。


「……」


「……」


 マコトがユキを見る。


 ユキがマコトを見る。


「ユキ」


「何?」


「身体、反応してますよね」


「マコトもです」


「妄想だけですよ」


「昨日もそうでした」


「騎士本人にも」


「メイド長本人にも」


「一言も相談してない」


「ええ」


「なのに」


 二人して。


 視線を落とす。


「……またビンビン」


「またビンビンですわね」


「最低」


「同類です」


     *


「整理します」


 ユキが言った。


「メイド長を巻き込むなら」


「本人の自由意思」


「断っても何も変わらない」


「途中でやめてもいい」


「そして本人が、もっと深く関わりたいと言った場合だけ」


「その先を考える」


「はい」


 そこまではまとも。


「その先は」


「爆乳」


「ユキ!」


「旦那様争奪戦」


「そこは否定しませんけど」


「私とメイド長でマコトを可愛がる」


「はい」


「途中から女の嫉妬」


「はい」


「互いにキスしたり、相手の弱いところを弄ったりして」


「はい」


「先に余裕をなくした方が旦那様を譲る」


「……」


「最後はマコトが私へ戻ってくる」


「そこ重要?」


「最重要」


     *


「じゃあ」


 マコトが笑った。


「メイド長が勝って、私をなかなか返してくれなかったら?」


「……」


 ユキの目が。


 すっと細くなる。


「取り返します」


「怖い」


「旦那様は私の恋人ですので」


「さっきメイド長と共有する話してましたよね?」


「共有と独占されるのは別ですわ」


「難しい」


「女心です」


「前世男ですよね?」


「今世十八年女です!」


「強い」


     *


「それで」


 ユキが最後に言った。


「取り返した後は」


「はい」


「ちゃんと私を満足させてくださいませ」


「……」


「何です?」


「本当に結局そこ」


「だって」


 ユキが笑う。


「マコトに散々求められるの」


「はい」


「好きですもの」


 マコトも。


 少し笑った。


「それなら」


「はい?」


「最後はちゃんとユキのところに戻りますよ」


「よろしい」


「ただし」


「何です?」


「メイド長本人が」


「はい」


「本当にこんなことしたいかは」


「まったく別問題」


「……」


「……」


 二人して。


「あれー?」


「あれー? ですわね」


 また。


 本人不在のまま。


 妄想だけが。


 とんでもなく先まで進んでいた。

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