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種付けオッサンとビッチギャル ~二日に一度ヤらないと死ぬ二人の異世界転生~【注目15位、日間217位ありがとうございます】  作者: 黒瀬 量衡
第二章 腐女子男爵とエロゲ公爵令嬢

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第四十二話 化粧台の鏡の前で、元腐女子代官が元エロゲオタク令嬢を言葉で追い込みました

 公爵家の離れ。


 二人だけで使うことを許された寝室で、代官と公爵令嬢は改めて向き合っていた。


 代官――今世では男として生きている方の前世の名は、マコト。


 日本人女性で、腐女子だった。


 公爵令嬢――性神によって男女双方の特徴を持つ身体となった方の前世の名は、ユキ。


 日本人男性で、エロゲオタクだった。


「では」


 ユキが確認する。


「あなたが、マコト」


「はい」


「私が、ユキ」


「そうです」


「二人だけの時は、この名前で呼ぶ」


「それでいきましょう」


 今世の家名でも。


 公爵令嬢と代官でもない。


 前世まで知っている二人だけの秘密だった。


 マコトは、その名前を口の中で転がしてから、ふとユキを見る。


「そういえば」


「何ですの?」


「ユキは、前世でも今世でも、こういう形で相手を受け入れた経験はないんですよね」


「ありませんわ」


「本当に初めて?」


「何度聞かれても初めてです」


「なら」


 マコトの目が輝いた。


「記憶に残るようにしたい」


「……その顔」


「何です?」


「腐女子の顔ですわ」


「仕方ないでしょう!」


 マコトは立ち上がった。


「自分がBLみたいな状況を実体験することになるなんて、前世では想像したこともなかったんですよ!」


「普通は想像いたしませんわ!」


「しかも相手が、前世は男だった美人の公爵令嬢!」


「私は今世では女です!」


「分かってます!」


「絶対に分かっておりません!」


     *


 マコトがユキを連れていったのは、寝室の隅にある化粧台だった。


 大きな鏡。


 二人で立っても十分に映る。


「ここ?」


「ここです」


「何故ですの?」


「鏡がありますから」


「やっぱり」


 ユキがため息をつく。


「何か妄想しておりますわね」


「ものすごく」


「隠す気すらありませんの?」


「ユキ」


「はい?」


「一度、鏡を見て」


 二人とも服を脱いでいる。


 鏡の中。


 裸のユキ。


 その背後に立つマコト。


 マコトがユキの腰へ腕を回す。


「……」


「どうです?」


「どう、とは?」


「私から見ると」


 マコトが鏡を指す。


「裸の美形の後ろに、別のイケメンが立って腰を抱いている」


「私は女です!」


「今だけBLフィルターを!」


「嫌ですわ!」


「しかもユキは、前世は男」


「それを持ち出すのは反則です!」


「普段は上品な美人なのに、二人きりになると強い男へ全部任せる」


「勝手に設定を盛らないでくださいませ!」


 言いながら。


 ユキは鏡越しにマコトを見る。


 明らかに楽しそうだ。


 それだけではない。


 身体の方も、隠しようがないほど素直に反応している。


 ユキの目が少し細くなる。


「マコト」


「はい?」


 声を落とした。


 前世が男だったからなのか。


 意識して低くすると、妙に様になる。


「男なのに」


「……」


「今から私とすることで、そんなに興奮しているのですね」


「……ユキ」


「鏡で見てご覧なさい」


 耳元。


「身体が全部、正直ですわよ」


「その声」


「何です?」


「続けて」


「即答ですの!?」


「ものすごく効きました」


「あなた、本当に腐女子でしたのね……」


「元です!」


「今もでしょう」


「今は実践派です!」


「進化しないでくださいませ!」


     *


 それでも。


 遊びを始める前に、二人はきちんと確認した。


「嫌になったら止める」


「はい」


「痛みがあればすぐ言う」


「もちろん」


「性神の加護があるからといって、無理はしない」


「そこも今までと同じですわ」


 ユキは少し息を吸う。


「マコト」


「はい」


「今日は、あなたが主導なさるのでしょう?」


「そのつもりです」


「でしたら」


 ユキが化粧台へ手をついた。


「どうぞ」


 その姿を見た瞬間。


 マコトの中で何かが弾けた。


「……これですよ」


「何がですの?」


「BLで何度見たことか!」


「だから私は女ですってば!」


「でも前世は男!」


「あなたは前世が女でしょう!」


「だから余計にたぎる!」


「理屈がおかしいですわ!」


 言い争っていた声が。


 二人の身体が重なり始めると、少しずつ途切れていった。


「んっ……!」


 ユキの身体が強く揺れる。


「大丈夫?」


「……はい」


「本当に?」


「大丈夫ですわ」


 マコトが身体を支える。


 急がない。


 無理をしない。


 性神の加護が身体を守っているとはいえ、ユキにとっては初めての経験だった。


「ユキ」


「はい……」


「鏡、見て」


「見ております……」


「今の自分」


「マコト……」


「俺に任せてる」


「……っ」


「さっきまであんなに強気だったのに」


「その言い方……!」


「効く?」


「聞かないでくださいませ……!」


「嫌ならやめるけど」


「やめないで」


 マコトが笑う。


「正直」


「オホッ……!」


 二人が止まった。


「……出ましたね」


「言わないでくださいませ!」


「まだ早いでしょう」


「あなたが変なことを言うからです!」


「性神のせいにしましょう」


「それが一番ですわ!」


     *


 マコトはユキの上半身を少し起こした。


 鏡の中。


 ユキはマコトへ身体を預けている。


 頬は赤い。


 呼吸もすでに乱れている。


「ユキ」


「何……?」


「ちゃんと見て」


「見ていますわ……!」


「俺に支えられて」


「はい……」


「こんなに余裕なくしてる」


「マコト……!」


「可愛い」


「っ……!」


 ユキの身体がまた揺れた。


「その言葉……ずるいですわ」


「好き?」


「……もっと」


「もっと?」


「言葉で責めてくださいませ」


 マコトの目が輝く。


「本当に?」


「その嬉しそうな顔は何ですの!」


「腐女子なので!」


「やっぱり現役ではありませんか!」


     *


「ユキ」


「はい……!」


「鏡を見ながら、自分でももっと気持ちよくなってみて」


「自分でも……?」


「そう」


 マコトが耳元で囁く。


「俺に責められながら、自分からも欲しがってるところ」


「……っ」


「見せて」


「マコト……」


「嫌?」


「……嫌ではありません」


「じゃあ」


 ユキは鏡から目を逸らさないまま、自分自身へ手を伸ばした。


 自分の身体を自分で慰める。


 その間も。


 背後にはマコトがいる。


「オホッ……!」


「そう」


「マコト……!」


「自分から気持ちよくしてる」


「言わないで……!」


「どうして?」


「恥ずかしいですわ……!」


「でも止めない」


「オホッ……!」


「俺に責められながら」


「っ……!」


「自分でも限界まで欲しがってる」


「マコト!」


「いやらしくて」


「……!」


「可愛い」


「オホォォッ……!」


 ユキの呼吸が一気に崩れた。


「それ……」


「何?」


「その言い方、駄目ですわ……!」


「嫌?」


「逆です!」


「じゃあ続ける」


「オホッ……!」


「ほら、鏡」


「見ていますわ……!」


「前世では男だったユキが」


「はい……!」


「今は俺に言葉で責められながら、自分からもっと気持ちよくなってる」


「そんな言い方……!」


「恥ずかしい?」


「恥ずかしいですわ!」


「でも」


「……でも?」


「気持ちいい」


「オホォッ……!」


 答えの代わりに声が出た。


     *


 マコト自身も、次第に余裕を失っていった。


 鏡の中で。


 ユキが自分の言葉に反応する。


 自分自身でも快感を重ねる。


 低い声で囁くたび。


 また身体が揺れる。


「ユキ」


「何……?」


「もっと自分で見て」


「無理……!」


「駄目」


「マコト……!」


「鏡から目を逸らさない」


「オホッ……!」


「今の自分、すごく可愛いから」


「そんなこと言われたら……!」


「もっと?」


「もっとですわ……!」


 ユキの声が高くなる。


「オホッ……オホォッ……!」


「ユキ」


「はい……!」


「限界?」


「近いですわ……!」


「だったら」


 また耳元で。


「俺を見ながら、いって」


「……っ!」


「ユキ」


「マコト……!」


「いいよ」


「オホォォォォッ……!」


 ユキが限界を迎えた。


 自分自身で高めていた快感が一気に弾ける。


 全身が大きく震え。


 その反応が、身体を重ねていたマコトへもはっきり伝わった。


「っ……ユキ!」


「マコト……!」


 ユキの身体へ強く力が入る。


 その一瞬の収縮と、性神の祝福によって高められていた感覚が重なり。


 今度はマコトが耐えられなくなった。


「ユキ……!」


「マコト!」


「オホッ……!」


 二人の声が重なる。


「オホォォォッ……!」


 マコトも限界を迎えた。


 ユキの身体の中で。


 二人が決めた形のまま、互いの行為を最後まで終える。


     *


 しばらく。


 二人とも動かなかった。


 鏡の中には。


 マコトへ身体を預けたユキ。


 そのユキを後ろから支えているマコト。


 二人とも息が上がっている。


「……ユキ」


「何です……?」


「初めて」


「はい」


「記憶に残りました?」


 ユキが鏡越しにマコトを見る。


「一生忘れないと思いますわ」


「よかった」


「特に」


「特に?」


「自分で自分を慰めているところまで、鏡で見せられながら言葉で責められたこと」


「そこですか」


「しかも『いやらしくて可愛い』と」


「可愛かったので」


「もう一度言わなくてよろしい!」


 ユキが鏡から顔を背ける。


「でも」


「はい?」


「……嫌ではありませんでした」


 マコトの目がまた輝く。


「本当に?」


「その顔をやめてくださいませ」


「次の妄想が」


「まだありますの!?」


「腐女子を何だと思っているんです!」


「今世で実践し始めた危険人物!」


「酷い!」


 ユキは笑った。


 マコトも笑う。


 前世の名前を知り。


 前世の趣味も知り。


 今世の身体も、少しずつ知っていく。


 二人を結びつけたのは四十八時間の生命維持だった。


 だが。


 もう、それだけではない。


「マコト」


「何?」


「次は」


「はい」


「私も、あなたを同じくらい恥ずかしい目に遭わせますわ」


「……期待していい?」


「何故嬉しそうなんですの!」


「腐女子なので」


「その万能回答をやめてくださいませ!」


 二人だけの離れに。


 また笑い声が響いた。

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