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種付けオッサンとビッチギャル ~二日に一度ヤらないと死ぬ二人の異世界転生~【注目15位、日間217位ありがとうございます】  作者: 黒瀬 量衡
第一章 種付けオッサンとビッチギャル

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第二十九話 死にかけの虎獣人を治してたら、今度は向こうが遠慮なく暴れ始めたんだけど

 昼過ぎ、教会の正面扉が勢いよく開いた。


「誰か! 治療を頼む!」

「ポーションは使った! でも腹が塞がらねえ!」


 叫び声とともに、何人もの冒険者が担架を運び込んでくる。うちも礼拝堂へ顔を出したところで、その上に寝かされているものを見て足を止めた。


「うわ……でか」


 虎の獣人だった。


 二メートル近くありそうな身体に、黄色と黒の縞模様。肩も腕も異様に太く、見るからに前衛職のムキムキ。ただし今は、その立派な身体の腹へ厚い布が押し当てられ、そこから血が滲み続けている。


「リーダーが俺たちを庇ったんだ! 大型の魔物に腹をやられた!」

「ポーションを二本使って、どうにかここまで運んだ!」


 神官たちがすぐに動く。止血、治癒術、傷の確認。けれど、しばらくするとマジメメガネの表情が険しくなった。


「……傷が深すぎます」

「治せないのか!?」

「できる限りのことはします。ただ、このままでは……」


 そこまで聞いたところで、担架の虎獣人が薄く目を開いた。


「……聖女」


「え?」


 周りを見る。


 それから自分を指差す。


「うち?」


「金髪の……聖女がいると聞いた」


「どこで聞いたんだよ」


「ギルドだ……普通の治療で駄目でも、その女なら助けられるかもしれんと」


 虎獣人が無理に笑おうとして腹を押さえた。


「ぐっ……!」


「笑うなって!」


「……賭けだった。ここまで来られれば、まだ一つ手があると思ってな」


 うちはマジメメガネを見る。向こうもこちらを見返した。


「聖女。可能ですか?」

「たぶん」


 性神の祝福。


 そういう行為をしている間、うちだけじゃなく相手の回復力まで異常に高くなる。これまでにも何度か確認している。


 ただし、相手が今まともに判断できるかは別の話だ。


「本人の確認、ちゃんとして」

「当然です」


 マジメメガネは担架の横へ膝をついた。


「聞こえますか?」

「ああ」

「ここがどこか分かりますか?」

「教会」

「ご自身が重傷を負っていることは?」

「分かってる」

「これから聖女による特殊な治療を提案します。通常の治療とは異なり、性的な接触を伴います。拒否しても、可能な範囲での治療は続けます」


「……聞いている」


「本当に希望しますか?」


 虎獣人は目を開け、今度ははっきりとうちを見た。


「頼む」


 うちも近づく。


「嫌になったら止める。それでいい?」

「ああ」

「途中で気を失ったら?」

「その時は止めろ」

「分かった」


 虎獣人は短く息を吐いた。


「……助けてくれ、聖女」


「その呼び方、まだ慣れないんだけど」


 まあいい。


「任せて」


     *


 別室の寝台へ移し、神官たちが最低限の処置を終える。最後まで残っていたマジメメガネは、扉の前でもう一度こちらを振り返った。


「状態が急変した場合は、すぐに呼んでください」

「了解」

「それから、あくまで治療です」

「分かってるって」

「……本当に?」

「何その目」

「いえ」


 出ていった。


 扉が閉まる。


「超マジメ」


「神父か?」


「そう。めっちゃマジメ」


 虎獣人がかすかに笑う。


「だから笑うなって!」

「悪い……」


 でも、声はまだ弱い。


 うちは寝台へ近づいた。


「じゃ、始めるよ」

「ああ」


 念のため、もう一度だけ確かめる。


「現実だからね」

「……何がだ」

「このあと変なことになっても、死に際の幻覚だとか思わないでってこと」

「分かってる」

「ほんと?」

「ああ」


 目も合う。


 返事もしっかりしている。


「続けたくなくなったら言って」

「分かった」

「よし」


     *


 寝台へ上がって近くから見ると、虎獣人はやっぱりでかかった。


「うわ」

「何だ」

「いや、近くで見ると余計でかいなって」

「何がだ」

「全部」

「曖昧だな」


 肩も腕も太い。腹は大怪我しているのに、それ以外は見事なくらい鍛えられている。


 それに。


「……なかなかじゃん」

「何がだ」

「言わせんな」


 一瞬だけ、虎獣人の顔が赤くなった気がした。


「虎って赤くなるんだ」

「黙れ」

「元気あるじゃん」


 最初はうちが主導する。


「じゃ、いくよ」


 身体を重ねた途端。


「オホッ……!」


 最初から声が出た。


「オホォォッ……!」


 身体が一気に熱くなる。


 虎獣人の方は、喉の奥で低い息を漏らした。


「……っ、は……!」


「ねえ、大丈夫?」

「ああ……!」

「傷、痛かったらすぐ言って」

「分かった……っ」


 触れ合っているだけで、祝福が働くのが分かる。


 うちの身体だけじゃない。


 虎獣人の腹から流れていた血が少しずつ減り、荒かった息も戻っていく。


 その代わり、気持ちよさまで一緒に上がっていく。


「オホッ……! オホォォッ……!」


「……っ、ぐ……!」


「虎、声漏れてるじゃん」

「うるさい……」

「我慢してんの?」

「してない……っ」

「めっちゃしてるし」

「お前の方がうるさい」

「うちは隠す気ないから!」


     *


 何度目かの限界が来た。


「来る来る来る……!」


 虎獣人の喉から低い声が漏れる。


「……っ、は……!」


「オホッ……! オホォッ……! オッホォォォォォッ……!」


 身体が大きく震え、抑えきれないまま寝台まで濡らしてしまう。


 しばらく息を整えていると、虎獣人がこちらを見ていた。


「何」

「いや」

「めっちゃ気持ちいいって証拠」

「自分で言うのか」

「だって本当じゃん」


 それより。


「……あ」


 腹。


 見る。


「治ってる」


「本当か?」


「見て」


 さっきまで大きく裂けていた傷が、明らかに浅くなっている。まだ赤く開いている場所はあるけど、もう最初とは比較にならない。


 虎獣人も自分の腹を見た。


「馬鹿な……」

「性神だから」

「意味が分からん」

「うちも」


「……続けてくれ」


 即答だった。


「元気になってんじゃん」

「死にたくない」

「それはそう」


 もう一度。


「オホッ……!」


     *


 繰り返すたびに、傷が塞がる。


 うちのオホ声。


 虎獣人の低い喘ぎ。


 その間に、皮膚が繋がっていく。


「オホォォッ……!」


「……っ、ぐ……!」


「ねえ、腹!」


 虎獣人も見る。


「……塞がってる」


 残っているのは赤い線だけ。


「痛みは?」

「ほとんどない」

「勝ったじゃん」

「何にだ」

「死にそうだったやつに」

「……そうだな」


 虎獣人が自分の腹へ触れ、何度か確かめる。


「本当に治った」


「でしょ?」


 ところが、そこで急に表情が変わった。


「どうした?」


「……現実感がない」


「は?」


「腹を裂かれて、仲間を庇って、死ぬと思った。気づいたら教会の寝台で、金髪の女が上にいて、傷が消えている」


「だから幻覚じゃないって最初に言ったじゃん!」


「分かってる」


「ほんと?」


 うちは動きを止める。


「今、ここが現実だって分かる?」

「ああ」

「ちゃんと判断できる?」

「ああ」

「もう治療は終わってる。それでも続けたい?」


 虎獣人は、しばらくうちを見た。


 目はさっきよりずっとはっきりしている。


「続けたい」


「治療じゃなくても?」


「ああ」


「お」


 虎獣人が大きく息を吐いた。


「今は何も考えず、気持ちいいことだけしていたい」


「……いいじゃん」


「いいのか?」


「うちも同じ」


「聖女なのに?」


「それ言うな」


     *


 そこからは、立場が変わった。


 虎獣人が動き、でかい腕でうちを支えながら位置を入れ替える。


「うわっ」


「嫌か?」


「……嫌じゃない」


「なら」


「待って」


「何だ」


 うちは虎獣人を見る。


「遠慮すんな」


「……」


「せっかくムキムキなんだから、もっと激しく、自分勝手に暴れろって。うちは壊れないから」


 虎獣人の喉から低い息が漏れる。


「……っ、は……」


「それ」


「何がだ」


「その声。めっちゃ我慢してんじゃん」


「うるさい……っ」


「もっと出せば?」


「お前ほどは無理だ」


「じゃ、うちが二人分出すし」


「意味が分からん」


「嫌なら止める。うちも嫌なら言う。それだけ覚えといて」

「ああ」

「じゃ」


 笑う。


「暴れろ、虎」


     *


 虎獣人は、本当に遠慮を捨てた。


「オホッ……! オホォォッ……!」


「……っ、ぐ……!」


「もっと! そう、それくらい!」


「お前……本当に……!」


「自分勝手にやれって言ったじゃん!」


「……っ、はぁ……!」


「オホッ……! オホォォォッ……!」


 さっきまで死にかけていたとは思えない力だった。


 身体が大きい。


 力も強い。


 でも性神の加護があるから、怖くない。むしろ遠慮なく来られる方がいい。


「まだいけるっしょ!」


「お前がそれを言うのか……!」


「言う!」


「……っ、ぐ……!」


「もっと暴れろ、虎!」


     *


 また来た。


「来る来る来る……!」


「……っ!」


「あっ、ダメ……! オホッ……! オホォッ……! オッホォォォォォッ……!」


 身体が大きく震える。


 抑えられない。


 また寝台が濡れる。


 それでも、嫌じゃない。


 むしろ。


「……ほら」


「何がだ……」


「めっちゃ喜んでるって分かるっしょ」


「そこまで自分で言うのか」


「だって気持ちいいし」


 虎獣人の喉から、また低い息が漏れた。


「……っ、は……」


「まだ終わってないよね?」


「お前は?」


「まだ!」


「化け物か」


「虎に言われたくない!」


「……っ!」


「オホォォォォッ……!」


     *


 何度も限界を迎える。


 それでも、どちらも止めようとしない。


「止めるか?」


「止めない!」


「即答だな」


「そっちこそ!」


「俺もだ」


「じゃ続けろ!」


「……っ、ぐ……!」


「オホッ……!」


 途中で姿勢を変え、今度は虎獣人が後ろからうちを抱えるような形になる。


「大丈夫?」


「ああ」


「うちも平気」


「なら」


「来い!」


 寝台がぎしっと鳴った。


「壊すなよ!」


「努力する!」


「絶対壊すやつじゃん!」


「お前も止めろ!」


「やだ!」


「では仕方ない!」


「オホォォォッ……!」


     *


 どれくらい繰り返したのか、もう分からない。


 うちはオホ声を隠さない。


 虎獣人は最後まで低い。


「オホッ……! オホォォッ……!」


「……っ、は……! ぐ……!」


「まだいける?」


「……まだ」


「マジ?」


「お前は?」


「まだ!」


「本当に化け物だな」


「だから虎に言われたくないって!」


 また虎獣人の低い喘ぎが漏れる。


「……っ、は……!」


「オホォォォォッ……!」


     *


 ようやく二人とも動かなくなった。


「……」


「……」


 虎獣人は仰向け。


 うちはその横。


「生きてる?」


「それは俺が聞く台詞だ」


「最初はね」


 腹を見る。


 傷は完全に消えていた。


「すげ」


「本当に治った」


「でしょ?」


 虎獣人が腕を握る。


 筋肉が盛り上がる。


「力も戻ってる。むしろ前より調子がいい」


「性神」


「変態な神だな」


「そこは否定しない」


     *


 服を着る。


 虎獣人の身体は治ったけど、鎧の腹部分は大きく裂けたままだった。


「身体は治ったのに装備は治んないんだ」

「当たり前だろ」

「性神ならいけそうなのに」

「これ以上余計なことをするな」

「はいはい」


 扉へ向かおうとすると、虎獣人が呼び止めた。


「なあ」


「何?」


「俺は死にかけていた」


「うん」


「だから、助けてもらったことへの感謝と、治った後にしたことは別に考えたい」


「お」


「礼として続けたわけじゃない。俺がしたかった」


「分かってる。うちも」


「ならいい」


「マジメじゃん」


「パーティーのリーダーだからな」


「そういうとこ、ちょっと好きかも」


「……」


 少し黙る。


 虎獣人の顔が微妙に赤い。


「やっぱ虎って赤くなるんだ」


「うるさい」


     *


 扉を開けた瞬間。


「リーダー!」


 仲間たちが一斉に寄ってきた。


「腹は!?」

「大丈夫なのか!?」


 虎獣人が裂けた上着を少し持ち上げる。


「治った」


「……」


「……」


「……は?」


「治った」


 仲間が近づき、腹を見る。


「傷がねえ!」

「マジかよ!」

「さっき死にそうだっただろ!」

「聖女すげえ!」


「声でかい!」


 そこへマジメメガネも来る。


「傷を確認します」


「好きにしろ」


 腹、脈、体温。


 一通り確かめてから、マジメメガネが頷いた。


「……問題ありません。驚異的ですね」


「性神だし」


「その一言で済ませないでください」


 続いて、虎獣人へ向き直る。


「途中で意識を失ったことは?」

「ない」

「判断が曖昧になったことは?」

「ない」

「治癒が完了した後も、ご自身で続けることを希望しましたか?」

「ああ」


「分かりました」


 うち。


「何その確認」


「必要です」


「マジメメガネ」


「当然でしょう!」


     *


 虎獣人たちが帰る。


 教会の入口。


「聖女」


「ギャルでいいって」


「次からそう呼ぶ」


「次あるの?」


「怪我では来たくない」


「そりゃそう」


「だが」


「ん?」


「怪我がなくても、会いに来るくらいはいいだろ」


「お」


「嫌か?」


「全然」


 うちは笑う。


「でも次は、死にかけじゃなくていいからね」


「当たり前だ」


「あと幻覚扱い禁止」


「……悪かった」


「マジで」


 虎獣人も笑った。


「じゃあな、ギャル」


「じゃね、虎」


「虎って呼ぶな」


「名前聞いてないし」


「……それでいい」


「じゃ虎でいいじゃん」


「よくない」


 仲間たちが笑う。


 虎獣人も元気。


 傷もなし。


 教会の階段を降りていく大きな背中を見送りながら、うちはぽつりと言った。


「……ムキムキ虎、なかなかよかったな」


「聖女」


「うわ」


 後ろ。


 マジメメガネ。


「そういう感想を教会の入口で言わないでください」


「聞いてたのそっちじゃん」


「聞こえたのです!」


「じゃ仕事戻れば?」


「戻ります!」


 歩いていく。


「あ」


「何です?」


「女将さん元気?」


 マジメメガネ。


 止まる。


「なぜ今それを聞くのです!」


「顔赤」


「聖女!」


「はいはい」


 今日も教会は平和。


 たぶん。


「オホッ……」


「……」


 どこかで。


 聖書。


 鳴いた。


「お前まで返事すんな!」

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