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種付けオッサンとビッチギャル ~二日に一度ヤらないと死ぬ二人の異世界転生~【注目15位、日間217位ありがとうございます】  作者: 黒瀬 量衡
第一章 種付けオッサンとビッチギャル

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第二十六話 木杯に薬草袋を突っ込んだら、オホ声を上げながら甘露の薬草水ができましたぞ

「オホッ……!」

「オホォォォッ……!」


 朝からうるさいですなぁ。


 宿の部屋で目を覚ましたおじさんは、寝台の脇に置いていた荷物へ目を向けた。そこには旅の相棒になった木杯と、隠し泉でギャルさんが雄化させた薬草袋がある。


 いや。


 ある、というより。


「……何をしておりますかな?」


 薬草袋が木杯へ頭から突っ込んでいた。


「オホッ……!」

「オホォォォォッ……!」


 木杯はおじさんによって雌化した道具で、入れた飲み物を浄化し、妙に美味い甘露へ変えてしまう。薬草袋は元々おじさんの物だったが、隠し泉でギャルさんに使われた結果、外側が雄化していた。


 袋の外面は以前の革色ではない。黒々としていて、表面には血管のような筋が何本も浮かんでいる。それが時折どくん、どくん、と脈打つものだから、薬草を入れるただの袋とはとても思えない。


「オホォォォッ……!」

「オホッ……!」


「朝から仲がよろしいことで」


 薬草袋を掴んで引っ張る。


 抜けない。


「おや」


 もう少し力を入れる。


「オホッ!」

「オホォォォッ!」


「嫌がっておりますかな?」


 ぐい。


 木杯まで一緒に床を滑った。


「これは困りましたなぁ。おじさん、朝の水を飲みたいのですが」


「オホォォ……!」


「薬草袋さんも離れる気はありませんかな」


 返事の代わりに、黒い薬草袋が木杯の奥へもう少し沈んだ。


「なるほど」


 まったく分かりませんなぁ。


     *


 しばらく引っ張ってみたものの、二つとも離れる気配がない。


 ならば発想を変える。


「薬草袋なのですから、本来の使い方をしてみますかな」


 袋の中には、昨日採取した薬草が少し残っていた。傷薬に使う葉、腹の調子を整える草、苦味の強い根。


「ここへ水を」


 水差しを持ち上げ、木杯へ突っ込んだままの薬草袋へ注いでみる。


「オホッ……!」


「お」


 黒い表面が、どくん、と脈打った。


 さらに注ぐ。


「オホォォォッ……!」


「反応しておりますなぁ」


 水は袋の中へ染み込み、薬草を濡らしていく。


 普通なら、ただの濡れた薬草袋。


 ところが。


「……おや?」


 じわ。


 袋の表面へ液体が滲んだ。


 ぽた。


 木杯へ落ちる。


「オホッ……! オホォォォッ……!」


 ぽたぽた。


 液体は薄い緑色で、明らかに薬草の色が移っている。しかも水を入れた量より、薬草の香りがずっと濃い。


「抽出しておりますかな?」


「オッホォォォォォッ……!」


 薬草袋が大きく震えた。


 表面の黒い血管状の筋が一斉に脈打ち、最後に袋全体がぶるっと震える。


 じわぁ。


 それまでより多くの薬草色の液体が染み出し、木杯へ溜まった。


「……果てましたかな?」


「オホォ……」


「満足そうですなぁ」


 木杯の方も。


「オホッ……」


「そちらまで」


 二つとも朝から何をしておりますかなぁ。


     *


 しかし、木杯に溜まった液体は気になる。


 匂いを嗅ぐ。


「薬草ですな」


 嫌な臭いではない。


 試しに少し口へ含む。


「……おお?」


 薬草の苦味。


 香り。


 ちゃんとある。


 なのに。


「甘いですぞ」


 木杯の甘露だ。


 ただ砂糖を入れたような甘さではない。水そのものが澄んで、薬草のえぐみや泥臭さだけが消えている。苦味は薬草らしく残っているのに、妙に飲みやすい。


 もう一口。


「しかも身体が少し軽いですなぁ」


 薬草の効能まで消えているわけではないらしい。


 薬草袋が成分を水へ移す。


 木杯が不要なものを浄化して甘露へ変える。


「これは旅で便利なのでは?」


「オホッ!」

「オホォォッ!」


「二人とも得意げですなぁ」


     *


 ただ。


 薬草袋を眺めていると、一つ気になることがあった。


「外はギャルさんの祝福で雄になっておりますが」


 黒い。


 血管のような筋。


 脈動。


「中はどうなのでしょうなぁ」


 袋の口を広げて覗く。


「……普通ですかな?」


 少なくとも外側ほど異常ではない。


「どうせなら、こちらにもおじさんの祝福を入れてみますかな」


「オホォ……?」


「試してみますぞ」


     *


 薬草袋の内側を対象に、性神が認める正式な種付けプレスを行う。


「では、失礼しますぞ」


「オホッ……!」


 薬草袋が震える。


「元気ですなぁ」


 外側はすでにギャルさんによって雄化している。


 だが今回は、袋の中。


 内側へおじさんの祝福を通す。


「オホッ……! オホォォォッ……!」


「おじさんも出ますぞ。濃いのが」


 祝福が満ちる。


「オッ! オッ! オッ!」


「オッホォォォォォォッ……!」


 薬草袋が大きく跳ねた。


 直後。


 どくん。


 外側の黒い血管状の筋が脈打つ。


 しかし。


「おや?」


 外側は変わらない。


 黒いまま。


 硬く丈夫なまま。


 雄化した性質も消えていない。


「上書きされませんでしたな」


 代わりに。


 袋の中へ指先を入れて確かめる。


「……湿っておりますなぁ」


 さっき入れた水の残りだけではない。


 内側そのものが、妙に柔らかくなっている。


 しっとり。


 湿っている。


「外が雄。中が雌、ですかな?」


「オホッ……!」


「やはりそうですか」


 薬草袋の外面は、ギャルさんの祝福によって黒々と雄化したまま。血管のような筋が浮き、時々どくんと脈打つ。


 ところが内側は、おじさんの祝福で雌化した。


 柔らかい。


 湿っている。


 何も入れていないのに、内張りだけが常にしっとりしている。


「忙しい袋ですなぁ」


「オホォォォッ……!」


「本人は元気そうですぞ」


     *


 機能も変わっていた。


「もう一度試してみますかな」


 新しい薬草を入れる。


 少し乾燥した葉。


 苦味の強い根。


 香りのよい草。


「水を」


 注ぐ。


「オホッ……!」


 内側がすぐに薬草へ密着した。


「おや?」


 先ほどとは違う。


 湿った内張りが薬草全体を包み、水を馴染ませている。


「オホォォォッ……!」


 外側。


 どくん。


 黒い血管状の筋が脈打つ。


 そして。


 じわ。


「早いですぞ」


 薬草色の液体が染み出す。


 しかも先ほどより濃い。


「抽出力が上がっておりますなぁ」


 ぽたぽた。


 木杯へ落ちる。


「オホッ……!」

「オホォォォッ……!」


「だから二人とも声が大きいですぞ」


 薬草袋。


 内側の湿り気で薬草から成分を引き出す。


 外側の雄化した強化で、水を含んでも破れず、脈動しながら液体を外へ送り出す。


 そして木杯。


 受け取った液体を浄化。


 甘露化。


 飲む。


「……美味い」


 明らかにさっきより良い。


 香りが濃い。


 薬草らしい苦味もある。


 なのに喉へ引っかからない。


「これはかなり完成度が高いですなぁ」


     *


 どうせなら。


「最初から組み合わせて使いますかな」


 木杯へ薬草袋を入れる。


「オホッ……!」


 袋。


「オホォォッ……!」


 杯。


「相性が良すぎませんかな」


 薬草袋の中へ薬草を詰める。


 水を注ぐ。


「オホッ……!」

「オホォォォッ……!」


 内側の雌化部分が薬草を湿った状態で包み込み、成分を一気に水へ移す。


 外側。


 黒い血管状の筋。


 どくん。


 どくん。


 脈動。


 抽出された薬草水が袋の外へ滲む。


 じわぁ。


 そのまま木杯へ。


「オホッ……! オホォォォォッ……!」


 木杯が受け取り。


 浄化。


 甘露化。


「うるさいですが」


 一口。


「……美味いですなぁ」


 薬草の香り。


 苦味。


 甘露の甘さ。


 全部ある。


 火を使わない。


 煮出す必要もない。


 水を入れて少し待つだけ。


「便利すぎませんかな?」


     *


 朝食の時、女将にも試してもらった。


「何だい、その黒い袋」


「薬草袋ですぞ」


「薬草袋って、もっと普通の色してなかったかい?」


「いろいろありまして」


「その『いろいろ』を聞くとろくなことにならないから聞かないよ」


 女将が木杯を見る。


 その中。


 黒々とした薬草袋。


 表面には血管のような筋。


 どくん。


「……生きてない?」


「道具ですぞ」


「本当に?」


「おそらく」


「自信持ちな」


 薬草を入れる。


 水。


 注ぐ。


「オホッ……!」

「オホォォォッ……!」


「朝飯時だよ!」


「申し訳ありませんなぁ」


 薬草袋の中で薬草水が作られ、外へ染み出す。


 木杯が受ける。


 女将が嫌そうな顔で見る。


「これを飲めって?」


「味は保証しますぞ」


「その見た目で?」


「性能は最高ですからなぁ」


「挙動は最低だね」


「まったくですぞ」


 女将。


 一口。


「……」


「いかがです?」


 もう一口。


「美味い」


「でしょう?」


「薬草の味はちゃんとする」


「はい」


「苦いのに飲みやすい」


「甘露ですからなぁ」


「……腹立つね」


「なぜです?」


「こんな気持ち悪い道具が普通の薬草茶より便利だからだよ」


「おじさんもそこは否定できませんなぁ」


「オホッ!」


「オホォォッ!」


「お前ら褒められたと思うな!」


     *


 結論。


 木杯。


 薬草袋。


 薬草。


 水。


 これだけ。


 木杯へ薬草袋を入れる。


 薬草袋へ薬草を入れる。


 水を注ぐ。


 袋の内側は雌化していて、常にしっとり湿っている。その湿った内張りが薬草へ密着し、成分を効率よく水へ移す。


 外側はギャルさんによって雄化したまま。黒々として、血管のような筋を浮かべ、脈動しながら抽出された液体を外へ送り出す。


 そして最後。


 木杯が受け取る。


 危険なものを浄化。


 雑味を減らす。


 甘露へ変える。


「つまり」


 一口。


「美味い甘露の薬草水が完成しますぞ」


「オホッ!」


「オホォォォッ!」


「ただし」


 薬草袋。


「オホッ……! オホォォォッ……!」


 木杯。


「オホォォォォッ……!」


 宿の食堂。


 全員。


 こちらを見る。


「……」


「……」


「……」


 おじさん。


 もう一口。


「いやぁ」


 美味い。


 本当に美味い。


「飲み物を作るたびに二体でオホ声を上げることを除けば、完璧ですなぁ」


「オホッ!」

「オホォォォォッ!」


「お前らは宣伝しなくていいですぞ!」

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