↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
種付けオッサンとビッチギャル ~二日に一度ヤらないと死ぬ二人の異世界転生~【注目15位、日間217位ありがとうございます】  作者: 黒瀬 量衡
第一章 種付けオッサンとビッチギャル

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/96

第二十四話 宿のベッドでマジメメガネが、女将の熟れた魅力を知ったんだけど

 マジメメガネが宿屋を訪れたのは、昼食の客が引いた後だった。広間には誰もおらず、娘も買い出しへ出ているらしい。帳場にいた女将が顔を上げる。


「こんにちは。少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか」

「何だい。教会の眼鏡じゃないか」

「その呼び方はいかがなものでしょう」

「じゃあ、マジメメガネ」

「悪化しています」


 眼鏡を押し上げながら帳場へ進み、持ってきた紙を開く。


「本日は、こちらへ泊まっているオッサンについて、いくつか確認したいことがありまして」

「豚?」

「……その方です」

「最初からそう言えばいいのに」

「私は一言も豚とは言っていません」

「で、何を聞きたい?」

「最近の生活状況です。食事、睡眠、怪我、それから妙な行動をしていないか」

「妙な行動。あの豚に対して、それを聞く?」

「……確かに質問の設定に問題がありますね」


 そこは否定できない。食事は取っている。風呂にも入っている。睡眠も問題なし。大きな怪我もない。危険な依頼へ出ようとしても、ギルドの受付嬢と女将の両方に止められているらしい。


「……かなり管理されていますね」

「お前が言う?」

「なぜ私が?」

「あっちの金髪を教会で見てるんだろ」

「聖女については、教会として生活上の相談や必要な確認へ対応しているだけです」

「聖女ねえ。あの金髪が?」

「本人の言動と教会側の呼称は別問題です」

「で、その聖女を見てるのがお前」

「見張ってはいません」

「豚の様子を私が見る。聖女の様子をお前が見る。大して変わらないじゃないか」

「……次へ行きます」

「逃げた」

「逃げていません」


 そんな調子で聞き取りは続いた。オッサンが毎晩宿へ戻っているか、食事を抜いていないか、妙な道具を持ち込んでいないか、突然森へ消えていないか。女将は口では面倒そうにしながらも一つずつ答え、しばらくしてマジメメガネは紙を閉じた。


「……以上です。ありがとうございました」

「はいよ。じゃあ帰る?」

「はい」

「……」

「……」

「帰らないの?」

「帰ります」

「なら何で座ったままなんだい」

「……」


 本当に用事は終わっている。それなのに立ち上がれなかった。女将を見る。目が合う。逸らす。また見る。


「眼鏡」

「何でしょう」

「私の顔に何かついてる?」

「いいえ」

「じゃあ、さっきから何見てる」

「会話をしている相手を見るのは普通でしょう」

「顔だけ?」

「……」


 眼鏡を押し上げる。女将が笑った。


「分かりやすいねえ。女として見てるだろ」

「そのような質問を突然するのはいかがなものでしょう」

「答えになってないよ。マジメなんだろ?」

「……見ています」

「私を?」

「はい」

「女として?」

「……はい」


 女将の眉が上がる。まさか本当に答えるとは思わなかったらしい。


「どんな風に?」

「そこまで聞きますか?」

「聞きたいね」

「……成熟した女性として、魅力的だと思っています」

「熟女?」

「言い換えないでください!」


 女将が声を上げて笑う。それでもマジメメガネは、改めて女将を見た。若い女の華やかさや勢いとは違う。長く宿を切り盛りしてきた落ち着き、多少男が狼狽えても笑って待てる余裕、年齢を重ねた身体の柔らかさ。熟れた女、という表現が妙にしっくり来てしまう。


「……困りました」

「何が?」

「少し、分かってしまいました」

「何を?」

「年齢を重ねた女性の魅力です」

「やっぱり熟女に目覚めてるじゃないか」

「そういう意味ではありません!」

「じゃあ私には?」

「……魅力を感じています」

「熟女なのに?」

「女将さんだからです!」


 言ってから自分で止まった。女将の顔から、からかう色が少しだけ消える。


「お前、そういうことを真面目な顔で言うんだね」

「事実ですから」

「ずるい男だねえ」

「なぜです?」

「分からないなら、そのままでいな」


 女将が帳場から出てきた。一歩近い。さらに一歩。


「私も最近、妙に落ち着かないんだよ。あの豚のせいか、金髪のせいか、性神の祝福のせいか知らないけどね」

「教会外で聖女と呼ぶ必要はありません」

「そこを訂正するのかい。とにかく、身体が妙に男を意識する」

「……私も似たような状態です」

「それで目の前に、マジメそうな男が一人。しかも思ってたより悪くない」

「それは褒めていますか?」

「褒めてる。嫌なら離れるよ」

「……離れなくて結構です」

「これでも?」

「はい」

「顔、赤いよ」

「近いからです」

「嫌?」

「……嫌ではありません」


 女将はそこで、にやりと笑った。


「どうせ、金髪で童貞捨てた口だろ」

「……っ! その言い方はやめてください!」

「図星じゃないか。若い女しか知らないんだね」

「経験を年齢で分類する必要がどこにあるのです」

「あるよ」

「なぜです?」

「女を教えてやる」


 次の瞬間、マジメメガネはベッドへ押し倒されていた。


「女将さん!」

「嫌なら言いな。ここでやめる」

「……嫌ではありません」

「なら覚悟しな。若い金髪とは違う女ってのを教えてやるよ」


     *


 女将はまず自分のスカートを脱いだ。そのまま下着へ手をかける。


「……女将さん?」

「何だい」

「待ってください」

「嫌?」

「……いいえ」

「なら待たない」


 女将は迷わず下着も外した。マジメメガネの顔が赤くなる。


「何だい。熟女が脱いだら予想外だった?」

「そういう問題ではありません!」

「じゃあ次はお前」


 女将がベッドへ身を乗り出し、マジメメガネのズボンと下着へまとめて手をかける。


「嫌なら言いな」

「……止めなくて結構です」

「言ったね」


 一気に下ろされ、マジメメガネが声を上げる。


「いきなりではありませんか!」

「こっちは辛抱してたんだよ」

「辛抱?」

「豚の面倒を見て、娘の面倒を見て、変な祝福に巻き込まれて、男を意識する身体のまま宿を回してた。もうね、辛抱できなくなってるんだよ」


 そこから女将は本当に待たなかった。最初から全力。様子を見るような余裕も、徐々に慣らすような気遣いもない。ただし嫌なら止める。それだけは最初に確認したうえで、溜め込んでいたものをぶつけるように主導する。


「オホッ……! オホォッ……!」

「女将さん……!?」

「何だい……オホッ……! 熟女なら余裕たっぷりだと思ったかい……!」

「そのようなことは……オホッ……!」

「こっちだって我慢してたんだよ……オホォッ……!」


 いつも宿を切り盛りし、娘を叱り、オッサンを豚と呼び、簡単には動じない女将が、最初から大きく声を崩している。マジメメガネには、その落差が妙に効いた。


「……邪魔だね」

「何がです?」

「これ」


 女将は動きを止めないまま上着へ手をかけ、一枚脱いで放った。


「せめて一度止まってから……!」

「止まりたくないんだよ! オホォッ……!」


 さらに一枚。残っていた服が外れた、その瞬間。


「……っ」


 マジメメガネの呼吸が変わった。さっきまで布の内側に籠もっていた熱が、一気に解き放たれる。汗、体温、長く働いていた身体そのものの匂い。香水ではない。もっと生々しく、温かい、成熟した女の匂いだった。


「何だい」

「……匂いが」

「臭い?」

「違います!」


 即答だった。


「では?」

「……困ります」

「またそれ?」

「本当に困っているのです。女将さんが、さっきよりずっと女に感じます」

「匂いだけで?」

「匂いだけではありません」

「でも効いてる?」

「……かなり」


 女将がにやりとする。


「熟れた女の匂い」

「そのように言わないでください」

「服の中で温まってた女の匂い」

「女将さん」

「何だい」

「煽らないでください」

「何で?」

「……辛抱が利かなくなります」

「それはこっちの台詞だよ!」


 女将は残っていた服を完全に脱ぎ捨てた。


「オホォォォッ……! ほら、これが辛抱できなくなった女だよ……!」

「オホッ……女将さん……!」

「若い女だけが女じゃない……! 匂いも、熱も、全部覚えな!」

「オホォッ……!」


 マジメメガネはもう女将から目を逸らせなかった。むしろ自分から深く息を吸ってしまい、女将に気づかれる。


「お前、今わざと嗅いだね」

「……否定しません」

「好きなんじゃないか。熟れた女の匂い」

「……女将さんの匂いが嫌ではありません」

「嫌じゃない?」

「……かなり好きです」

「そういうこと真顔で言うな! 余計に我慢できなくなるだろ!」


     *


 女将の両手がマジメメガネの頬へ伸びた。左右から顔を包み、正面へ向ける。


「神父。こっち見な」

「……はい」


 二人の目が合う。女将の熱も、荒くなった呼吸も、服の中から解き放たれた匂いも、全部が近い。


「嫌なら離れな」

「……離れません」

「本当に?」

「はい」

「なら」


 一気に距離がなくなった。激しい口づけ。互いの息が混じるほど深く、女将から舌を絡め、マジメメガネも一瞬遅れて応える。


「んっ……んぅ……!」

「……んっ」


 頬を包んだ両手は離れない。一度だけわずかに距離が空く。


「まだ目を逸らす?」

「……逸らしません」

「いい返事だ」


 また口づけ。今度はさらに激しい。何度も離れては重なり、そのたびに女将の匂いと熱が濃くなる。


「……どうだい。若い金髪とは違うだろ」

「比較は……」

「嫌?」

「違います」

「なら?」

「……もう一度」

「ずいぶん素直になったねえ」

「女将さんのせいです」

「なら、もっと女を教えてやる」

「……お願いします」


     *


 それから女将は、本当に遠慮しなかった。


「オホッ……! オホォォッ……!」

「オホッ……女将さん……!」

「神父なのに……オホッ……! 熟女相手に夢中になってる!」

「オホォッ……その言い方は……!」

「違う?」

「……違いません!」


 女将が笑う。


「やっと認めた」

「いちいち否定する方が疲れました!」

「熟女がいい?」

「女将さんがいいのです!」


 一瞬、女将が止まった。


「お前、それ今言う?」

「聞いたのはあなたでしょう!」

「……本当にずるいねえ」


 次は先ほど以上だった。


「オホォォォッ……!」

「オホッ……!」


 マジメメガネが一度限界を迎えても、女将はすぐには終わろうとしなかった。


「……女将さん、一度……」

「分かってる」

「では」

「終わりだと思った?」

「……」

「言っただろ。こっちは辛抱できなくなってるんだ。一度で足りると思うな」

「私はもう……」

「嫌なら止める! どうする!」


 マジメメガネは息を整え、女将を見る。


「……止めないでください」

「言ったね」

「はい」

「なら、まだ行くよ!」


「オホォォォッ……!」

「オホッ……!」


 休んではまた向かい合い、何度も互いに限界を迎える。そのうちマジメメガネも、女将の余裕が崩れていくところを自分から見たくなっていた。


「……もう無理?」

「その質問ですが、女将さんはどうなのです」

「まだいけるよ」

「……なら、もう一度」

「お前から?」

「数えないでください」

「マジメな神父さんが熟女に夢中?」

「そこまで分類する必要がありますか!」

「でも違わない?」

「……」


 女将がマジメメガネを見る。


「神父。私のこと、どう思ってる?」

「……女として、かなり魅力的だと思っています」

「それだけ?」

「……かなり好きです」


 今度こそ女将が完全に止まった。


「何でしょう」

「そんな真っ直ぐ来るとは思わないだろ」

「嘘を言う方が失礼です」

「本当に、マジメな男ってずるいねえ」

「意味が分かりません」

「分からなくていいよ」


 女将が抱きつく。


「オホッ……!」

「オホォッ……!」


     *


 結局、何度二人で限界を迎えたのか、途中から数えることをやめた。ようやく二人でベッドへ並び、荒い息を整える。


「聞き取り」

「はい?」

「今日の記録」

「何です?」

「女将、体調良好。神父、体調良好。熟女の匂いに刺激されて」

「絶対に書きません!」


 女将が大笑いし、マジメメガネは顔を覆った。


「私は何をしているのでしょう」

「後悔?」

「していません」

「早いねえ」

「後悔していないことと、自分の行動に戸惑うことは両立します」

「じゃあ次はなし?」

「……」


 今度だけは返事が止まる。女将は急かさなかった。


「嫌なら来なくていいよ。今日だけでも構わない」

「……聞き取りがなくても、この宿へ来てもよろしいでしょうか」

「私に会いに?」

「……はい」

「熟女に?」

「女将さんにです!」

「神父なのに?」

「……」

「マジメなのに?」

「……」


 マジメメガネは、そこにない眼鏡を押し上げようとして手を空振りさせた。


「またやった」

「放っておいてください」

「次も来る?」

「……はい」

「自分から?」

「はい」

「聞き取りなしで?」

「……女将さんに会いに来ます」


 女将の笑みが少しだけ柔らかくなる。


「なら次は、仕事の理由なんて持ってこなくていいよ」

「……はい」


 今日、マジメメガネが宿へ来た理由は、本当にオッサンについての聞き取りだった。教会では金髪のギャルを聖女と呼び、自分は聖女の状況を確認する神父。女将はオッサンを管理する宿屋の女主人。本来なら、それだけの関係だった。


 だが、次は違う。


 次にこの宿を訪れる時、マジメメガネは教会の仕事を理由にしなくていい。落ち着いて見えて、辛抱できなくなれば最初から全力で、オホ声まで隠さず、それでも嫌なら止める女。その服の中へ籠もっていた熱も、匂いも、何度も崩れた声も。


 女将という熟れた女の魅力を、マジメメガネはすっかり覚えてしまったのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。