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種付けオッサンとビッチギャル ~二日に一度ヤらないと死ぬ二人の異世界転生~【注目15位、日間217位ありがとうございます】  作者: 黒瀬 量衡
第一章 種付けオッサンとビッチギャル

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第十四話 壊れた練習盾を孕ませて、受付嬢に虫刺されを管理されましたぞ

「では、お嬢さんはこれで結構です」


「はーい」


 森から戻り、採取依頼の報酬を受け取ったお嬢さんが手を振る。


「じゃ、おっさん」


「はい?」


「頑張って」


「お嬢さんのせいでは!?」


「知らなーい」


 ひらひら。


 実に無責任である。


 お嬢さんがギルドの扉から出ていく。


「では、おじさんも――」


「どこへ行く」


「……」


 声が変わった。


 振り返る。


 受付のお姉さん。


 まだ周囲には冒険者も職員もいる。


 笑顔もいつも通り。


「奥へどうぞ」


「はい」


 声も丁寧。


 おじさんは素直に従った。


     *


 ギルド奥の個室。


 おじさんが入る。


 受付のお姉さんも入る。


 ぱたん。


 扉が閉まった。


 かちり。


 鍵が掛かった。


「座れ、豚」


「切り替えが早いですなぁ!」


「黙れ。座れと言った」


「はい!」


 椅子へ座る。


「首を出せ、クソ豚」


「治療ですかな?」


「口を開くな。言われたことだけしろ」


「はい」


 襟元を緩める。


 受付のお姉さんの顔が近づいた。


「一つ」


「……」


「二つ」


「……」


「三つ」


 首筋に残った赤い跡を指先でなぞられる。


「随分と派手に食われてきたな、この節操なし」


「いやぁ」


「しゃべるな」


「はい」


「森へ薬草を取りに行かせただけで、何で豚の首がこうなる」


「……」


「答えろ」


「どちらです!?」


「今は答えろと言ったんだ、豚」


「難しいですなぁ!」


 受付のお姉さんが首筋の一つを押した。


「痛くありませんぞ」


「知ってる」


「では治療の必要は」


「ある」


「なぜ?」


「黙れ」


「はい」


 受付のお姉さんは、おじさんの首をもう一度眺めた。


「森であの小娘と何をした」


「採取を」


「それ以外だ」


「白い花を」


「誤魔化すな、脂ぎったハゲ」


「はい!」


「何をした」


「いやぁ……」


「豚」


「仲良くしましたぞ!」


「最初からそう言え、ゴミ」


「怖いですなぁ」


「楽しんできた顔をするな。腹が立つ」


「顔は生まれつきですぞ」


「それはただのブサイクだ」


「女将さんにも同じことを言われましたなぁ」


「……女将?」


「あ」


 受付のお姉さんの目が細くなる。


「豚」


「はい」


「今、何と言った」


「女将さんにも」


「そこじゃない。その女将と何をした」


「いやぁ」


「全部吐け」


     *


 話した。


 宿のベッドを雌化したこと。


 孕ませたこと。


 女将に発見されたこと。


 弁済として関係を持ったこと。


 風呂場まで一緒に入ったこと。


「それで?」


「それで、と申しますと」


「風呂で何をした」


「身体を洗われまして」


「その後だ」


「いやぁ」


「そのニヤけた顔を潰すぞ、豚」


「仲良くしました!」


「何回だ」


「そこまで報告が必要ですかな?」


「管理対象の行動記録だ。答えろ」


「数えておりませんなぁ」


「……」


「受付のお姉さん?」


「一日の間に女将と盛って、森ではあの小娘と盛って、その前には私のところにも来た」


「はい」


「それでこの脂ぎった顔か」


「絶好調ですぞ」


「死ね」


「死んだら困るのでは!?」


「だから管理しているんだろうが、この馬鹿豚」


 理不尽である。


 しかし。


 受付のお姉さんは、本気で怒っているようには見えない。


 いつもの。


 二人きりの時だけ見せる顔。


 鋭い目。


 容赦のない言葉。


 そして何故か、おじさんを帰す気はまったくない。


「ところで、豚」


「はい」


「祝福の検証をする」


「急に話が変わりましたなぁ」


「黙れ」


「はい」


「ついてこい」


     *


 今度はギルドの倉庫だった。


 壊れた椅子。


 割れた籠。


 刃こぼれした訓練剣。


 折れた槍。


 古びた木箱。


 廃棄予定の品がまとめて置かれている。


「見るだけだぞ」


「はい?」


「お前の目がもう物色している」


「いやぁ、使えそうな物が多いですなぁ」


「勝手に雌にしたら、その残り少ない髪を一本ずつ抜く」


「恐ろしい!」


「これだけ使え」


 受付のお姉さんが一枚の盾を蹴るように前へ出した。


 木製の練習盾。


 表面中央から大きく亀裂が走っている。


 縁も欠けていた。


「壊れてますなぁ」


「だから廃棄品だ、豚」


「これを?」


「今からお前に譲渡する。壊そうが孕ませようが好きにしろ」


「孕ませる前提!」


「ただし、それ以外には触るな」


「はい」


「床もだ」


「はい」


「棚も」


「はい」


「壁も」


「はい」


「私にも勝手に触るな」


「それは残念」


「死ね」


「はい!」


     *


 盾を受け取る。


 思ったより軽い。


 ただ。


 この亀裂では実戦には使えない。


「では」


「さっさとやれ、種付けしか能のない豚」


「まだ触るだけですぞ」


「口答えするな」


「はい」


 盾の表面へ手を置く。


 びくん。


「オホッ……!」


「おお」


 女の声。


 受付のお姉さんの眉が上がった。


「始まったな」


「雌化ですなぁ」


 亀裂が塞がっていく。


 欠けていた縁が整う。


 傷だらけだった木肌に艶が戻った。


 それだけではない。


 盾の表面。


 ちょうど中央。


 木目そのものが柔らかく形を変え始めた。


「……」


「……」


 盾だった場所に。


 明らかに盾には必要のない。


 女性器を思わせる器官が形成されていく。


「オホォォォ……!」


 そこが濡れた。


 わずかに開く。


 閉じる。


 また開く。


 おじさんの方へ向けて、誘うように動く。


「いやぁ」


「ニヤけるな、変態豚」


「これは資料どおりですなぁ」


「誰の資料だ」


「おじさんの経験則ですぞ」


「余計に気持ち悪い」


「酷い!」


 盾の表面から透明な液体が流れた。


「オホッ……オホォォォ……!」


 ぴく。


 また開く。


 盾そのものが、おじさんの方へ少し傾いた。


「積極的ですなぁ」


「お前に似たんじゃないのか」


「おじさんが母親みたいな言い方!」


「父親でも嫌だろ、こんな豚」


「それはそうですなぁ」


「同意するな」


     *


「持ってみろ」


「はい」


 受付のお姉さんに言われ、盾を持ち上げる。


「軽い」


「元より?」


「かなりですなぁ」


「構えろ」


 構える。


 重心が妙に良い。


 腕へ吸い付くように馴染む。


「オホォ……」


「防具が戦闘中に鳴いたら嫌ですなぁ」


「性能を見ろ、豚」


「はい!」


 受付のお姉さんが訓練剣を取る。


 ばん。


 盾が受けた。


 ほとんど衝撃が来ない。


「おお」


 ばん!


 さっきより強い。


 それでも。


 無傷。


「これは」


「昨日まで廃棄予定だった盾だ」


「使えますなぁ」


「それどころじゃない」


 受付のお姉さんが表面を確認する。


 さっき塞がった亀裂も戻っていない。


「防御力も上がってる」


「やはり」


「性能は最高」


「挙動は」


「最低だ、豚」


「そこは盾の話では!?」


「両方だ」


「酷い!」


「オホォォォッ!」


「盾殿まで同意しないでくださいなぁ!」


     *


 受付のお姉さんが盾を床へ置いた。


 表を上へ。


「やれ」


「はい?」


「最後までだ」


「ここでですかな?」


「何のために人払いしたと思ってる、脳味噌まで脂肪の豚」


「実験のため?」


「さっさと孕ませろ」


「随分直接的ですなぁ」


「お前が何を今さら恥ずかしがる」


「それもそうですなぁ」


「納得するな、変態」


 盾の中央。


 女性器状の器官が。


 ぴく。


 開く。


「オホォォォ……!」


 こちらへ求めるように反応する。


「いやぁ」


「何だ」


「やる気満々ですぞ」


「お前もだろ、豚」


「否定できませんなぁ」


「気持ち悪い」


     *


 正式な種付けプレス。


 どん。


「オッホォォォォッ!」


 倉庫に響いた。


「声でかいな、この盾」


「雌化物は元気ですからなぁ」


「お前も黙って動け」


「はい!」


 どん。


「オッホォォォォォッ!」


 盾の表面から液体が散る。


 女の声が止まらない。


「オホッ! オホッ! オッホォォォォッ!」


「倉庫の外まで聞こえませんかなぁ」


「聞こえたらお前の責任だ」


「盾殿の声では?」


「作った豚の責任だ」


「世知辛いですなぁ!」


「黙れ!」


 どん。


「オッホォォォォォッ!」


 盾全体に魔力のような淡い脈が走った。


 木目がさらに密になる。


 縁が硬くなる。


 持ち手の形まで変わっていく。


「出ますぞ」


「オッホォォォォッ!」


「濃いのが」


「オッホォォォォォッ!」


「オッ! オッ! オッ!」


 盾が大きく震えた。


 それから。


 ふっと。


 力が抜ける。


「オホォォォ……」


「完了ですなぁ」


「毎回その台詞なのか、この気色悪い豚」


「決め台詞になってきましたぞ」


「今度言ったら蹴る」


「はい!」


     *


 受付のお姉さんが盾を持ち上げた。


「……」


「どうです?」


「黙ってろ」


「はい」


 盾の中央にできた女性器状の器官は残ったまま。


 ただ。


 さっきまでとは少し違う。


 表面に淡い魔力の筋が広がり。


 盾そのものが。


 どこか落ち着いたように脈打っている。


「孕んだのか」


「そのはずですなぁ」


「明日産む?」


「これまでと同じなら」


「何を」


「盾では?」


「……」


 受付のお姉さんが頭を押さえた。


「何で壊れた盾一枚から、盾が増えるんだ」


「性神様ですので」


「便利な言葉で済ませるな」


「おじさんもそう思いますぞ」


「オホォ……」


「お前も黙れ」


 盾が小さく震えた。


     *


 試しに。


 もう一度。


 訓練剣で叩く。


 ばん!


 無傷。


 さらに。


 ばん!


 無傷。


「実用品どころじゃないな」


「上等な盾ですなぁ」


「これなら前衛に売れる」


「売るんです?」


「売らない」


「おや」


「まず明日の出産まで観察する」


「なるほど」


「それからギルド管理だ」


「おじさんの物では?」


「いらないだろ」


「もちろん」


「即答か」


「おじさんは、孕ませたものは基本的に手放しますので」


「その方針だけは褒めてやる」


「おお」


「調子に乗るな、豚」


「はい!」


「ただし」


「はい?」


 受付のお姉さんが、盾の中央を見る。


「これを武器庫へ持っていくのは危険だな」


「なぜ?」


「お前、本当に馬鹿か?」


「はい?」


「雄化した武器があったらどうなる」


「……」


「……」


 二人で盾を見る。


「オホォォォ……」


「やりますな」


「やるだろうな」


「性能は最高」


「私生活は最低だ」


「ですなぁ」


     *


「さて」


「実験終了ですかな?」


「誰が終わりと言った」


「はい?」


 受付のお姉さんが盾を壁際へ置いた。


「豚」


「はい」


「こっち来い」


「まだ何か?」


「首を見せろ」


「またですかな?」


「口答えするな」


「はい」


 近づく。


 首を掴まれた。


「この跡」


「はい」


「森であの小娘につけられた」


「おそらく」


「おそらく?」


「夢中でしたので」


「……」


「受付のお姉さん?」


「本当に腹が立つな、お前」


「なぜ!?」


「黙れ、クソ豚」


 ちゅ。


「……おや」


「声を出すな」


 赤い跡のすぐ横。


 また。


 ちゅっ。


「これは?」


「治療だ」


「増えておりますぞ」


「治療痕だ」


「便利ですなぁ!」


「黙れ」


 ちゅ。


 今度は反対側。


「お姉さん」


「何だ、豚」


「完全に上書きしてません?」


「悪い虫の痕跡を消しているだけだ」


「痕跡が増えてますぞ」


「黙れと言ってるだろ」


「はい!」


     *


「臭い」


「風呂入りましたぞ」


「まだ臭い」


「女将さんに洗われました」


「その女の話を今するな、馬鹿豚」


「はい!」


「脂っこい」


「はい」


「腹も出てる」


「はい」


「頭も薄い」


「はい」


「ブサイク」


「はい」


「なのに」


「はい?」


「何でお前みたいなのが、こんなに腹立つくらい――」


 受付のお姉さんが止まった。


「何ですかな?」


「黙れ!」


「はい!」


     *


 そこから。


 受付のお姉さんの声が変わった。


「オホッ……!」


 さっきまでの。


 低く鋭い罵倒声ではない。


「オッホォォォォッ!」


 それでも合間には。


「豚……!」


 短い罵倒。


「オホッ!」


「ハゲ……!」


「オッホォォォォォッ!」


「臭い……豚……!」


 そして。


「もっと!」


「はい!」


「オッホォォォォッ!」


 行為中は。


 ほとんどオホ声。


 その合間に。


 命令。


 罵倒。


 要求。


「オホッ……!」


「止めるな、豚!」


「はい!」


「オッホォォォォォッ!」


     *


 一度。


 区切り。


「では――」


「誰が終わっていいと言った」


「はい?」


「まだ管理が足りない」


「いやぁ」


「何をニヤついてる」


「管理されるのも慣れてきまして」


「気持ち悪いことを言うな、クソ豚」


「はい!」


「続けろ」


「はい」


「オホッ……!」


 また。


「オッホォォォォォッ!」


     *


 しばらくして。


 ようやく。


「……」


 受付のお姉さんが息を整えた。


「豚」


「はい」


「今日の管理はここまでだ」


「お疲れさまですぞ」


「お前が言うな」


「はい」


「盾は触るな」


「はい」


「明日の朝、私が確認する」


「はい」


「勝手にまた孕ませるな」


「はい」


「他の廃棄物も雌にするな」


「はい」


「宿へ戻ったら風呂に入れ」


「今朝入りましたぞ」


「もう臭い」


「そんな!」


「飯も食え」


「はい」


「危険な依頼は勝手に受けるな」


「はい」


「怪我もするな」


「はい」


「分かったか、豚」


「いやぁ」


「何だ」


「ずいぶん大切に管理されておりますなぁ」


「……」


「受付のお姉さん?」


「次言ったら蹴り殺す」


「死んだら困るのでは?」


「治してからもう一度蹴る」


「怖い!」


     *


 受付のお姉さんが服を整える。


 髪を整える。


 深呼吸。


 そして。


 扉へ手を掛けた。


「豚」


「はい」


「外へ出たら余計なことをしゃべるな」


「はい」


「盾の件だけ報告する」


「はい」


「私とのことを一言でも漏らしたら」


「管理?」


「地獄を見ると思え」


「はい!」


 かちり。


 鍵が外れる。


 扉が開いた。


「では」


 受付のお姉さんが廊下へ一歩出た。


 その瞬間。


「本日の手続きは以上となります。お疲れさまでした」


「……」


 知的。


 冷静。


 丁寧。


 完璧な受付嬢。


「いやぁ、やはり怖いですなぁ」


「何か?」


「何でもありませんぞ!」


 倉庫の奥から。


「オホォォォォォ……!」


 孕んだ盾の声が響いた。


「……」


「……」


 受付のお姉さんは笑顔のまま。


 小さな声で。


「明日まで鳴き続けたら、お前が責任取れよ、豚」


「外でも少し漏れてますぞ!」


「何か?」


「何でもありません!」

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