馬鹿
俺の殺気だった姿を見るやいなや、克馬は鼻で笑いだした。奴の舐めた姿を見るたびにこいつは殺さなければならない存在なのだと実感する。
ナイフを両手に持って体の前に持ち、臨戦態勢を整え克馬の懐に飛び込んでいく。左手で持ったナイフを目に向かった、突き出す。
「ほんとに馬鹿だよね君って。」
すぐさま後方に飛んで距離を離れるが、右足が切り飛ばされる。克馬の戦い方は修行とは全く別物だ、今の攻撃は俺を殺しにきている攻撃だ。
左足を切られ、後ろに飛んだ勢いを殺しきれずに転んでしまう。克馬は、左手を出して光の粒なようなものを二つ出し、こちらに目にも止まらぬ速さでこちらに向かって飛ばしてきた。光に当たった瞬間、下半身は吹っ飛び、右手は皮一枚で繋がっている状態になった。右手を引きちぎり、克馬の後ろに向かって投げつける。
「うぁぁっぁぁー、来ないでくれーー、悪かった。ほんとに、ほんとにもうしないか。」
俺を姿を見た克馬は腹を抱えてゲラゲラ笑い出した。あれほどまでに殺すと豪語していた、男がここまでの醜態を見せれば当然だろう。両手で俺の顔に触れて、ニコッと微笑みかける。
「君を生かしていた理由を教えてあげよう、僕の能力は人から奪った能力は自分の体では、成長しないんだよ。だから君は、僕の目的のために生かしていただけだよ。」
投げた右手に意識を持っていく。こいつのこういう話にはもううんざりだ、だが今回はこいつを油断するために我慢しよう。
「じゃあ、なぜ俺の記憶を消してまでこんなことをしたんだ。」
そう聞くと、克馬は不気味な笑みを浮かべる。
「趣味だよ。そっちの方が楽しいじゃん、いやーほんとに君が馬鹿みたいに僕のことを信じてる様は笑を堪えるのが大変だったよ。じゃあ、死ね。」
蒼梧の上半身が全て吹っ飛んで、あたりに肉片が飛び散る。
「やっとこれでやっと僕は、完璧な生物になれ、、、」
首にとてつもない痛みを感じた瞬間、なんでかわからないけど近くに天井が来てるかと思えば地面に顔面が打ち付けられ、うつ伏せになった。
「痛い、なんだこれ。」
現状が全く理解できないのは、生まれて初めてだ、どうなっているんだ。
「おい近衛克馬、首切り飛ばされたことも気づいてないのか?」
まさか、奴はさっき殺したはず、どうして。
「あんたらしくもないな、いつもの不気味な笑みを浮かべて、最適な判断をしていたあんたはどこに行ったんだよ。」
間違えないこいつは、さっき上半身を吹っ飛ばして殺したはずの蒼梧が、今目の前で流暢に喋っている。
「なぜだ、さっき君は殺されたはずだ。」
地面に顔を突っ伏したまま問いかける。すると自分の顔を蒼梧が見える方に向きを変えてきた。蒼梧を見ると布の一枚も着ていなかった
こいつは俺に自分の弱点をわざわざ言ってくれたんだ。原理は簡単だし教えてやるとするか。
「さっき俺が致死量の攻撃を受けた時に、あらかじめちぎってお前の後方に投げた手から再生したってだけだよ。」
克馬は、俺の話を聞いた瞬間ポカンとした顔になった。俺は克馬の右目に向かって、ナイフを差し込みえぐり出してみる。すると耳が痛くなるくらいの大声で克馬が叫び出す。数分経つと叫び止み、克馬は下唇を噛んで睨んできた。
「克馬はさ、武術とか能力は全体的に俺の数百倍は強いのに、自分の能力とかを俺にペラペラ喋るからこうなるんよ。余裕かまさずに一撃で終わらせにきてたら俺はもう死んでたよ。」
俺がそう言うと、克馬は泣き始めた。あのプライドの塊のような男が、ここまでの醜態を晒すとわ。克馬の顔を蹴り飛ばし、出来るだけ体から離れたところに飛ばす。
厨房に向かいあらかじめ用意していた、ガソリンとライターをシンクから取り出し抱えて持っていく。
ガソリンを克馬の顔と体にまんべんなくかける。
「おい君、今からなにをするつもりなんだ。」
克馬が焦って問いかてくる。流石にこれくらいは答えてやろうか。それよりもさっきから能力を使えばいいのに、使ってこないってことは、やはり四肢がないと使えないようだな。首と胴体をまず最初に切り離しておいて正解だったな。
「あんたの体を今から燃やすんだよ。」
克馬の顔がどんど青ざめていく、離れていっても顔色の悪さがよくわかる。克馬の顔にライタの火を近づけ火をつけすぐさま胴体にも火をつける。燃えている時なにを言っていたかわからなかったが、気にせず部屋を出て行く。
二分後着替えて、龍二の手紙を持って食堂に向かうと克馬は焼け焦げていた。
こんなに黒焦げになった克馬を見ても全く自覚がない、本当に終わったのかまだ実感はない。これが本当に正しかったのかもわからないだがこいつは死んで当然の人間だということはわかっているつもりだ。
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