臆病ウサギの万能盾
あとがきにイラスト有り。
―― ミーリャside ――
「あ、あの!」
学校一日目の事です。
急に雛菊さんに呼び止められました。
私は立ち止まったユアンスさんの後ろに、つい隠れてしまいます。
「マミカちゃん。どうしたの?」
「あ、あの、今日のお昼ってどうしましたか?」
「面倒だから、適当に食堂で買っちゃったよ。」
「ぅぅ。ごめんなさい。ユアンスさん達の事忘れてて、放課後になってから『そういえば、お昼どうしたんだろう』って気づいたんです。ついでにユアンスさん達のお弁当も作っちゃえば良かったんですけど……。」
この学校に通ってる人は寮に住んでいる人が多いみたいです。
なので食堂等もありますが、自炊のできる台所もあるそうです。――私達は異空間に部屋を作ってそこに住んでいるので、関係ないのですが。
「うん。じゃあ、明日から僕らの分も、お願い出来る?」
「はい!もちろんです。……あ、何か要望ありますか?好きなおかずとか。」
「うーん。マミカちゃんの料理なら、何でも美味しいからなー? ミーリャは何かある?」
「はぅ!?」
わ、私に話を振らないでくださいよ!
好きなもの。好きなもの……。
「わ、私は、温野菜が好きです……。」
い、言えました!頑張りましたよ!
心臓が凄くバクバクしています。 うー。緊張しましたぁー。
ユアンスさん以外の人と話すのは怖いんです。酷く緊張してしまいます。
「うん。ミーリャは野菜が凄く好きだね。あ、あとミーリャは少食だから、量は少なめでお願いできるかな?」
ユアンスさんが、頭を撫で撫でしてくれます。優しい暖かさで、少し落ち着きます。
「はい、わかりました!ありがとうございます!明日から頑張りますね!」
可愛く気合いを入れた雛菊さんは、楽しげに走っていってしまいました。
「あ、でも、私達の分まで作って貰っちゃって良いのでしょうか?凄く大変だと思うのですが……。」
未だユアンスさんにしがみついたまま、不安になったので聞いてしまいます。
「大丈夫だよ。マミカちゃんは、作りたいから作ってるんだよ。自分の作った料理を食べて貰えるだけで嬉しいんだってさ。」
「す、すごい、です……。」
臆病で弱虫な私は、隅っこの暗がりで体を小さくしている事しか出来ません。
傷付くのが怖くて、傷付けるのが怖くて、ギュッと縮こまってしまいます。
何も出来ない私からしてみれば、雛菊さんはキラキラ輝いています。
グーっと腕を広げて、暖かい太陽の光をたくさん浴びています。
「ゆっくりで良いんだよ。ミーリャはミーリャの速度で。」
僻む私に気付いたのか、ユアンスさんが頭を優しくポンポンとしてくれます。
元気づけようとしてくれる事が嬉しいです。
でも今はまだ、解らないのです。
どうしたいのか。どうすべきなのか。
――何もかも解らないのです。




