店仕舞
「よし、じゃあ空き地行こうぜー!」 「うわ。いいな、それ!早く行こうぜ!」 「わわ、待ってよぅ。」
「ありがとうごさいましたー。」
騒がしい餓鬼の背に、応対した雛菊の声が弾ける。
一番最初の客、孤児院のやつのお陰なのか、店を始めて約1ヶ月半経った今、餓鬼らの間でじわじわと水鉄砲は流行っていた。
一つ50c、日本で言うと500円程と少し高めの水鉄砲。100均でも売ってそうな簡単な作りの為、少々ぼったくり気味に感じるがこれでも安い方だそう。
まず希少価値、この店でしか手に入らない。そしてこの世界では未知の材質、プラスチックで作られている。
しかし、売り上げはすべて利益になるそう。なぜなら、作っているのが雛菊と美結美代だから。
雛菊が材料となるプラスチック等を作り、美結が形を作り、美代が、特別にあらかじめ水を入れておく係――――らしい。
ちなみに俺の仕事はない。
裏でこの作業をやっていることすら、知らなかったのだ。
――それに、頼まれても面倒くさいだけだから、逆に良かったかもしれない。
「もうそろそろ、学校行かないとね。」
ポツリとユアンスが呟いた。
彼の言葉の意味を理解する為の数秒の後、雛菊は俯き、美代は空を見上げ、俺と美結はそっぽを向いた。
ミーリャは本を捲るのを止めて、そのページを凝視している。――そんなにその本、面白いのか?
「……い、いや、君達が学校と言う場所に、苦手意識を持っているのは知ってるんだけど、ね?……ほ、ほら、学校でしかできないこともあるんだから……行こうね?…………っていうか、行かないとダメだからね?――――お~い。聞いてるー?聞いてるなら少し位反応してー……。」
ユアンスの寂しそうな声が、夕焼け色に染まった店内に溶けた。




