人工物
《魔法》を使う者が現れ出したのは『得』と呼ばれる時代。
それから168年後の畝時代、遂に万人が魔法を使えるように《魔術》という技術が編み出された。
その時代は魔術よりも科学の方が発展しており、科学の技術を生かして、まだまだ不完全だった《魔術》はどんどん発展していった。
――――しかし。
大き過ぎる力は、やがてその身を滅ぼす。
《魔術》が編み出されてから数十年後。
国は滅びた。
何が起きたのか、それは定かではない。
しかし、それにより高度な技術は封印され、他国の人間を含む部外者全ての人から、科学及び魔術に関する記憶は消された。
だが、記憶が消えても何事も無かったようにそこに生きる人たちがいる。
今までは、世の中を科学が便利にしていた。
しかし、その技術を封印した今、頼れるものは何もない。
そこで編み出されたのがゲームのスキルの様な形の“魔術”。
それは『球』や『矢』、『壁』など、決められた形の物しか作り出せない。
また、他国との交流を全て断ち切った。
他国の生み出した新しい技術の流入を避けるためだ。
だが、制限はそれだけでは無い。
高度な技術を使い、全国民の脳内にチップを埋め込んだ。
それは、一部の思考を抑制し、魔術などに関する新しい発見を予防する物。
チップを埋め込む作業は完全自動化され、技術封印から200年以上たった今でも赤ん坊が産まれる度に、誰も知られず稼働している。
技術封印に関わった人達は、それほどまでに今後の技術の発展を警戒をしていた。
同じ様な事を思い付かないように。
同じ過ちを繰り返さないように。
しかし、人の世が変わっていくように、技術も日々進化していくもの。
時の止まった空間と、日々変わっていく人との距離は着実に開いていく。
いつしか、国は機能しなくなっていた。
弱い者は強い者に虐げられ、ちk――「『シイタケ』ですか!?おいしそうですぅ~!」――黙れ。
――コホン。……力の無い者は、力を持つ者の言いなりになる。
そうして、この国は歪になっていr――「シイタケが食べたいですぅ~!」
ユアンスの首元から、白いモノが飛び出している。
「ルミ。大人しくしてろって……。」
「カルぅ~。シイt――むぐぐ……。」
ユアンスは白いものを容赦なく掴むと、ポケットにしまった。
「――まぁ、こんな感じなんだ。この国は。」
「へぇ。」
呟いたのは美結だけ。
麻美花と美代は、何か考え込んでいるような?
「……私もシイタケ食べたい。」
「……今日の夕飯、シイタケの炒めものにしようかな?」
「私も食べたいですぅ~!」
呟いた二人に賛同し、再度飛び出してきた白いモノ。
ソレは真っ直ぐに俺に飛び込んできた。
「何これ。」
つまみ上げると、コイツと目が合った。
「ふぇぇ……。」
不安そうな顔つきになったコレは、次第にウルウルと涙を溜めていく。
「ソレ、何だと思う?」
ユアンスの問いに、俺は即答する。
「綿埃。」
ゴミはさっさとユアンスに投げ返す。
「わきゃぁー><」
「うん、正解。コレは綿埃。」
「ほぇぇ?……えと私、埃なんですか?お外に捨てられちゃうんですか?カルと離れ離れになっちゃうですか?そんなの嫌ですぅ~><」
「ハイハイ……。」
ユアンスは面倒くさそうに綿埃をポケットにしまった。




