夜中の密会
麻美花ちゃんsideです。
時間軸的には『お仕置き』~『安堵』の間です。
((そこに入れればよかったかな?(汗)
今日の夕ごはんは唐揚げ。
唐揚げは、美結ちゃんと美代ちゃんの大好物で、嬉しそうにいっぱい食べてくれる。
だからいっぱい作る。
一緒にサラダとスープも作る。
―――でも・・・。
思考の渦に落ちる。
なんで美結ちゃんは、何であんなこと言ったんだろう。
わからない・・・。
美結ちゃんの部屋を出ようと廊下に1歩踏み出した時・・・―――――
―――
―――――――
「麻美花。1ついい?」
「うん?何?」
「私、麻美花の『役に立ちたい』って気持ち、利用した。・・・ごめん。」
「利用・・・?」
「自分がスッキリしたいから、麻美花を捌け口にした。」
「・・・?美結ちゃんのお役に立てたのなら嬉しいよ。・・・・・・じ、じゃあ、唐揚げ作って参りまーす。」
―――
―――――――
・・・そう明るく言って部屋を出たものの、少々混乱。
そしたら階段を踏み外してビタン!と転けちゃった。
幸いにも、マットが敷いてあったから傷は1つもない。
そのマットは、なんでも階段の下専用に作られたらしくて階段から落ちた人を守ってくれるらしい。
―――よく落ちる私に、って美結ちゃんが買ってくれた。
―――――――ご飯が炊けたことに気づき、慌ててお鍋を火から降ろし、しばらく蒸らす。
炊飯器はない。
だから私はガスで炊く。
厳密に言うとガスではなく魔力を『火』に変えてガスと同じように使っているいるだけなんだけど・・・。
―――それを言ったらユアンスさんは驚いていた。
そして、「炊飯器、持ってきてあげようか?」って。
―――ユアンスさんは不思議な人。
日本語が喋れるだけでなく日本のことにも詳しい。
それに、私達のことにも詳しかった。
私達のこと、ほとんど全部知っていた。
―――でも、知らないことも少しあった。
炊飯器。
私は「いらない。」って言った。
炊飯器なんて無くてもご飯は炊ける。
お母さんと一緒に暮らしてたときは毎日ガスで炊いてたから。
炊飯器なんて他に代用が効く物、お金が無かったから買わなかった。
今更、炊飯器使ったらお母さんとの思い出が少し色褪せそうで怖い。
―――だから断った。
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夜。
屋根の上に上る。
三階にある一番奥の部屋。その部屋の中には不思議なことに階段があって、そこを登ると屋上―――というか、普通の家の屋根。
星がきれいで、ほぼ毎日ここに来ている。
―――ユアンスさんと出会ったのもここ。
こっちに来て2日目の夜。
ユアンスさんは最初びっくりしていたけど、すぐに隣に来た。
どうやって一瞬でここまで来たのかは笑って教えてくれなかった。
それからほぼ毎日ユアンスさんは来て、私にいろいろ教えてくれた。
最初のうちは字の勉強。最近はこの世界のいろいろなこと。
ユアンスさんは、私達―――ゆうま以外の女の子3人―――が文字を書けないことも知らなかったみたい。
ゆうまには『全言語理解』つていう加護があるから・・・。
―――それを思うと少しへこむ。
私達3人の言語に関する加護は『シャム語言葉理解』のみ。
言語というのは音声と文字の両方を示すのに対し、言葉とは音声のみ。
ゆうまだけいいな、って思っちゃう自分がイヤだ。
この事をユアンスさんに言ったら、『君たちが、がんばり屋さんだから敢えてその加護にしたんじゃないかな?』って。
じゃあなんでゆうまだけが〈全言語理解〉なんだろう、って言ったら『身分証明書を作る時、役に立っただろう?』って、笑ってた。
―――でも今日は、ユアンスさんは来れないって言っていた。
用事があるみたいだった。
だから今日は一人で過ごすことになる。それが少し寂しい。
一人でいるのは平気だったはずなのに、ユアンスさんといると楽しいから・・・。
でも、明日の朝には美結ちゃん、美代ちゃん、ゆうまとの顔合わせをしに来るからって言っていた。
―――それと、日本からの懐かしい物も持って来るって。
ユアンスさんは、月に1回日本から送られて来るものを私達に届ける役割らしい。
欲しいものがあれば言って?ってよく言っていた。
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少し強い風がザァっとたくさんの木を揺らす。
遠くにあるはずの木々がざわざわと音を立てるのが聞こえた。
《・・・ぁ・・・・・・へ・・・・》
弱まってきた風の中に、ふと声が聞こえる。
《・ぅ・・・ん・・・ぃ・・》
《・・ま・く・・・・・・》
切れ切れでうまく聞き取れない。
「何・・・?」
ポソリと呟いた瞬間、弱い風のかすかな音をも含めた全ての音が消え、シンと静まり返る。
そして、今度ははっきり聞こえた。
《ゆうま くん たいへん》
「え?」
《あくむ あくむ いらない》
美結ちゃんが捕まったって時に聞こえた声と同じ。
鈴の音のような可愛らしい声。
しかし、その声はなんだか焦っているようにも聞こえる。
《いそいで ておくれ だめ いそいで》
その声に急かされるように、ゆうまに何かあったのかな?と思いつつ、私は急いで階段を駆け降りた。
第2章終了です。




