お仕置き
「今日の昼飯兼夕飯、何?」
「何がいい?」
美結の問いに雛菊が、即聞き返す。
しばらく経ってから美結は答えを出した。
「唐揚げがいい。・・・できる?」
「うん♪もちろん!」
雛菊の嬉しそうな声。そして―――
カチャリ
ドアノブが回る。
慌ててオレは自分の部屋へと駆け込んだ。
その後、ビタン!という小さな音がオレの部屋にも聞こえたのだが、雛菊がスキップしながら階段を下りて転ぶことは1週間に2回は必ずあることなので気にも止めなかった。
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―――――『ゆうまくんは、恩人さんだから。』―――――『それも、2回もだよ?』―――――
自室のベットに寝そべって記憶を探る。
しかし、彼女に恩を売った記憶なんて欠片もない。
彼女と関わったのだって、あの小学校入学式の日たった1日だけのはずだ。
―――――――『モノ隠し』の時は“間接的に”だし・・・。
ふと、ある考えに思い至る。
―――アレか。雛菊の美化モードか。
「美化じゃないよ。」
オレの思考にトゲのある鋭い声が割り込む。
「美化なんかじゃない。麻美花はあんたの何気ない行動に救われた。ただそれだけ。」
見ると、部屋の扉を全開にし冷たい視線を投げかけてくる美結がいた。
彼女はツカツカと断りもなく部屋に入ってきて、ポケットから棒状にしたアイクを取り出し、ビュンと一振りする。
「さて・・・、盗み聞きクンにはお仕置きしなきゃーぁね。」
美結は顔にうっすらと悪魔の笑みを浮かべ、オレに近づいてくる。
怖いなー(棒読み)っと。
―――つか、聞かれたく無ぇならいるのわかってんだから追い払えばいいだけだろ。
「あ・・・、うん。そうだね。・・・確かに。」
美結は急に笑顔を消すと、目を細めた。
「―――――――聞いて欲しかったのか・・・な。」
「・・・・・・何か言ったか?」
―――――――ということにしておく。
「ううん。なーんーもっ!!」
言いながら、美結はアイクでオレの脇腹を叩き割る。
「あと2発殺りたいところだけど我慢してあげるよ。じゃね♪」
そう言って美結は痛みで呻きすら上げられないオレを放置してなぜか嬉しそうに部屋から出て行き、扉をバタン!と勢いよく閉めた。




