素ノ声
話が全然進まない…。
「ごめんなさい!」
耐えきれなくなったのか、雛菊はそう言い残して自分の部屋に駆けていった。
雛菊が居た場所には、彼女が買ってきたものが散らばっている。
・・・しっかし、どうしたものかー。
「ハイハイ、またまたお邪魔しまーす・・・っと。」
「・・・・・・何の用だよ。」
また、美結が来た。
今度は美代は連れてきてはいない。
「こっち来てから感度が良くなったみたいで、家に居てもあんたらの“声”筒抜けなの。」
“声”って・・・あぁ、心の声ってことか。
「そ。で、悩んでる君に助言をプレゼント〜!」
・・・・・・・・・・・・なんかウザっ。
「ハイハイ。私の堪忍袋が切れる前に言うね。
私は“本来のあんた”ってやつを否定しないから。・・・・・・・・・つーわけで―――――」
ドカッ。
「―――殴っていい?」
・・・聞く前に殴るなよ。
「じゃあ、ちゃんと聞けば殴っていい?」
アイクを手の上で弄びながら、美結はニヤリと笑って聞く。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・めんどくせぇ~。
オレは彼女に背を向け、自分も部屋へ向かう。
・・・・・・だが。
「今後もその調子でよろしくぅ〜!」
機嫌のいい美結の声がし、扉がバタンと閉まる音がした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
いつの間にか“本来のオレ”ってやつに戻っていた。
雛菊のせいで、イライラしているというのもあったからだろう。
「・・・・・・否定しない・・・ね。」
・・・・・・・・・・・・チッ。
マジ、めんどくせぇ。
脇腹の痛みを無視し、部屋へと戻る。
―――――が、また邪魔が入る。
「・・・・・・な・・・な・・・な、治してあげようか?」
雛菊が自分の部屋のドアを少し開け、オレの脇腹を指して言う。
オレを見上げる彼女の目は真っ赤だ。
「・・・・・・・・・別にいい。」
「・・・で、でも、痛いじゃん。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「あんた、鬱陶しい。」
言うと、雛菊は萎れたように俯いた。
しかし、
「・・・・・・・・・じゃ、じゃあ、【治癒】の練習させて?」
ポソリと呟くように言った。
「・・・・・ホント、あんた鬱陶しいわ。」
彼女に言い捨て、自分の部屋へと入った。
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部屋に入ると、即、本を手に取りページを捲る。
“イミャース説明書 地球:日本語ver”と表紙には書かれている。
昨日、引き出しの中を整理したら出てきたのだ。
・・・・・・整理したと言っても、ただ中身を全部出しただけだ…。
・・・・・・・・・・・・それは、整理したとは言わないか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ようやく、【治癒】の載ったページが見つかった。
書いてある呪文を唱えると、じわじわと痛みが退いていくのがわかる。
・・・便利だ。
それからの時間は、本を見て簡単な魔術や魔法を使ってみたり、
部屋を少し整理したり、ゴロゴロしたりと、マッタリ過ごした。




