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腐った世界で異世界生活(ライフ)  作者: たんぽぽ
第1章 異世界生活開始
29/154

記憶

「...で?いい加減、消してくれないかな〜?ホント、鬱陶しいから。」



あの時、最後に彼女が言ったのだ。

“彼”を消してくれ、と。


どうやら、オレの心からは2つの声が聞こえて、鬱陶しいらしい。


1つは“彼”の声。

もう1つはそれを蔑む“本来のオレ”の声。



「じゃー、用事は終わり!またね、麻美花。」


美結は雛菊に向かって手をヒラヒラさせると、オレをキッと鋭く睨み付けてから帰っていった。



美代も麻美花にバイバイと小さく手を振ってから、美結を追いかけて行った。




----------




「………ね、ねぇ、ゆうま。……美結ちゃんが言ってた、何かを消せ…っていうの……

 …な、何を消すの………かな…?」


扉が閉まると、雛菊が恐る恐る聞いてきた。

彼女の()には不安の色が見隠れしている。


「……………。」


「もしかしたら、その…………何て言うか……

 …その…わざと明るく振る舞っているゆうまくん……っていうのかな?

 ………そ…それを消せって言われたんじゃ……………。」


……………。


「………ウザっ。」


「ひゃぅ!」


オレが睨むと、彼女はかわいい悲鳴をあげて半歩程後ずさった。



「………あのさー、朝も言ったけど、

 オレのこと何っっっにも知らないくせに、知ったような口聞くの、やめてくんないかな〜?」


「………で、でも、…わ、わたしは、無理してる斎藤くんは好きじゃないっていうか………。」


はい?


「……こ………個人的には……その………『冷めてる』って言われてた時のゆうまくんは

 ちゃんと自分の…意見っていうのかな?………そういうの持ってて、

 な、なんか、大人っぽくていいなって………s……。」


「……ウゼぇから黙れし。」


彼女をより睨み付けると、雛菊は口を閉じて俯いた。


……………つかこいつ、何でそんなことまで知ってんだよ。


「なぁ、お前とクラス、同じになったことないと思うんだけど。」


ぶっきらぼうに問う。


「あ…っ。」


しまった!とでも言いたげに、雛菊は声を上げてしゃがみこんだ。


「噂で聞いたのか?その話。」


聞くと、数秒後にコクンと頷いた。


「…お前、情報通だとは思えねぇけど。」


さらに突っ込んで聞いてみる。


「一体、誰に聞いたんだ?」


「…………く………クラスの人が話してるのを聞いたの………。」


「お前、西小か?」


「あ……うん。」


「3年何組だ?」


「3年……………えっと、……い、1組。」


へぇ。


「じゃあ、4・5・6年は?」


「……えっと……………さ、3組。」



オレの通ってた小学校は、3年から4年に上がるときにクラス替えがあるのみ。


オレは、1・2・3年は2組。

4・5・6年は6組。



やっぱり、同じクラスのやつじゃなかった。


そりゃ、そうだ。


オレの記憶してる中に、雛菊という名はない。



浅井(あさい)池田(いけだ)伊藤(いとう)、伊藤、伊東(いとう)上原(うえはら)岡崎(おかざき)柏木(かしわぎ)北澤(きたざわ)北沢(きたざわ)小林(こばやし)西藤(さいとう)、西藤、

斎藤(さいとう)、斎藤、西藤、坂本(さかもと)佐藤(さとう)佐東(さとう)、佐藤、潮崎(しおざき)末松(すえまつ)鈴木(すずき)高橋(たかはし)田口(たぐち)田仲(たなか)

田中(たなか)中村(なかむら)前田(まえだ)増田(ますだ)南野(みなみの)三原(みはら)山田(やまだ)吉田(よしだ)



計34名。


1・2・3年の3年間、毎朝出欠を取る度に担任がそう呼ぶから、

いつの間にか記憶に刷り込まれてしまい、何故か今でも覚えている。


4・5・6年は担任が教室内をざっと見て出欠を確認するだけだったから、覚えてはいないが………。



というか、同じ小学校ということは、同じ中学でもあるのか……。


知らなかった…。


名前に偏りがある…。

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