命令
街に入る。
……が、………………………早々に帰りたくなってきた。
街は活気づいていた。
両脇にはたくさんの店が並び、たくさんの人でごった返している。
……………。
お〜。人がいっぱいいる〜。スゲ〜!
…………ってか?
いや、人が居すぎて歩きずれぇから疲れるわ。
前を歩くゴリラに、しっかりついていかないと確実に迷子になるだろう。
「ゴリラって…。あんた、まだゴリラ派なの…。頑固ね。」
「あんたと喋ってたらはぐれるから、話しかけてくんじゃねぇ。」
「あー、ハイハイ。……じゃ、なんも考えないで。あんたの考えてること、突っ込みどころ満載過ぎるから。」
じゃあ、いちいち突っ込むな。っつーの。
オレは人混みが嫌いだ。
すれ違う人によくぶつかるは、靴は踏まれるは、押されるは、潰されるは………。
ただ、疲れるだけで得なんて1つもない。
「着いたぞ〜。」
そう言って、ヴィロが入っていったのは真っ白い建物。
別に、純白のような白というわけではない。
ただ単に、真っ白いペンキでベタ塗りしたような感じた。
そして、思ったより低い。
その建物は1階建て。
……平屋というやつか。
そして、狭い。
窓の個数からして、恐らく2部屋分程しかない。
路地の方を覗いてみたが、奥行きもそれほどない。
「あんたね、h…。」
「ハイハイ。わかったわかった。」
彼女の文句を遮り、建物の中へと入る。
………………が。
そこは、広かった。
外から見た、2部屋分程の空間でない。
入った所に、受付のようなものがある。
その先には廊下があり、両脇にはいくつものドアが並んでいる。
また、受付の反対側にはエレベーター&階段まである。
ぱっと見、大きい総合病院みたいだ。
「ちょっ、クソ虫。こっち!」
オレが外観と建物内の空間の差に呆然としていると、美結がオレの腕を掴んで引っ張っていく。
連れてこられたのは受付の前。
目の前には空欄の目立つ紙。
「書け。」
美結がオレにボールペンを渡して命令する。
「書く内容は私が言うから、言われた通り書けって。」
………………。
仕方なく、言われた通りに紙の空欄を埋めていく。
名前 斎藤 優馬
フリガナ サイトウ ユウマ
歳 16
種類 ヒューマン
血筋………?
「血筋ってなんだよ。」
「黙って書け!後で(麻美花が)説明してくれるから。」
()の中が彼に聞こえないよう、彼女はこっそり呟いた。
「血筋は空欄にしといて。ハイ、次!」
火属精 20
水属精 20
風属精 20
土属精 20
小属精 1
武属精 0
時間属精 0
空間属精 0
時空属精 0
魔力 100
身体異常 H.D.
精神異常 H.D.
加護 全言語理解
魔力増量
S.E.
「終わった〜。」
「ハイ。次、麻美花の行くよ。」
「…………はぁ?」
「後、3枚!ほら、サクサク行くよ。」
「……そういえば、雛菊と……みよって方は?」
今気づいたが、2人の姿が見えない。
「ハァ…。」
美結がため息をつき、呆れたように言った。
「……街に入ったときから別行動してるけど。」
「別行動?」
「そ。買い物してる。……ほら、さっさと書けって。」
「……ヘイヘイ。」
結局、全部書かされた。
美結の分も。
…………余計なことだが“みよ”は“美代”という字らしい。
その後、窓口にその紙を提出してハイ、終了!
美結が何やら窓口にいた人とゴニョゴニョしていたが、5分くらいで戻ってきた。
「ハイ、帰るよ。」
またもやオレに命令し、さっさと建物から出て行く。
オレは急いで追いかけた。




