ドS&ドM
「クソ虫、出てこい。フィーナのとこ行くよ。」
ドンドンと乱暴にドアが叩かれ、美結がオレを呼ぶ。
そういえば、今日は街に買い出しやらなんかの登録やらに行くことになっていた。
「開けろよー。クソ虫〜。…………開けないと、ドア粉々にするよ?」
…………できるのか?
部屋のドアは2cmくらいの厚さがある。
…………いや、美結ならできそうだな。馬鹿力出して……。
“彼”が顔を覗かせ始める。
「できるわけねぇだろ。私、こう見えてか弱いんだ〜。」
語尾は甘ったるい声を出し、か弱さを強調する美結。
それならば…………………オレをアイクで気絶させたのは、一体誰だったんだろう………。
確か、美結って名乗ってたような………。
「あ、あれは………。………そ、それより、粉砕するのは麻美花がやるから。」
…………は?
あいつ、空手でも習ってんのか?
「バーカ。スモールマジック使って、このドア、微粒子サイズに分解してもらうだけだよー。ちなみには修復不可ー。」
それってつまり、やられたらずっとドアなし状態?
「そーそ。着替えも丸見えー。」
………見たいのかよ。
「ううん、見ない。ってか、見たくもない。…ただ、着替え中にウィンドマジック使って窓の外にパンツ全部、飛ばしてやりたい。」
はぁ?
「………やっぱ、服全部飛ばしてやろうかなー?全裸で取り行かせるっていう。」
「…………み、美結。……お前、相当Sだな。」
「エヘヘ。褒めてくれて、どーもありがとー。」
………いや、誉めた気はないけど…。
「私にとっちゃー褒められたも同然!」
「……みゆ、あっちじゃMだもんね。」
「…………美代。………今度、マグカップに毒塗っといてあげるね。」
ドア越しでも、美結が殺意のこもった恐ろしい笑顔をみよに向けているのが感じられる。
「……こっち来て、Sになっちゃった………。」
みよがポソリと呟くのが聞こえた。




