愛しい人の影を追い続けていた話。
※ルミとラミ、二人の妖精。愛称が似ているので紛らわしいかもしれません。
ルミ=光属性。ルミナス。
ラミ=無属性。ラミア。
『ごちゅじん様ぁ〜!』
夜闇の中。白い光が飛んでいく。
『ルミっ!』
手を伸ばした時はもう、あの光は見つける事が出来ない。ただただ、真っ暗な闇が続いているだけ。
……
「また、守れなかった。」
ベッドから飛び起きて、思わず呟く。
そしてまた、気付くんだ。
……コレは夢なんだ、って。
だって、ルミはもう
この世にいないんだから。
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10年前。
ご主人様が死んだ。
ルミとラミも、巻き込まれて死んだ。
ユンが泣いていた。
僕らは泣かなかった。
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もう誰も、被害に会わないように。
もう誰も、泣かなくて済むように。
僕達、最上位を捨てた妖精みんなで、塔の周りに結界を張った。『幻惑』と『感知』を。間違って誰かが来ても、僕達が気付けるように。
結界の得意な無属妖精は、僕達の中には居なかった。ラミだ。最上位無属妖精だったラミは死んだんだ。
……だから新しい最上位無属妖精、アイに力を借りた。ラミを慕っていたアイは、快く力を貸してくれた。
それから10年が経って。
ずっと静かだった。何も無かった。
事が起こったのは今から1週間前。結界の内側に反応があった。
外側から迷い込んだのではなく、反応は突如内側に現れた。可能性は【テレポート】。でも【テレポート】は場所を<マーキング>する必要がある。でも、結界の内側に誰かの付けた<マーキング>は存在しない。あったら、結界を張るときに僕達が気付いているはずだから。
――だったらなぜ?
考えていた僕達へ、さらに疑問が増える事が起きた。
複数あった反応が、一瞬にしてさっぱり消えた。
その数秒後に結界の場所に辿り着いた僕達は驚いた。
塔の敷地の部分だけ濃霧が立ち込め、それ以上先に入る事が出来なくなっていた。
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再度、反応があったのは夕方になってから。
その時には既に、異変の報せを受けたシュラも到着していた。
反応は複数。場所は、塔のすぐ目の前。濃霧は消えていた。
駆け付ければそこには、人間が4人倒れていた。
傷の有無を確認した後、取り敢えずララの家へ。
最近は、拾った旅人は取り敢えずララの家へ送るのが常だった。もちろん、悪さをしないように監視係も付けて。
けど、今回は特に心配をしていなかった。
二人は、妖獣持ち。うち一人はシュラと同じ家系。もう一人は僕達ですら本当の姿が見破れない幻影使い。
一人は、最上位だった僕達が束になっても届かない、伝説級の妖精に守られていた。僕達が、主と主の友人達を傷付けないだろうか?と、その妖精は僕達を威圧し続けていた。
最後の一人は、ご主人様に似た魔力の香りをしていた。この香りはすべての妖精を惹き付ける魅力を持つ。
オマケに4人全員、精霊に愛されていた。
こんな人達が、悪人であるわけがなかった。
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日が沈んで。
たまたま結界の近くに来ていた僕。
……うん。たまたまじゃない。謎が多すぎて気にかかっていたんだ。
結界の周囲をボンヤリとしながら飛んでいた僕は、ふと、一つの魔力に勘づいた。
隠蔽を含む、結界の魔法。でも術者は弱っているのか、魔力の隠蔽が不完全だった。それでも、気付けるのは上位の存在くらい。普通の人間なら十分過ぎるくらい、高度な隠蔽結界。
僕はその結界に近付いた。
近付いたけれど、何も見えなかった。それだけ、結界の隠蔽は完璧だった。
僕はその場でしばらく、微弱な魔力を感じていた。ジッとその場で、心地良い魔力の流れを感じていた。
それが突然、術者が変わった。魔力の隠蔽が消え、ただ守るだけの結界に。
僕はこの、上書きされた魔力の術者を知っていた。――ラミだ。間違いない。10年経ってはいるけれど、間違いなくラミの魔力だと確信した。
ラミが生きていた?
なら、ルミもどこかで……。
気付けば、僕の胸は期待に高まっていた。
ルミがいる!ルミが生きている!
それだけで僕の体には力が漲り、何でも出来る気がした。
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ラミの魔力はすぐに消えた。その後もしばらく待ったが、ラミはなかなか姿を現さなかった。
しかし幸いな事に、僕は最初の術者の魔力を覚えていた。そいつは頻繁に、森に姿を現した。
僕はそいつを見張った。見張り続けた。
1回だけ、ラミが姿を現した。しかしすぐに、逃げるように姿を消してしまった。それ以降は、ラミの魔力すら感じていない。
バレたかもしれない。
そうは思うが、どうしようもない。残る希望は術者の男への接触だが、未だにその男とは接触が出来ないでいた。
術者の男は、常に女と一緒にいた。
関係の無い人間は出来る限り巻き込めない。――その思いが、男との接触を躊躇させていた。
だって僕は妖精だ。人化してはいるが、本来妖精と人間は出会う事のない存在。人間との接触は最低限にするべきだ。
だから僕は、男が一人になる時を待つ。待ち続けてやる。
ルミが帰ってくるのなら、僕は何だってしてやる!
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ある日男は豪華な馬車に乗り、豪華な屋敷へ入っていった。
僕はもちろん、外で見張り続けた。
男と女が屋敷から出て来た時、チャンスは訪れた。
城下町の方へ歩いていた二人は、街の入り口前で別れた。女は街の人混みへ紛れ、男は一人、人気のない道を歩いていく。
チャンスは今しかない。
そう思った僕は、男に声を掛けたんだ。
美結ちゃんサイドにて一部カットした話が混じってます。イラナイ話だと思ってました。完全に予定外。
美結ちゃんサイドという名のユアンスくんパートは、そのうち纏めて出したいなって。(遠い目)
早くて3年後くらいに出せたらいいなぁ、なんて。(白目)




