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腐った世界で異世界生活(ライフ)  作者: たんぽぽ
閑話章 彼が彼になる前の話。
142/154

大人しく連れて行かれる話。

※元サブタイトル:ドナドナ



「ねぇ、フィッスノーって誰?どんな知り合い?」


豪華な馬車の中。

今から、そのフィッスノーとかいう人に会いに行くらしい。



『こっち側なら酔いにくいから』と私に席を譲り、自分は進行方向に背を向けて座ったポチ。4人が横に並んで座っても余裕がありそうなくらい広いのに、ポチはこちら側ではなく私から一番遠い対角の位置を選んだ。




「…………。」


私の問いに、やはり彼からの反応はない。


私に軽く背を向けて壁に凭れ、黒ローブに付いたフードを目深まで被り、……まるで寝ているかの様に彼は振る舞う。



「ねぇー。」


「……。」


こうなったら意地でも、返事するまで声を掛け続けたくなるから不思議。



「……まぁ別に、元から返事に期待はしてなかったから良いけどさ。」


――でも、この人が私を無視するなんて珍しいんじゃない?……でもたぶん、それだけその人に会いたくないって事だろうけど。




窓の外では、景色が物凄い勢いで流れていく。

森を切り開いた街道。両サイドはもちろん森に囲まれてる。……そんな変わらない景色を眺めていても面白くない。



――ポチの観察をしている方がずっとマシかも?。


深緑色の服と紺のズボン、黒い靴。それらの上から、若干丈の長めな黒いローブ。

以前のポチは深緑色のローブだったけど、今は諸事情で予備の黒を使ってるっぽい。うっかり口を滑らせたルミちゃん曰く、なんかビリッビリに裂けたらしい。え、何したの?部屋に籠ってる間、何があったワケ?……ちなみに私も、水色のローブを着せられているという……。まぁポチほど丈は長くないし、全然動き易いから良いんだけど。

理由はなんか、他人から認識されずらくなるとか。特に、相手が知り合いならば効果は絶大。……うん、確かに。麻美花達に私達の存在はバレてなかったぽいし?まぁ、顔を見られてないっていうのもあるけど。




さてと。

ポチのローブの丈見てたら気付いた。ポチってば、自分の服の裾を握り締めてるっぽい。まるで、何かを耐える感じに。

……それと、肩の位置が若干高いかも?緊張で力でも入っているのかね。




フィッスノー。――ポチの知り合いはどんな人なんだろうね?


フィッスノー家ってのは、かなりのホワイト貴族みたい。

他者の心から適当に拾った情報によれば、闇奴隷市場をぶっ壊したり、そこにいた元奴隷の子供達の為に孤児院開いたり、裏で悪どいことをして利益を溜め込む貴族を徹底的に潰したりと、異常なくらい良心的な家みたい。


なんでも、二代前の領主が起こした改革がなんか凄かったとか。それが今も受け継がれてる。



……とっても偉い貴族サマと会うにしたって、ポチがここまで緊張するわけ無いよねー?……いや、するのかな?うーん。……でもなんか、緊張してるっていうのはちょっと違うかもしれない。……怒りを抑え込んでいる的な?……少し違うか。……怯え?……じゃないしなー。


…………あー!!もう!わかんない!謎!すっごく謎!!心、読んでやりたいよ!!考えてる事、洗いざらい吐いてくれれば良いのに!!

腹立った。私も寝るっ!







……馬車が揺れる度に壁に頭ぶつけるから寝れないんだけど。


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