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腐った世界で異世界生活(ライフ)  作者: たんぽぽ
閑話章 彼が彼になる前の話。
141/154

偶然すれ違う話。

以前のあらすじ。

ユアンスさんの愛称が、美結ちゃんの独断により『ポチ』になりました。


※元サブタイトル:カタカタ



「身分証作ろうか。」


それは唐突。



「え?……あっ。」


急に言葉を発した彼にビックリして、私は持っていた箸をカランと落とす。ついでに、今食べようとしてた豆腐も下のお皿に落ちた。……あ、セーフ。床に落とさなくて良かった。


今日の朝ごはんは、白米、豆腐の味噌汁、焼き魚、お浸し、デザートにペコっていうオレンジみたいなカットフルーツ。

作ったのはもちろんユアンスことポチ。当の本人は今、皿洗いしてる。



「えっと、……もう一回言って貰える?」


水の音がうるさくて、聞き間違えたかもしれない。

彼も察したのか雑音の元凶である水道を閉め、私の方に振り返るとハッキリ言う。


「今日はギルドに行って冒険者登録して来ようか。ギルドカードは身分証になるからね。」




----------



そうして今、ギルドにいる。

ポチに半強制で連れて来られた。いや別に、断る理由も無いけどさ。


「では、この水晶に触ってくださーい。」


手数料の支払いもろもろをポチが終えて、受付の人が丸くて透明なガラス玉を差し出してきた。うん、すごく水晶玉っぽい。


「ミユちゃんからどうぞ。」


「……あー、ハイハイ。」


自己犠牲の塊であるコイツが先にやるわけないよね、うん。

ヒンヤリと冷たい水晶に触れれば、目の前が白い光に包まれた。


---


名前  ミユ・ヤシロ

性別  女

種族  人間

歳   17


体力  3000

魔力  100000


火属適性 30%

水属適性 12%

風属適性 98%

土属適性 44%

光属適性 21%

闇属適性 28%

無属適性 42%


加護  <心の声が分かる> <宝玉の光> <???の呪い>


---


目の前に浮かぶのは銀の文字。

なんか、前と若干違う!? <???の呪い>って何ソレ怖い。文字化けして読めないんだけど。


「ギルドカードを発行する際に見られたくない項目がある場合は、今のうちに隠してくださいねー。」


うーん。そのままで良いかー。……受付さんの心をチラッと読めば、呪いってやつは多々ある事らしいし。呪いといっても完全に悪であることは滅多にない。その人を守ってる事も多いとか。……なら、放っといても良いじゃん。


「大丈夫です。」


「はいー。」


目の前から光が消えて、今いる景色へ戻ってきた。……それより。



「……ねぇ、ポチ。麻美花達がこっち来るみたいなんだけど。」


受付さんが処理しに席を外した間に、私は彼に告げた。

――さっき受付さんの心を覗いた時、外から流れ込んで来た声の中に麻美花の声があったんだよね。……正直、受付さんの心を覗かなかったら気付かないままだった。


「……だから今日、ギルド行こうなんて言い出したんだ?計画通りってやつ?」


「は?」


「……うん?」


え、どしたの?



「……俺、そんな詳しく未来を知ってる訳じゃねーんだけど。」


不思議に思って彼の顔を見上げれば、口をポカンってして固まってる。……え、ちょっと。素が出てるよ、素が!!



「次、どうぞー。」


「……マジかよ。今、鉢合わせるのはマズイだろ。」


なんか、戻ってきた受付さんの声が聞こえてないみたいなんですけどー。



「ポチ、水晶。」


「…………あ。あぁ。」



彼女達がギルド内に入って来たのとほぼ同時。

彼が触れた水晶が赤い光を放つ。



「……あ、これアレか。」


赤い光で我に返ったらしいポチは、何かやらかしたらしい苦い顔。

受付さんも微妙な顔。


「えっ。……えぇと。」


……ふむふむ。水晶が赤く光るのは、大抵犯罪者なんだ?

もう一度、受付さんの心を読んでみたらそんな新情報が。


――塔に行った後くらいから読心術、何か調節利くようになったんだよねぇ。知らない間に何かあったのかね?……まぁ、無条件に周囲の声を拾い続けなくなった分、かなり有り難いよね。あー、でも麻美花達が来てた事に気付けなかったのは痛いか。もし物陰に隠れて私達を狙ってる人が居たりしたら、何かあるまで気付けないじゃん。……一長一短かぁー。




「えぇと、あの、…………あっ!」


思わぬ犯罪者との遭遇に怯えてた受付さんは、ふと何かを思い出したみたい。


「……黄色い瞳、青い髪。……あの、『朝焼けのシロツメ草』という言葉に心当たりはありませんか?」


「……げ。マジかよ。……あ、知りません。」


いや、絶対知ってるでしょ!――受付さんも同じ結論に辿り着いたっぽい。……まぁそうだよね、普通に気付くよね。



「フィッスノー様から話は伺っております。少々込み入った話になるそうなので此方へどうぞ。」


そう言って、受付さんは受付の一番端にある扉から私達を招き入れた。急に畏まった感じ。

……え。何なの?何したの、ポチ?




ユ 「……帰りてぇ。」

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