夢の中の歪んだ昔の話。
シリアスな新章です。
……え、忠告いる?いらないか。
鬱々としているのがデフォルトなんだから。
※女は4人居ます。
「死ね!死ね!死ねぇ!!」
振るわれる長剣。飛び散る鮮血。
「ウザイ、逃げんな。クズは大人しく死んどけ!!」
「サクッと死んでもらえたら、私はとっても嬉しいです!」
「もう諦めて、早く楽になろうよ~。ね?」
四方向から向けられる殺意。
重い体。
肩、腕、腹、足。
避けようとしても避けきれず、真っ赤な血が飛び散る。
現実を理解できない。理解したくない。
意識はフワフワとしたまま、それでも死にたくないから振るわれる刃を必死に避ける。
「皆、取り敢えず落ち着けよ!なんだよ!一体何だってんだ!」
「死ね、死ね、死ね、死ね!」
「今更、無様ですね!貴方が私達へ掛けた呪いは、もう解けちゃいましたよ。」
「君の計画は、もうこれでおしまーい。」
「ざまぁ~?」
悪魔を幻視した。
こいつらが俺に、こんな嘲笑を向ける訳がない。
きっと、質の悪い悪戯だ。
「な、なぁ。からかうのは止めてくれ。これ以上は洒落にならねぇぞ。」
「ふーん。××君ってば、まだそんな冗談言えるんだ?」
――が妖艶に笑む。
「何が、っ!?」
背中がカッと熱くなり、数秒ほど遅れて激痛が走る。
後ろから斬られた事を脳が認識するのに、さらに数秒を要した。
「××さん。いい加減、正体を現したらどうですか?じゃないと、言い訳聞く前に殺してしまいます。」
「……だから、何がどうなってんだよ!!ぐっ。」
腹にも熱を感じ、見れば腹から短剣の柄が生えていた。
訳が分からない。
理解しようにも血が足りないらしい、頭は働かず体を動かす度にクラクラする。
でも取り敢えず、このままだと死ぬ事くらいは分かる。
「落ち着け、落ち着けよ!!」
叫ぶ言葉の矛先は彼女達か、はたまた自分か。
俺は既に隙だらけ。四方から迫る攻撃は避けきれる訳がなく、浅くない傷を何十と作る。
「ねぇ。じっくりと、教えてあげようか。君のした事。」
氷の様に冷たい言葉が背筋を這う。思わず後退れば、踵が壁にコツンと当たった。
振り返ればそこは壁。追い詰められ、俺に逃げ場は無い。
ヘナヘナとその場に座り込んだ俺の首元に長剣が突き付けられた。
「貴方はね、私達を騙したの。」
「貴方は私達に、魅了の呪いを掛けましたよね?」
「君は私達を自在に操って、欲望の吐け口にした。」
「うっかり、罠に嵌っちゃったね~。」
「でも、もう呪いは解いてもらったわ。」
「貴方の計画は、もう終わりです。」
「私達はもう自由なの。貴方の言いなりにはならないの。分かる?」
「××を殺して、自由になるんだよ~。」
「だから死ね。」
「貴方は最低な男です。」
「クズ。この世のゴミ。」
「生きてる価値、無いよね~。」
言っている事はさっぱり分からない。彼女達がこんな事を言い出す心当たりもない。今朝何か、機嫌を損ねるような事をしただろうか?――駄目だ、頭が働かない。
「俺は君達が好きだ。この気持ちに偽りは無い。」
どうやら、彼女達は何か勘違いをしているらしい。……ただ、俺のこの気持ちだけは確かだ。この先、変わることはない。
「嘘つき。」
無機質な声が降ってきた。
同時に、全身を痛みが駆け巡る。
「嘘つき。」
「嘘つき。」
「嘘つき。」
今まで以上の鮮血が床を、壁を濡らす。
歪み、反響した声が俺の脳内で響く。
「嘘つき。」
「嘘つき。」
「嘘つき。」
「嘘つき。」
『違う!!!』 ――声が出ない。
「死ね。」
「死ね。」
「死ね。」
「死ね。」
死ね。死ね。死ね。死ね。
しね。しね。しね。しね。
シネ。シネ。シネ。シネ。――――
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「……これは、夢だ。」
窓の無い部屋で。
自分に言い聞かせるように、僕は呟いた。




