↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
腐った世界で異世界生活(ライフ)  作者: たんぽぽ
閑話章 彼が彼になる前の話。
140/154

夢の中の歪んだ昔の話。

シリアスな新章です。

……え、忠告いる?いらないか。

鬱々としているのがデフォルトなんだから。



※女は4人居ます。



「死ね!死ね!死ねぇ!!」


振るわれる長剣。飛び散る鮮血。


「ウザイ、逃げんな。クズは大人しく死んどけ!!」


「サクッと死んでもらえたら、私はとっても嬉しいです!」


「もう諦めて、早く楽になろうよ~。ね?」


四方向から向けられる殺意。

重い体。


肩、腕、腹、足。

避けようとしても避けきれず、真っ赤な血が飛び散る。


現実を理解できない。理解したくない。

意識はフワフワとしたまま、それでも死にたくないから振るわれる刃(やいば)を必死に避ける。



「皆、取り敢えず落ち着けよ!なんだよ!一体何だってんだ!」



「死ね、死ね、死ね、死ね!」


「今更、無様ですね!貴方が私達へ掛けた呪いは、もう解けちゃいましたよ。」


「君の計画は、もうこれでおしまーい。」


「ざまぁ~?」



悪魔を幻視した。

こいつらが俺に、こんな嘲笑(えがお)を向ける訳がない。

きっと、質の悪い悪戯だ。


「な、なぁ。からかうのは止めてくれ。これ以上は洒落にならねぇぞ。」



「ふーん。××君ってば、まだそんな冗談言えるんだ?」


――が妖艶に笑む。



「何が、っ!?」


背中がカッと熱くなり、数秒ほど遅れて激痛が走る。

後ろから斬られた事を脳が認識するのに、さらに数秒を要した。



「××さん。いい加減、正体を現したらどうですか?じゃないと、言い訳聞く前に殺してしまいます。」


「……だから、何がどうなってんだよ!!ぐっ。」


腹にも熱を感じ、見れば腹から短剣の柄が生えていた。


訳が分からない。

理解しようにも血が足りないらしい、頭は働かず体を動かす度にクラクラする。

でも取り敢えず、このままだと死ぬ事くらいは分かる。



「落ち着け、落ち着けよ!!」



叫ぶ言葉の矛先は彼女達か、はたまた自分か。


俺は既に隙だらけ。四方から迫る攻撃は避けきれる訳がなく、浅くない傷を何十と作る。




「ねぇ。じっくりと、教えてあげようか。君のした事。」


氷の様に冷たい言葉が背筋を這う。思わず後退れば、踵が壁にコツンと当たった。


振り返ればそこは壁。追い詰められ、俺に逃げ場は無い。

ヘナヘナとその場に座り込んだ俺の首元に長剣が突き付けられた。



「貴方はね、私達を騙したの。」


「貴方は私達に、魅了の呪いを掛けましたよね?」


「君は私達を自在に操って、欲望の吐け口にした。」


「うっかり、罠に嵌っちゃったね~。」


「でも、もう呪いは解いてもらったわ。」


「貴方の計画は、もう終わりです。」


「私達はもう自由なの。貴方の言いなりにはならないの。分かる?」


「××を殺して、自由になるんだよ~。」


「だから死ね。」


「貴方は最低な男です。」


「クズ。この世のゴミ。」


「生きてる価値、無いよね~。」



言っている事はさっぱり分からない。彼女達がこんな事を言い出す心当たりもない。今朝何か、機嫌を損ねるような事をしただろうか?――駄目だ、頭が働かない。



「俺は君達が好きだ。この気持ちに偽りは無い。」


どうやら、彼女達は何か勘違いをしているらしい。……ただ、俺のこの気持ちだけは確かだ。この先、変わることはない。



「嘘つき。」


無機質な声が降ってきた。

同時に、全身を痛みが駆け巡る。



「嘘つき。」


「嘘つき。」


「嘘つき。」



今まで以上の鮮血が床を、壁を濡らす。

歪み、反響した声が俺の脳内で響く。



「嘘つき。」


「嘘つき。」


「嘘つき。」


「嘘つき。」



『違う!!!』 ――声が出ない。



「死ね。」


「死ね。」


「死ね。」


「死ね。」


死ね。死ね。死ね。死ね。

しね。しね。しね。しね。

シネ。シネ。シネ。シネ。――――










----------




「……これは、夢だ。」



窓の無い部屋で。

自分に言い聞かせるように、僕は呟いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。