ガンガン
書いてて、若干グロいかな?とか思ったけど、読み返してみれば全然グロくなかった。掠りもグロくなかった。
そんな程度のグロ描写あり。
あと、書いてる時には気付かなかった程度のR15?BL?要素あり。
雲一つ無い青空の下。
一面が真っ白な雪野原。
葉の落ちた茶色の木々、その隙間から微かに覗くのは、あの黒い塔。
「何を見ているのですか?」
後ろから彼にそっと近付いた私は、静かに声を掛けました。
しかし斎藤くんは答えません。その眠そうな瞳は何を映しているのでしょう?
真冬の冷たい風が、私のすぐ側を駆け抜けます。
「今日は、綺麗な青空ですねぇ。」
ボーっと頭上を眺め続ける彼の視線の先には、真っ青な空。…………あの本当に、何を見ているんですか?鳥は飛んでいませんし、雲一つありませんよ。何が面白いのですか?見つめ続けても、何も変化しませんよ。……首痛くなりませんか?それに、上を向き過ぎてひっくり返ったりしないでくださいね?
「……青、空?」
おや。この様子は『ヒーくん』でしたか。
――美代ちゃんに軽く事情を説明した所、やはり害は無さそうだとの事です。
美代ちゃん曰く、『……何て言うのかな、こう……裏で優しく見守ってる、もう一人の自分……みたいな?……守護霊?……とは少し規模が違うんだけど、……表の力が弱まるか裏の力が強まったせいで、裏の人格?が表に出て来てる……んだと思うよ?』だそうです。
例の塔へ入る前に雛菊ちゃんが同じ様な状態になったそうですが、それは裏の人格こと『リアちゃん』さんの意思が強まったからだという結論が出ています。
美代ちゃん曰く、斎藤くんも恐らくその状態なのだと。
解決には、弱っている斎藤くんが完全回復するか、強い意思を持った『ヒーくん』が満足するまで待つしか無いそうです。
「……青い、空?」
「どうかしましたか?」
おやや?何か様子が変ですね。
「あっ。」
――おっと、危ないです。
ボーっと突っ立っていた斎藤くんが突如、ユラリとよろめきました。
咄嗟に私の『勘』が反応し支えることが出来た為、彼が倒れる事はありませんでしたが、……大丈夫でしょうか?もしかして首取れました?取れてませんね、良かったです。
「あの、……だi」
私の掛けようとした言葉を遮り、彼は額に手を当てボソリと呟きました。
「……青空はダメだろ。」
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<side change>
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明かり一つ無い、真っ暗な空間。氷の様に冷たい床。大人が二人大の字で寝転がれそうな程の、無駄に広い部屋。
俺はその場所で、背中をつけた壁に全体重を預け、ただボンヤリと座っていた。
時折聞こえる悲鳴や泣き声。怒声と金属音。――それが日常。
左側に顔を向ける俺。耳元で、鎖が擦れる音がした。
ここからは遥か遠い場所にある部屋で。
小さな女の子が泣いていた。
か細い腕には酷に思える程無骨な鉄の枷。ボロボロな上、大量の血液で汚れた服。血溜まりの床。痛みと恐怖と絶望の叫び。部屋の隅には邪魔だとばかりに切り捨てられた少女の右足が転がっている。
大の大人に押さえ付けられ、それでも必死で暴れ、叫ぶ少女。
…………。
――俺は無感情のまま、視線を正面へとスライドさせる。
この場所からは何十枚も壁を隔てた場所で。
狂った女性は笑っていた。
天井から吊るされ、鞭打たれる女性。服は破けて原型を留めてすらいない。虚ろな瞳。乾いた音に痛みの呻きすら上げず、その口の端から漏れるのは理性の無い笑い声。ククク……ククク……と狂っている。そんな女性を囲む男性らは、産まれたままの姿である女性にニヤついた笑みすらも浮かべる事はなく、ただ事務的に、無感情に、与えられた仕事をこなす。理性のぶっ壊れた人形に、大して価値なんて無いから。
――俺は視線を右へ移す。
隣の隣の、もっとずっと隣の部屋で。
臆病な男の子は犯されていた。
汚い床に這いつくばり、ただジッと、行為が終わるのを待つ。涙を浮かべて奥歯を噛み締め、必死に耐える。男が男を犯す図。他から見れば異質だろうが、ここでは当たり前の事。
研究員達は女だろうと男だろうと構わず犯す。そうしてデータが得られるなら儲け物。結局僕らは、ただ嬲られ犯され蹴られ踊らされる、モルモットでしかない。
――俺はまた視線を動かし、今度は床を見つめる。
僕の血と、僕の吐瀉物の染み込んだ床。誰かが綺麗にしてくれるけど、でもやっぱり斑模様になる。
――また、鎖の擦れる音がした。
上に視線を向ければ、天井には何十もの突起。
あそこに道具を引っ掛けて、吊るしたり吊るされたり。
――またジャラリと不快な音。
それは僕の耳の、すぐそばで。
床から生える4本の鎖。
床とは反対の先っぽは、僕の手足へ繋がっている。
僕の凭れる壁からも、鎖が一本生えている。それが絡み付く先はもちろん、僕の首。
僕が身動ぎする度に、鎖は擦れて音を立てる。
だから。
こんな広い部屋だけど、僕はこの位置から動けない。
この建物に響く悲鳴も嗚咽も嘲い声も聴こえるし、泣き顔も恐怖も見えるけど。
……僕はただの傍観者にしかなれない。
――また、鎖が擦れる音。
何か声が聞こえたような気がした俺は、後ろを振り向いた。
背中側。硬質な壁の向こうには。
――灰色の、狭い空が見えたんだ。
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「……青空はダメだろ。」
無意識にこぼれた言葉。一瞬で意識は覚醒する。
「……あの、大丈夫……ですか?」
どこかで聞き覚えのある声。
「……あぁ。」
気のない返事と共に顔を上げれば、水色の瞳がそこにはあった。
「……。」
「……ハッ!」
「……近っ!!」
俺が声を上げるより、ミーリャが離れる方が先だった。
「……。」
「……ぁぁぅ。ご、ごめんなさい。斎藤君が倒れそうになったので、つい。」
「おぉぅ。悪ぃ。」
「あ、はい。」
気が弱いのか、ミーリャは俯いた。
俺は彼女から視線を外し、周りを見渡す。
「また外、か。」
最近、気が付くと見覚えのない場所にいることが多い。
そして大抵、近くにはミーリャがいる。
「……あの、『青空はダメ』って……どういう事か覚えていますか?」
「ん?……んー?」
『青空はダメ』……言われてみれば、そんな事を呟いた気がする。――でも。
「……わからん。」
さっきまで夢を見ていたことは覚えている。
だが、内容をハッキリとは覚えていない。記憶が黒い靄に包まれている。
「そうですか……。」
ミーリャは何か思案顔。
「……ちなみに、夕焼けはどうですか?ダメですか?」
「んー?……夕焼けくらいなら良いんじゃね?一応綺麗だし?」
「なるほど。」
そう言いつつも、何かを考えている風なのは変わらない。
「とりあえず、家に戻りましょうか。寒いですし。」
「そうだな。」
ミーリャに促され、俺らは家へ帰ることにした。
やっと優馬君視点に戻れたよ!年内に戻れた。頑張ったっ。
あ、夢の中の『僕』と『俺』は別人だよ?




