ユルユル
斎藤くんに変化が起きたのは、ララさんが帰ってきてから2日後の事です。
お昼の後。特にする事も無くやっぱり暇になった私は、また彼の寝ている部屋へ来ていました。
部屋に入った時。彼はベッドから体を起こし、窓の外を見ていました。
さも、いつもの如く。それが当たり前の光景であるように。
窓から入る日差しに彼の髪が反射し、キラキラと輝きます。
……ハッ!
私は慌てて下階へ戻り、ララさんへと報告しました。
「へぇ……。」
相変わらず、何を考えているのか分からない――いえ、“何も考えていない”と私の勘は言っていますが――ララさんを連れ、二階へと上がりました。
途中、もしかしたら幻覚を見ていたのかもしれないという錯覚に陥りましたが、無事斎藤君は目を覚ましています。
「……くー。」
ポカポカの日差しに、早速立ち寝を始めたララさんは取り敢えず放置し、私は斎藤君の方へ近寄ります。……ビ、ビクビクなんてしてませんよ!えぇ。
「おはようございます。お身体大丈夫ですか?」
あれ?今は『こんにちは。』の時間ですよね?……はぅぅ!(恥)
「……。」
外を見ていた視線がゆっくりと私の方を向きます。私の顔を見、兎耳を見、そのまま視線は足元へ移動し、また上へ戻り最後には私の豊満(笑)な胸へと視線が固定されます。
……はゎゎ。そ、そんなに見つめても、触らせてあげませんよ!?……ほほほら、男性の手のひらは大きいですから、私のでは少し物足りないかもしれませんからね。――え?別に良い?男の胸と大して変わらない?っていうか固そう?……いえいえ、そんな事はありません。触ればきっと分かります。とても柔らかいですよぉ〜。……柔らかいです。柔らかい筈です。……きっと。恐らく。……柔らかければ良いなぁ。
――あ、あの、お願いですからそんな目で見ないでください。胸が凹んでしまいます。
無表情の斎藤君が『何してんの、コイツ。』って目で見てきます。……嘘です。ごめんなさい。
真面目な話、彼の目は焦点が合っていない様子。私の胸の辺りを凝視しているのは、私の胸の凹み具合を観察している訳ではなく、単に横を向いた時に視線の位置が胸の辺りだったというだけでしょう。私の胸にはそんなにも魅力が無いのでしょうか!?
「……まぜまぜ、途中?」
ひゃわ!?わゎゎ。
いつの間に起きていたのですか?ララさん。
「……う、ん。」
ララさんの声に反応した斎藤君は、ゆっくりとララさんの方を振り向き頷きました。
……ララさんの言葉にはちゃんと反応するのですか?……もしや胸の有無だったり!?――ふむふむ。ララさんってば、見た目以上にありそうですね、コレ。……ハッ!私は一体何を!?
「……たくさん寝て、ゆっくりしていいよ。のーんびり待ってるから。」
「……。」
斎藤君はまた、窓の外へ視線を戻してしまいました。
『勘』で補填してもララさんの言葉の意味は分かりません。説明を求めても無駄でしょう。
ですが根拠の無い勘曰く、取り敢えず今日は斎藤君を一人にしてあげた方が良さそうです。
彼はまだ本調子には程遠く、回復するには時間が掛かりそうですねぇ。
それまでに、少しでも胸を大きくしなければなりません。最低限、斎藤君の目に留まる位に!
……胸は、揉めば大きくなるのですよね?摘まむ事は揉むのと同じ事ですか??(必死)




