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腐った世界で異世界生活(ライフ)  作者: たんぽぽ
第6章 微かな鈴の音
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ポンポン

ポンポン→毛糸の帽子に付いてる丸いやつ。

ショートカットの赤毛に蒼眼のニャルさん。

頭に生えた小さな猫耳は、髪の流れに上手く隠されています。


エメラルド色の長髪を後ろで束ねたスレイさん。キリッとしたオレンジ色の瞳に和風な服装。侍みたいです。……しかし、口調は普通の様です。『拙者は』とか似合いそうなのにー。


最後の一人はシュツライン・アティオさん。水色の髪にレモン色の瞳。……ユアンスさんっぽいです。

いえ。髪色はユアンスさんに比べてかなり明るい色ですし、瞳はユアンスさんのように優しげに垂れてはいません。

しかし、……何と言うか、雰囲気が似ている気がするのです。パッと見の雰囲気は全然違いますが、根底が同じに思えるのです。



朝ご飯が終わった所で昨日の話を詳しく聞いたのですが、どうやらこのシュツラインさんことシュラさんが、塔の周りに倒れていた私達をここへ運んでくれた様です。

――その時には既に、ユアンスさんと美結ちゃんはいなかったそうです。やはりはぐれたのでしょう。


この家はララさんと言う方の家ですが、彼女が数日出掛けている間ニャルさんがここに来て、家の事をしているそうです。

私が『迷惑なら出ていきますが……。』と言えば、ニャルさんに『ララが帰って来るまではここに居て欲しいニャー!』と泣き付かれました。……雛菊ちゃんが。

ニャルさん、正直家事は好きではないそうです。雛菊ちゃんに任せたいのですね、分かります。



スレイさんは、ニャルさんとよくこの家に来るそうで、今回も同様遊びに来た様子。


シュラさんは騎士団に所属しているそうで、普段は寮に寝泊まりしているらしいです。しかし昨日は私達の事もあり、ここに一泊したそうです。





人の寄り付かない塔。

“何故そんな場所に倒れていたのか。”そう、厳しい顔のシュラさんに聞かれました。


「んー。その近くに転移で飛ばされたから?」と、疑問形の美代ちゃん。


「シー君に会う為?」と、雛菊ちゃん。


「ユアンスさんが塔に行きたがっていた為中に入ったのですが、最上階にて塔が崩れてしまい、私達は落ちて気を失っていたのかと。」と、私。


そんな私の言葉に、『行きたがっていた、だと……?』と、シュラさんは思わずといった感じに聞き返してきました。――顰めっ面で。



「何か気にかかる事でもあるのですか……?」


私は気になって聞いてみたのですが、シュラさんは『何でもない。』と。

……まぁ、そうは言われても気になるのですがね。確実に何かありますので。勘的に。



「*****。」


シュラさんが呟きました。

独り言でしょう。通訳もされません。


勘で訳せば、『……怪我は無さそうか。』という感じですかね?私達に怪我の無い事に安堵しているように思います。

そこへ。


ボーン、ボーンと。


時計が6時を告げました。


『そろそろ行ってくる。』と、シュラさん。騎士団へ出勤する時間の様です。


聞きたい事はありますが、仕方ありません。またの機会に。




----------



シュラさんが出掛けたのが切っ掛けでしょうか?慌ただしく一日がスタートしました。

ニャルさんは雛菊ちゃんを連れ込み、手始めに朝ごはんの片付け方を教え始めます。スレイさんは外へ素振りに。


私と美代ちゃんは……何しましょう?


「スレイさんと同じように、軽く運動でもしましょうか?」


ダラけた末に鈍ってもいけませんし……。


「んー。私はそんな気分じゃないなー。」


「そうですか。」


やはり、美結ちゃんの事が心配なのでしょう。……私が異常なだけで、これが普通かと。



……あ。良い事思い付きました。


「しばらく、ボーッとしましょう。」





----------




小さな桶とタオルを2枚貸して貰い、私達は2階のとある一室を訪れました。


一面雪景色の絶景が見渡せる大きな窓のそばにはベッドが一つ。


魔術を用いて桶に水を張り、一部を凍らせて氷水を作ります。そこへタオルを浸した後、しっかりと絞ってから彼の額へ乗せました。


「綺麗ですねー。」


「だねぇー。」


窓の方へ視線を向けた私は思わず呟きました。日光を反射し、キラキラと輝く新雪が綺麗です。



ボーッと。


時折彼のタオルを代えつつ、ひたすらにボーッとします。


――まぁ、無意味なのですけど。


無意味です。全部が無意味です。



シュラさんに軽く見てもらった結果。

原因不明。治癒魔法も効きません。少し齧った程度の知識しかない彼では、斎藤君を別室に移し、汎用性の高い治療魔法を部屋全体に掛ける程度しか出来ません。


原因を取り除かなければ、熱も下がりません。ですから、氷水にタオルを浸しては絞り、彼の額に乗せる作業に意味なんてありません。

無意味です。こんな時間に意味なんてありません。


無意味な時間を、私達は過ごします。


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