やっと、終わりかよ。
【全員集合】
― 優馬side ―
「図書館出て、古い学校みたいな廊下歩いてたハズなんだけどなぁ。」
俺らが出てきた青い扉が、いつの間にか消えた廊下。
扉を出て左側は突き当たりの壁で、右側にしか先は続いていない。
「かなり無理矢理の空間移動でしたしね……。」
美代のボヤきに、ミーリャが相づちを打った。
「あ……そういえば、ユアンスさん大丈夫かなぁ?何か調子悪そうだったんだよねー。」
「……ひぁ!?マジですか?ぁ、ゎゎ。だ、だ、大丈夫でしょうか?心配です。」
――あ、そういや俺も、なんか体がダルい。
使い魔召喚の長蛇の列並んで、順番が来たと思ったらワケ分からないまま白くなって、目を覚ませば知らない場所で、なんとなくで入ったワケ分からない建物を彷徨い、時に全力疾走したり重いものを運んだり。……酷い一日だよな。
「ミーリャちゃん、慌て過ぎ。」
「だ、だって、すごく心配ですし……。」
「うぉ!?」
背中に強い衝撃を受け、俺は少し前のめりになる。
壁に凭れていたハズなんだが……、その何もない壁から誰かが飛び出してきていた。
「あれ?麻美ちゃんの使い魔の、妖精さんだよね?」
そこにいたのは白い服の、半分透き通った女性。
「あ、はい……。」
美代の言葉に小さく頷いた彼女は、ショックで混乱中みたいな表情で壁を見つめる。
「あの、何かあったんですか?」
「……なんでも無いですよー!」
ミーリャに心配されてクルリと振り向く彼女は、何でもないような笑顔で笑う。
けどなんか俺には、その笑顔の中に強い何かを宿らせているような気がした。
その後すぐに『この場所はどうも辛いですねー。』『貴方、シュラの魔力に似てますね。ちょっと体借りますよー。』とか言って、何か俺の中に入っていった。……入ってくるとき、何も感じなかったけどさ。
「実体がないのー?」
「なら、何故あの時だけ偽ご主人様にぶつかったのでしょう?」
「うーん。秘密ですねー。」
とかなんか、服の中の妖精らと白服女性が、よく分からない事話してた。
----------
「ユアンスさんと珠乃くんですか?うーん……。」
「ほら、『やらねぇのか?なら……』って感じに脅されて、渋々……的な!」
「あらら……。不思議と有りかもしれません。」
「……誰だよ、珠乃。」
「某アニメに出てくる俺様君です。」
不穏な会話に若干引きつつ、知らぬ名を呟けば、よく分からない返答が返ってきた。
「しかし、珠乃君と夢斗君の方が私は萌えますね。」
「男の娘夢斗君可愛いよね!!リボン着けたい!ワンピース着せたい!」
「ぐぁ……。」
今度も何かが、俺に突っ込んできた。
「……グスッ。……ヒグッ。うわぁーん!!」
「ま、麻美ちゃん?大丈夫?」
「……私、恨んでた!……ヒグッ。お母さんと約束したのに。……恨まないでって言われたのに、……忘れて、恨んでた!!……ヒグッ。」
取り乱したように泣き喚く雛菊。……俺に凭れるな、重い。
「……にしても、こいつの母親がどうかしたのか?」
何となく俺が聞けば、美代とミーリャの二人は気まずそうに俯く。
「……雛菊ちゃんのお母さんは、雛菊ちゃんが中学二年の時に病気で亡くなっているんですよ。」
「へぇ。」
だから何だろう?意味不明。
「……ヒグッ。……ぅぅ。……私、恨んでた。……私。」
俺の腹にグリグリと頭を押し付け、泣く彼女。俺は無意識にその背中を、そっと撫でていた。
----------
「うちのお父さんはね、滅茶苦茶影薄いよ。ついでに髪も?(笑)あ、でも意外としっかりしてたり……。ミーリャちゃん家は?」
「家ですか?……うーん、典型的な“優しいお母さんと、しっかりもののお父さん”って感じでしょうか?少しだけ厳しかったですけど。」
「え?なのに、苦手だったの?」
「はい……。な、なんか、いつも無言のプレッシャーを感じていたんです。だから、いつも良い子を演じていて。……いや、強制じゃないんですけどね?私の気のせいで、勝手に勘違いして勝手に苦しんでいただけかもしれません。」
「大変だったんだねぇ。」
「いや、私が至らない人間というだけの事ですし……。」
「ミーリャ。……そんなに自分を卑下しなくていいんだよ。」
コツコツという軽い足音と共に近づき、女子二人の会話に混ざる奴が一人。
「ユ、ユアンスさ……ん?」
「うわっ。更にやつれてるっ!!」
「大丈夫ですか!?何かあったんですか!?」
二人はユアンスに駆け寄り、ペタペタとアイツの状態を確認する。
「んー、ちょっとね……。」
「『ちょっと……』じゃないですよ!どう見たって!!」
俺の目からは、『ちょっと疲れてそうだなー。』程度にしか見えないのだが……。
「……まぁ、平常心を失っていたとはいえあんなことを口走るなんて、……正直言えば結構ビックリかな、なんて。……ね?ユウマ君。」
ウインクされた。気持ち悪い。
悲しくて同情的な光を宿す視線がなんか意味あり気なんだが、……全然分からん。
「ほら、『アイツは悪くない』……からね?」
フッ。と薄く笑うアイツは俺から視線を外すと、未だにグズっている雛菊を見た。
「ねぇ、マミカちゃん。一つ聞いても良いかな?」
「……?グスッ。」
雛菊は顔を上げ、『何?』と首を傾げて見せる。
「君、『お母さんを守れなかった』って言ってたよね?」
「(コクン)」
「……でもそれってさ、後付けじゃないのかなぁ?って思うんだ。」
「……?……ヒグッ。」
意味が分からないと言いたげに、雛菊はまた首を傾げる。
「あの子の強い思いは、『大切な人を守れなかった』事。その思いは彼女の物だけど、彼女の存在を知らない君はその感情を自分の物だと認識した。」
「……っ!ヒッグ。」
「君にとっての大切な人――つまりは、『お母さんを守れなかった』と。」
意味不明。ワケ分からん。何の話だ?
「でもあの子は、君がそんな風に勘違いした感情で、自分の事を責めるのは望まないだろうから、今、訂正しておく。 “君は『お母さんを守れなかった』とは、思っていない。”」
「ユアンスさん。それ雛菊ちゃんの、お母さんに対する大好きって思いまで、嘘だって言ってる様に聞こえますよ?」
「……ごめん、言葉の綾だよ。」
「ヒグ……で、でも私、お父さんの事恨んでた!『恨まないで』って約束したのに。」
「……母親が死んだショックと、親戚らによる君の両親へ嫌味。そのストレスの矛先が、そこにいない父親に向いてしまっただけなんじゃないかな?」
「……ヒグッ。」
俺の服を掴む雛菊の手に、力が入る。図星って感じか??話、見えねーけど。
「……なんか、決め付け過ぎじゃないですか?ユアンスさん。」
ミーリャの冷たい声が響く。
「そこは、部外者が口出す事じゃ無いでしょう?」
「……ごめん。……でも僕は、君達に自分を責めて欲しくない。……みんな頑張り屋さんの良い娘なのに。 かっこ、ユウマ君除く、かっこ閉じ。」
「……アンタは自分を責めるクセに、そういう事言う?」
後方から飛んできた声に振り返れば、そこには美結。
彼女の背後にある突き当たりの壁には、いつの間にか茶色い扉があった。
「……優馬くんの除外はやっぱりみんなスルーなんだ。」
美代がなんか呟いてるけど、興味ない。
「ほら、僕は悪い子だからさ?反省するのは大事だよね。」
「……テキトーに言ってみたら図星だった件w でもまぁ……。」
語尾を濁す美結は、ミーリャを見る。
「ユ、ユアンスさんだって、頑張り屋の良い人だと思いますよっ!!」
「……だって、さ。アンタと同じ事思ってる人もいるみたい?」
「…………そっか。」
必死に訴えるミーリャに、ユアンスは優しく微笑む。
ミーリャもユアンスの笑みに『ふふっ♪』と頬を緩ませる。
――でも俺にはアイツの微笑みが何か……変に見えた。
なんだろうな、さっきから感じる妙な違和感。
----------
「……ほら、そろそろ行くよ。」
ユアンスが呼び掛けクルリと背を向けると、自分が案内すると言いたげに廊下の先へと歩き出す。
それに俺らもついていく。ちなみに、もう雛菊は立ち直った。
しばらく歩けば廊下の突き当たりは階段になっていた。
広い廊下と違い、人一人がやっと通れそうな幅の階段。
上に続いていて先は真っ暗で何も見えない。
ゾワリとした。嫌なものを感じた気がした。だが、気のせいだろう。
嫌な感覚は忘れることにして、俺は階段を上った。
----------
辿り着いた場所は、床が円形の小さな部屋。
部屋は薄暗く、黒っぽい壁に散りばめられた色とりどりの光が、淡くぼんやりと輝いている。
部屋の中心には、何やら石製の台座。
近付いてみると、台座の上には展示物の様に斜めに立て掛けてある石板。光の少ない部屋の中ででも、表面がツルリと輝いて見える。
そして台座には、ビー玉の様な小さい光る丸いものが7つ。それぞれ、ピンク・赤・オレンジ・黄色・緑・青・紫。
よく見ると石板の左隅には縦に並んだ7つの窪みがあり、そこにはこのビー玉っぽいやつをはめられそうである。
「また、ヒントのない謎解きなの?」
「……いや。」
『面倒臭そうだなぁ』という美結の呟きを、ユアンスが否定する。
そして彼はひょいひょいと手を動かし、色石を石板にはめていった。
黄色い玉を一番上の窪みへ。
ピンクの玉を2番目の窪みへ。
オレンジの玉を3番目の窪みへ。
青い玉を4番目の窪みへ。
紫色の玉を5番目の窪みへ。
赤い玉を6番目の窪みへ。
緑色の玉を7番目の窪みへ入れた。
「わぁ!ねぇ、なんでなんで?どういうルールの答えなの?」
正しくビー玉が入ったらしい。
正解とでも言いたげに、白い光を放つ石板。
石板の変化に声を上げた美代が珍しく、『なんでなんで?』とユアンスに解説を求める。――が、彼は答えようとしない。
石板の光は強弱を増していく。黒い壁を舐め回し、周りから覗き込むみんなの顔を白い光で照らしていく。そして――
「何、これ?」
徐々に弱まっていった光は、最後にはスゥーと消えていった。
改めて見る石板には、7行に渡って掘られた文字。
それはピッタリ、ユアンスのはめた色石の横に羅列していた。
「何?この傷。」
「……え?読めねぇのか?」
掘られた文字の羅列。
石板をつまらなそうに突つく美結に、思わず俺は声を上げていた。
「ふぅん。クソ虫は読めるんだ……。」
「……まぁな。」
途中までだが。
「ねぇ、ミーリャ。」
ユアンスが口を開く。
「はい……?」
「ミーリャはコレ、全部読めるよね?」
「……は、はい。……あ、いえ。読めないですけど、なぜか勘でわかります。」
そう答えるミーリャの表情は、少し固い。
そんな彼女の答えに『ふぅん。』と呟くユアンスは、一番下の傷を指で撫でていく。
「僕はここだけ読めない。……けど、見当は付く。」
ふと顔を上げたユアンスは、後ろに引っ付いているミーリャを見て、優しげに微笑む。
「出来ればこの文字、君の心の中に隠しておいてほしいかな……。」
「……わかってますよ。」
「そっか、ありがとう。」
フワリと笑うユアンスは、視線を石板に戻した。
「……あの。何て書いてあるのか、聞いちゃダメですか?」
恐る恐る聞いてくるのは雛菊。
ユアンスとミーリャのやり取りから、聞いてはいけなさそうだと分かっていながら、それでも気になるらしい。
「……ユウマくんが読める範囲でならどうぞ。」
素っ気なく、ユアンスは石板を見つめながら、それでも瞳には優しげな光を灯す。
彼の答えを受け、美結美代雛菊の3人が興味津々でこちらを見た。
――仕方無ぇな。
「一段目、スィーラン・メアグ。二段目、熊木直弓。……俺に読めるのはそこだけだ。」
嘘ついた。……本当は三段目も読める。だが、なんとなく教えたくはなかった。
「人の……名前?」
「だろうな。しかも、2番目の奴は漢字だ。」
「熊木直弓さん……ですか。」
「ふぇ!?」
急に声を上げ、俺の服から飛び出して来たのは、巻き髪妖精ヒィリ。
「なぉなぉ?」
「ん?知ってるのか?」
「ナオ様は、私達のご主人様です。」
ヒィリに俺が聞き返すと、質問に答えたのは後から顔を覗かせたショコラだった。
「あれ。ヒィリにショコラ。……久しぶり、かな?」
そう声を掛けたのはユアンス。
「にゅ?」
「ま、覚えていなくても無理無いよな。何せ――だし。」
語尾が独り言っぽくなりながら、ヒィリとショコラを摘まむユアンス。
――その時。
「え?」
赤く禍々しい光が、皆の顔を撫でる。
光を発するのは、石板に刻まれた文字達。
禍々しく、何かを伝えるように力強く輝きを放つ。
「……ゆ、ユアンスさん?」
誰かが呟いた。
『どうかしたのだろうか?』と顔を上げ、ユアンスを見る。
普段はレモン色のその瞳。
しかし今は、鮮血のような真っ赤に染まっていた。
彼は声に気付いていないのか驚愕という表情を浮かべて、石板を真剣に見つめていた。
俺もまた、ユアンスにつられるようにして石板に目を落とす。
『椎名優馬』
禍々しく光る3段目の赤い文字。里親の元へ行く前の、昔の俺の名前。
――耳の中で声が響く。
『……生まなきゃよかった。』
――嫌ッ。
咄嗟の拒否反応。
耳を押さえ、踞る。
ツゥと背筋が凍った。
心の奥底、泥沼の中に沈めて忘れ去ったハズの『声』が、今更ながら息を吹き返す。
まだ若い、女性の声。
俺を捨てた、あの人の声。
唯一覚えている、母親の声。
当時は言葉の意味なんてわからなかった。
それでも言葉の響きだけが、耳に張り付いて消えなかった。
言葉の意味を理解できた時、俺のナニかは壊れた。
水をたくさんに溜め込んだダムが、塞き止めていたものがなくなると同時に勢い良く溢れ出した様。
僕は、他人を心の奥では信じられなくなった。
他人が、僕を壊す大怪獣みたいに思えて怖くなった。
イラナイ僕はいつか殺され、そして誰にも助けてもらえないまま、みんなの笑顔の中で指さし嘲われ、弱っていく様を悦ばれながら死ぬんじゃないか?って気がしてきた。
どんなに助けを求めても、
どんなに手を伸ばしても、
誰もがみんな、僕を嘲る。僕を蔑む。
そんな気がした。
だからこそみんなから嫌われるのが嫌で、でも心の奥底から他人を信じることは出来なかったんだ。
――それでも。 昔、言われた。
『お前、暗いわー。』
『一緒に遊んでてもつまらない。』
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!
嫌われるのは嫌なんだよ。
一人ぼっちは嫌だよ。
冷たい視線も嫌だよ。
嘲われるのも嫌だよ。
だから僕は、道化を演じた。
仮面を被って、自分すらも欺いた。
信頼を得るのには時間が掛かるのに、裏切られるのはほんの一瞬。
時間を掛けて作った綺麗な硝子細工も、地面へ落とせばアッサリ砕け散る。
――そうならない様に。必死で。必死で。
『しー君、大丈夫だよ。』
意識が闇に落ちる寸前。
ふとそんな、懐かしい声が聞こえた気がした。
----------
―― ミーリャside ――
「……ゆ、ユアンスさん?」
“あの瞳を見てはいけない。”
直感でそう思うも、赤い光に染められてから身動きしないユアンスさんが心配で、顔を見上げてしまいました。
真っ赤に染まった瞳。
いつもの優しいレモン色の瞳とは対称的に真っ赤な瞳は禍々しく、狂気を帯びている気がしました。
彼の瞳をみた瞬間、スッと体が冷えて背筋に軽く悪寒が走った気がします。
怖くなって彼の服にしがみつき、ユサユサ揺らします。しかし揺れません。
彼は石像になったかのようにびくともしないのです。
見ると、斎藤くんは踞ってしまっています。
美結ちゃんと美代ちゃんもあの瞳を見てしまったのでしょう。俯き、具合が悪そうです。
雛菊ちゃんは平気なのでしょうか?ユアンスさんを見上げ続けています。
わ、私のせいですね。私が皆さんに、ユアンスさんへと注意を向かせてしまいました。
「えっと、だ……だ、大丈夫です……かキャン!」
私は美結ちゃんと美代ちゃんに声を掛けます。
しかし、突如建物が揺れて美結ちゃんに抱きついてしまいました。
「だ、大丈夫?」
逆に心配されてしまいました。恥ずかしいです。
恥ずかしさの余り、柔らかなソレに顔を埋めてしまいたく……。
「はぅ?!」
咄嗟に離れます。これが世に言うラッキースケベというやつでしょうか?
どっちにしろ美結ちゃんの胸に顔を埋めたくなってしまうとか、私はエロいおっさんですか!?それとも、エロ爺さんでしょうか?はたまた小学生の悪戯男子でしょうか!?……っていうか、違います。埋めたくなってしまったのは、恥ずかしいからでした。卑猥な感情からではありません。決して!!埋める対象がクッションではなくアレなだけで!何言ってるんでしょう私?
そ、それよりも、美結ちゃんのあれはメロンです!いや、そんなには無いでしょうか。
リンゴでしょうか?いえ、もう少し大きいです!!
……とりあえず巨乳なのです!!
なので、半分……いや1/3でいいので私にください!!
私はこの通り、真っ平らのペッタンコで貧相なので、少しくらい分けてくれてもいいんじゃないでしょうか?
嗚呼、神様。皆平等に分けてもらいたいものです。
……っていやいや、違います。
そんな事を言っている場合ではありません。
建物は揺れが続き、床にはヒビが入ってきています。
あ、今ビビッと直感が来ました。
ユアンスさんが危ないらしいです。
「ユア――」
「危ないッ!!」
ひび割れに落ちたユアンスさんの手を取ったのは美結ちゃん。
ぅぅ……。私って本当、どんくさいですね。
滅茶苦茶トロいです。
でも、美結ちゃんもヤバイです。
ユアンスさんはグッタリしていますので、たぶん気絶でもしているのでしょう。
力の抜けた人間って滅茶苦茶重いんです。それも成人男性です。美結ちゃんが引き上げられる訳がありません。
それに、未だに揺れが酷くて美結ちゃんの足元も崩れかかってます。――あ。今、崩れました!
美結ちゃんとユアンスさんは亀裂へ真っ逆さま。
っていうか、呑気にしている場合ではありません。
私たちの足元も崩れ、みんなで穴へ真っ逆さま!
眼下には地面が見えず、真っ暗闇です。こんな高いところから落ちたら、きっと死んでしまうでしょう。
……えっとですね。短い人生、最後に一言。
三途の川、みんなで渡れば怖くないです!!……きっと!
5章終了。
全13話。詰め込みました。縦読みを仕込むのは難しいです……。




