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ひだまりの国  作者: 白波
第7章 紫の壁
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第62話 ナデシコ城内を進みます

 さて、何とか城内に入ることができた私たちは、アウラの使った探知魔術の地形把握の情報を頼りに、城の中を敵に遭遇することなく2階へ行く階段を上がろうとしていました。


「見えた! あそこが2階へ行く階段だよ!」

「それじゃあこの調子で行くわよ!」


 そう言って、階段の1段目に足を踏み入れたとき


「これ以上は、いかせませんよ…。」

「どうやって、ヒスイを突破したか知りませんが、あなた方はここで地獄に落ちる…。」


 なんだかいかにも悪役が言いそうなセリフを言いながら、2人の女性が2階から見下ろしていました。


「王国復興委員会常務委員のトパーズ…。」

「同じく常務委員のオパール…さて、誰からかかってきますか?」


 トパーズとオパールは、余裕綽々と言った様子で、階段を下りてきます。


「どうする?」

「さっきのヒスイと言うやつはわからんが、この2人もおそらく手ごわいぞ…。」


 そんな会話をしている間にも2人は、1階まで下りてきました。


「さて、相手から仕掛けてこないようなので、こちらから行きますか?」

「まぁトパーズがそう言うなら…。」


 トパーズとオパールは、私たちの方を向いて、手をつなぎました。


「『共鳴魔術 高音担当(ソプラノパート)』」

「『共鳴魔術 低音担当(アルトパート)』」


 2人が魔法を使うと、大きな音があたりに響き渡りました。


「なにこれ…耳が痛い…。」

「どうやら、こちらの聴覚を攻撃しているようだな…。」


 私は、とっさに耳をふさぎました。周りを見るとヴァーテルや竜也、アウラもそうしているようです。


「これで、終わりと思っちゃいけませんよ! 『光魔術 月明かり(ムーンライト)


 あの音が響いている中、あたりが真っ暗になりました。

 視覚と聴覚があてにならないこの状況で、どうやって敵に対処すればいいのでしょうか?


「何もできないのですか? さらに行かせてもらいましょうかね…オパール!」

「わかってるよトパーズ…『共鳴魔術 大きな音(ビックサウンド)』」

「それじゃ私も…『共鳴魔術 大きな音(ビックサウンド)』」


 相手が、どちらから技を出しているか、目で確認することはできません…ですが…


「ヴァーテル! 竜也! 相手は、右方向にいるわよ!」

「了解! 『水魔術 水流弾』」


 ヴァーテルの撃った水流弾が、相手がいるであろう方向に向けて飛んで行きます。

 少し経った後に、あたりは明るくなり、音も静かになりました。


「なっ…なぜ、私たちの居場所が…視覚も聴覚も当てにならないはずなのに…。」

「簡単よ…あなたたちが、月明かり(ムーンライト)を使った時に、水魔術の水城形成を使っていたの…それに技が当たった感触で、あなた達の位置を見極めていたのよ…あなた達の攻撃は音を使ったものだったから、反響してて難しかったけど、何とかなったようね…。」


 私の言葉に対して、相手が歯ぎしりしていることが見て取れました。

 なお、水城には、防音付与をしてあったので音を使った攻撃も効果がありませんが、相手の言葉は聞き取れるようになっています。


「だが、まだまだ行ける! 行くよ! トパーズ!」

「『水魔術 水防壁』」


 オパールとトパーズの間に、水の壁が出現しました。

 その壁は、天井を突き破り天高く伸びて行きます。


「なっ!?」

「共鳴魔術…この名前を聞いたときに何となく推測は立っていたがな…2人そろって出てきたにも関わらず、お前らは常にすぐ近くに立っていた…わざわざ2人で戦闘しているにもかかわらずだ…となると、結論は1つ…共鳴魔術は、術者が2人以上いないと発動しない…こう言うことだろ?」


 ヴァーテルが推理を披露すると、オパールとトパーズは、ともに拍手をし始めました。


「そこまで見抜いた揚句、私たち2人を水防壁で接触できないようにする…見事だね!」

「でも、私たちが使えるのは、何も共鳴魔術だけじゃありませんよ! とくとご覧あれ! 『召喚魔術 緑竜召喚』」


 トパーズが唱えてから少し経つと、城の天井を突き破って緑色の竜が下りてきました。


「お前たちだな! さっそくやっつけてやる!」

「…なんだか…炎竜に比べてしょぼいわね…。」

「なんだと! 俺は強いんだぞ!」


 緑竜は胸を張っているようですが、自分たちよりはるかに大きい炎竜に乗ったことがあるにもかかわらず、私の身長の半分もない竜が出てきたらそうもなりますって…


「さっそく行くぞ! 『空間魔術 私の領域(マイテリトリー)』」


 緑竜がそう言った途端、私たちの足元に黒い穴が開きました。


「ってそんなのありなの~!」


 私たちは、緑竜の作り出した黒い穴に落ちて行きました。

 読んでいただきありがとうございます。


 これからもよろしくお願いします。

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